中央アジアで人工透析を受けて思ったこと

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ビシュケクの透析病院

2021年11月17日から中央アジアへの旅路についた私、日本で受けていた週3回の人工透析がなくなることはない。

現地の病院で同じような透析を受けて旅を続けることになるのだが、最初の透析は18日の午前中、その後は、原則として火・木・土に4時間ずつ受けることになった。

そして、透析の時だけでなく、いざというときのためにと、現地通訳のOさんがくれた「ロシア語の医療用語集」、これを使わなくてはならないシチュエーションはあるのだろうか。

ビシュケクの透析病院

透析病院で出される昼食

今は、コロナ禍が世界中でまん延しているので、人工透析を受けながら海外旅行をする人はそれほどいないと思うが、コロナ禍前は現地の透析病院を予約して、その都市を拠点にして旅行していた人もいた。

当然ながら、海外の透析病院での費用は、日本の健康保険制度が効かないので、すべての費用を一旦払って、帰国してから海外療養費(横浜市国民健康保険 協会けんぽ)として請求し、還付を受ける段取りとなる。

ビシュケクの透析病院

3時に出されたオヤツ、飲水も比較的自由だ

つまり、透析患者が海外旅行をするには、海外渡航費のほかに、透析費用を一時的に負担する必要があるので、なかなか厳しいものがある。
それゆえに、私が「医療ツーリズム~海外での腎移植を考える」で書いたように、石渡英五氏がキ・セ・キを起こせたのも、先立つものがあったからだと言えるかもしれない。

ビシュケクの透析病院

ところで、私が感じた日本で受けた透析と、現地で受けた透析の違いを書いてみようと思う。

  • 日本の透析病院は、新型コロナウイルス感染症防止対策のため、患者は常時マスクを着用させられるが、当地では大部屋であってもそういった制約はない。
    というより、看護師がマスクをしていないこともある。(笑)
  • 日本の透析病院は患者以外の入室はできないことが多いが、当地では、個室もオープンで、介添人や通訳も同席できることもある。
  • 日本は、透析機器(針)の性能が優れているため、透析中もシャント側の腕の曲げ伸ばしが比較的自由だが、当地では動かすなと厳命される。
  • Wi-Fiの電波はどちらの透析病院も飛んでいる。
  • 日本で見られるナースコールはない。(監視カメラや看護師常駐で対応)
  • 看護師とのコミュニケーションは、ロシア語か英語で通訳を介することもできる。

このような違いがあるのだが、私の場合、シャントがあるのが左手なので、そちら側を透析が終了するまで動かせないのは辛いものがある。

私はiPadを持ち込んで、透析中はブログの下書きなどをやっているのだが、やはり若干の不自由さは否定できない。
飲食をするのも自由とは聞いたが、左手が動かせないまま食事をするのは困難だろう。

ビシュケクの透析病院

日本の透析病院は、患者1人につき年間500万円相当の国費が使われているのだから、患者を大部屋に放置して、マスク、マスクと警ら係(看護師)が巡回するのでなく、せめてパーテーションで区切るなり、何らかの処置をすればいいのにと思う。

彼女たちに聞いたところ、コロナ禍前でもインフルエンザ流行期には、マスク、マスクと言っていたのだから、日本の透析病院の療養環境は患者ファーストではないのだ。
まして、マスクを外させないために、飲水禁止などというのは狂気の沙汰である。

今回のツアーに同行しているコーディネーターの話では、当地での1回あたりの透析費用は、クリニックによって違いはあるものの、概ねUS$80(約9,000円)からUS$100(約11,000円)程度で、日本の約30,000円(透析治療にかかる費用から計算:月額40万円÷13回)は、看護師の人件費に違いがあるとはいえ、突出している感じを受ける。

当地では透析室が個室だったり、食事やオヤツが出たりしているのに、日本ではこれらは皆無で、しかも費用はすべて国費で賄われているのだ。
患者側ももっと待遇を良くせよと声を上げていくべきではなかろうか。

ビシュケクの透析病院

また、一般に透析といっても、シャントの手術をしてそこから行う血液透析と、腹膜透析と呼ばれる方法があるのだが、件のコーディネーターの話では、腹膜透析の方が、患者の身体にははるかに良いとのことだ。

なぜ、日本の医師が腹膜透析を勧めないのか(選択肢として言わないのか)というと、献腎移植までに平均16年待ちというのと無縁ではなかろう。

それと、やはり透析利権の影がちらついている感が否めず、私も腹膜透析のことを知ったのは、今年の6月から7月にかけての国際親善総合病院に入院中に、同室の患者がそのような手術をしたことで知ったのだ。

2021年11月-12月 中央アジア旅行のトピックス

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