貧乏くじと言われて

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苦悩する女性

「苦肉の策でしょ。マスコミが官僚OBではだめだだめだと言うから、こういうことになったのよ。誰も火中の栗を拾いませんよ。」扇千景・前国交相は近藤剛参院議員が日本道路公団総裁に内定したことを受けて新聞記者のインタビューにこう答えた。

そう、道路公団に限らず、これから政府系あるいは地方自治体の機構改革に乗り出そうという行為はすべて火中の栗を拾うことになる。

つまり、抵抗勢力となる既得権者、何もこれは公務員だけではなく議員やその縁者、利害関係者も含まれるのだが、これらの勢力に対抗するのにわずかトップ1人というのが日本の場合は少なくない。

これでうまくいく方が奇跡に近いのだが、それを少しでも失敗すれば、傍観者たるマスコミは溺れた犬を叩くように、彼らの経歴に応じて非難(官僚OBだからダメだとか、共産党市長だからうまくいかないとか、老舗企業出身でひ弱だとか)し、結果的に失敗に追い込んでいる。

そもそも四面楚歌に近い状態で改革を成功させるのは1990年代前半のペルーのフジモリ改革のように一見すると独裁的な憲法停止も含むような強い態度が欠かせないのだ。

得てして、そうした行為は非民主的という非難を浴びるが、もはや日本の改革は民主的というか、話し合いというか、愚かな会議主義というか、そういうやり方では永遠に無理なのだ。

それをマスコミはトップダウンでやれば強権、非民主的と、議論百出すると、混乱して収拾がつかない、リーダーシップがない、と非難する。

いったいどうすればいいのか全く対案がない。
今回もそうだ。
「官僚OBがダメ、財界が人材を出し渋る」なら、どうして言論界の我々が供給しますと言えないのか。

理由は今日の読売新聞に明確に書いてある。
財界の冷たい対応には、年収が2360万円にとどまるうえに兼職が禁止され、国会答弁もあるなど、魅力の薄い役職だったことも背景にある。
私は愚かなマスコミが馬脚を現したと思う。

いったいぜんたい公務員の幹部職員の地位を魅力ないものにしたのは誰なのだ。
公務員自身に責任の半分はあるだろうが、残りは愚かな政治家(官僚の上司)しか選べない国民と、それに警笛を鳴らせないばかりかワイドショー的な報道で国民を白雉化している談合マスコミではないか。

「年収が2360万円にとどまる・・・」いったいいくらもらえば満足だ?
これで少子高齢化の将来、優秀な人材が公務員になると思うのか?
今の学級崩壊は「親が教師を面前で罵倒し、コケにし続けたこと」にも責任があるという。
それを言い換えればわかるだろう。

今でさえ、官庁でも優秀な奴からやめて民間に転身するという。
当たり前だ。
何をやっても罵倒されれば子どもだってぐれる。
まともな奴が日本の政治家を目指そうとしないという現象が将来は官庁にも広がるのは時間の問題だ。

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近藤参院議員、道路公団総裁就任を正式受諾 (2003.11.14 読売新聞)

日本道路公団の新総裁に内定した自民党参院議員の近藤剛氏(元伊藤忠商事常務)は14日、国土交通省内で石原国交相と会談し、総裁就任を正式に受諾した。

小泉首相と石原国交相は13日、近藤氏に総裁就任を要請し、近藤氏は「前向きに検討するが、1日考えたい」として、正式な回答を留保していた。

近藤氏は17日に倉田参院議長に議員辞職願を提出する予定で、石原国交相は早ければ18日の閣議で了解を得て、近藤氏を総裁に任命する見通しだ。

近藤氏は14日夕、約1時間に渡る国交相との会談の後、記者団に対し「謹んでお受けするという旨を大臣にお伝えした。
まずは(公団職員の)意識改革、一体感の醸成が第一だと思う」と抱負を語った。

小泉首相には、会談中に電話で受諾を報告したという。
石原国交相も会談後、「命がけでやってくださるとの強い決意をいただいた」と述べた上で、「効率の良い社会を作るために、頑張りましょうと握手を交わした。
私も全面的にバックアップする」と、協力して公団改革に取り組む姿勢を強調した。

道路公団は、藤井治芳・前総裁が先月2日に解任されて以降、村瀬興一副総裁が総裁代行を務めている。近藤新総裁は、2005年4月に予定される道路公団民営化に向け、組織の立て直しが急務となる。

■経済団体-人材提供に終始消極的-首相と財界「溝広がる恐れ」

道路公団総裁人事が難航した原因の一つは、首相が望んだ「民間からの起用」に対し、財界が終始、消極的だったことがある。
政府関係の役職に民間人を充てる場合、日本経団連や経済同友会などの経済団体が窓口となり、候補者を推挙するという手続きを踏むのが通常だ。

しかし、道路公団をめぐっては、昨年12月、政府の道路関係四公団民営化推進委員会が最終報告をまとめた際に、委員間の調整が付かず、今井敬・委員長(日本経団連名誉会長)が辞任に追い込まれていた。

小泉首相に頼まれて送り込んだ今井氏の顔に泥を塗られたと受け止めた日本経団連側と、首相との間にすきま風が吹き始めた。

日本郵政公社の生田正治総裁や、りそなホールディングスの細谷英二会長など、小泉首相が主導したとされる人事で人材の供給源となった経済同友会も「もう出せるタマがない」(首脳)と、静観を決め込んだ。

財界の冷たい対応には、年収が2360万円にとどまるうえに兼職が禁止され、国会答弁もあるなど、魅力の薄い役職だったことも背景にある。

日本経団連は、石原国交相の再三の求めに応じ、最終的には数人の財界人を推薦したものの、就任要請は不調に終わった。

近藤氏就任が内定した13日夕、奥田碩・日本経団連会長は記者団に「全然聞いてないから知らない。もっと慎重に決めてもらわないと困る」と述べ、事前の相談がなかったことへの不満感を示した。

「もともと首相と財界とのパイプは細い」(財界首脳)と言われるが、道路公団の総裁人事で、小泉首相と財界との溝が深まる懸念もある。

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