2023年4月3日、この日の私は「千鳥ヶ淵で桜見物、靖国神社へ参拝」ということで、東京メトロの半蔵門駅から九段下駅へ至る千鳥ヶ淵緑道で、桜を愛でながら散策を楽しんでいた。
そして、私が九段下駅へ向かおうとしたところで、入社式を終えたばかりかと思われるスーツ姿の一団と遭遇した。
おお、そう言えば、今日はフレッシュマンにとって門出の日だなと思いながら、彼らを眺めていた。
ところが、私はそこで著しい違和感を感じた。
全員がマスク姿で歩いていたからだ。
確か3月13日からはマスク自由化されたはず・・・にもかかわらず・・・しかも屋外で・・・
社員へのマスク着用要請企業は新たなブラック企業の証左
実際のところ、2023年3月13日付の翔泳社(HRzineニュース)の記事「4月入社式を「リアル」で実施する企業は8割超、半数が「マスク着用」を予定-学情調べ」とあり、調査に協力した612社のうち半数が新入社員にマスクを強要(要請という名で)するとあるので、そのまま実行されたことだろう。
要するに、4月の入社式の段階に至っても、社員にマスクを強要(要請という名で)している企業は、例え、5月8日(新型コロナウイルスの感染症法上の区分変更)が到来しても、社員のマスク自由化が行われるとは思えず、それは私に言わせれば、新たなブラック企業(exploitative enterprise)のカテゴリー入りを示す明確な証左と言えよう。
私が3月28日付で「マスク着用が自由化されてもマスクを外せない日本人」として、いわゆる接客業である小売り12団体は、マスク着用ガイドラインを2023年5月8日に廃止する予定と紹介したが、私の予想では、各店舗責任者がマスククレーマーに怯えて、事実上マスクは外せなくなると思っている。
仮に、社員に対するマスク自由化を5月8日にするつもりなら、2022年12月29日付で私が「極めてノーマルな旅友X’mas IN 恵比寿」で紹介したGMOインターネットグループや、グローバルダイニングといった企業に、少なくとも3月13日の段階で続いているはずだからである。
それゆえに、2023年4月12日付の日経新聞の記事「マスク外さぬ日本、着用なお9割 小売・製造は推奨多く」(PDF)で紹介されている企業は、まさにブラック企業の一例と言わざるを得ないだろう。
社員へのマスク着用要請企業がなぜブラックか
元々、サービス残業(無賃労働)などが多いブラック企業は日本中に蔓延っているが、それがさらに明確になったのが、2023年4月の段階でのマスク着用要請企業だ。
マスクが新型コロナウイルスの感染防止対策として、名実ともに有効だと言われていた時期(2020年、2021年)は仕方なかろう。
しかし、2022年3月29日付のITmediaビジネスオンラインに「欧米では『脱マスク』が進んでいるのに、なぜ日本は『マスクビジネス』が大盛況なのか」とあるように、今ではマスク利権屋の道具でしかなく、肝心の着用効果は、2022年8月25日付で中川淳一郎氏が「世界一マスクを着用しているのに、陽性者数は世界最悪…日本人はいいかげん『忖度マスク』をやめるべきだ」と書いているレベルだ。
日本人の9割がマスクをしている現状で、企業の社員に対するマスク着用強要(要請という名で)の何がブラックなのかは、効果に対して弊害が大きすぎるからだ。
効果はいわゆる「人の目」、対策しているんですよ~というポーズだけ、弊害はグローバルダイニングも明確に述べているし、彼らの言う健康被害については良心的な医師たちによって、すでに明らかにされている。(2022年2月3日-長時間マスクが奪う子供の未来、日本人の未来)
当社では、血中酸素濃度が下がることによる健康被害を考慮し、スタッフのマスクの着用の推奨をやめました。
また、健康被害と言えば、2021年2月17日付のキャリコネニュースに「マスク着用が習慣化して3割が『身体の不調』『頭がぼーっとして集中できない』『肌荒れするようになった』」とあり、今ではもっと被害は増えていることだろう。
そして、2022年6月12日付のプレジデント誌の記事で、現職医師の大和田潔氏が「『マスクは人の目を気にして着用するものではない』現役医師が”マスク離れ”できない人たちに伝えたいこと」と寄稿し、マスクの常時着用はむしろ健康リスクを高めると言っている。
未だにマスク信仰の塊のような人たちは、こういった記事もたまには読んだらいかがだろうか。
それに加えて、私が2022年9月3日付の「マスクという名の税金を喜んで払う日本人」でも書いたが、事実上、マスク着用が義務化されているということは、マスクの購入が個人負担であった場合、可処分所得がそれだけ減るということであり、しかも税務上の恩恵(医療費控除)も受けられない。
5千円や1万円程度の賃上げで喜んでいては困る。
今まで、会社でマスクを強要(要請という名で)されていたことは、実質的には賃下げされていたのと同じことであり、時給労働者の場合、一日分の労働がタダ働きだったのだ。
これからの就活生や転職希望者は、5月8日を過ぎたら、是非とも企業訪問する前にインタビューして、自分が目指す企業が社員に対してマスク自由化しているか、実際にそうなっているかを見るといいだろう。
マスク如きと言うではない。
そういうことに無頓着だということは、世間体ばかりを気にする従業員目線では何のメリットもないブラック企業だと言えるのだ。
日本人の生産年齢人口が減っている中で
2023年4月12日付の日経新聞は「総人口12年連続減、22年1億2494万人 日本人75万人減」と伝えている。
労働の担い手となる15〜64歳の「生産年齢人口」は29万6000人減の7420万8000人だった。総人口に占める割合は59.39%と過去最低に迫る水準だった。社会保障の財政基盤悪化や働き手不足による経済成長鈍化を招く恐れがある。
もはや日本が今までのような経済大国の地位を維持するためには、外国人労働者にも喜んで来てもらえる国にする必要があるはずだ。
私が2017年12月12日付で掲載した「日本は世界の高度人材(high-skilled talent)から見限られるのか」や、2019年7月11日付の「日本は2019年版外国人が働きたい国ランキングでブービーに」のときから日本の職場が良くなっているとは全く思わない。
外国人に関しては入国者数が出国者数よりも19万1000人多く、2年ぶりの社会増加となった。新型コロナウイルスの入国制限が部分的に緩和されたことが背景にある。近年は外国人の増加が総人口の減少を緩和する傾向がみられる。
外国人労働者の内訳が明確でないからわからないが、コロナ禍前の情勢が続いているとすれば、数多く入国しているのは「将来の反日の芽となりかねない技能実習生という名の外国人奴隷たち」にあるような時給3ドル(400円)程度の労働者たちだ。
円安で目減り傾向にある日本の賃金(低賃金)、長時間労働、そして、マスクの強要(要請という名の)、そんな国の職場にまともな外国人が来るのだろうか。
経済界が外国から安い労働者を連れてきて、彼らが逃亡したら犯罪に走る、アメリカからは人身売買だと叩かれ、そんな図式がこの先も続くのか、日本の為政者は真面目に考えたらどうなのだろうか。
最後に
2023年3月13日からのマスク自由化によって、マスクを外して歩いている人は確かに増えたと思う。
それでも私の体感で、マスク着用率が99%が90%になったという感じで、劇的に減ったとは思えない。
屋外の場合は、花粉症という季節要因はあるだろうが、この先、5月8日(新型コロナウイルスの感染症法上の区分変更)を迎えても、私はそれほど変わらないのではないかと思う。
何しろ、日本人は「人の目」をことさらに気にするからだ。
私が平成旅日記で、顔出ししようか悩んでいたときに、友人から言われたことを紹介しよう。
街中じゃカルロスのことなんか誰も気にしないから(笑)
そう、誰かが自分のことを見ているなんて思うのは、余程の美人でもなければ、自意識過剰なんだよ。
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