多くの日本人が投資をしない(嫌いな)残念な理由

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驚く外国人男性

多くの日本人が投資をしない(嫌いな)理由という言葉で検索をかけると、幾多のコラムを散見することができる。
どれも一理あるのだが、おそらく、本質的な理由に触れたものはないだろう。

私もファイナンシャルプランナーの端くれとして、あるいは、セミナーの講師を受け持ったりするにあたって、疑問に思ったことが多々あるので、それを解消するために調べてみることにした。

川合さんがデイトレード実況中継で言ったセリフ

タブレットを持つビジネスマン

貴方は2019年6月に世間を騒がせた「老後2000万円報告書」を覚えているだろうか。
この問題の要旨は、平均的な高齢夫婦無職世帯では、老後の生活資金として、公的年金収入だけでは毎月5万円程度不足するということだった。

その解決策の一つとして、私は、2019年10月27日付の「100万円の元手で老後資金2千万円問題は解決できるか」というコラムで、川合式デイトレードを紹介した。

具体的には、2019年11月29日付で掲載した「台北で川合式日本株のデイトレードをやってみた」であり、川合さんのコラムでいうと、2020年7月9日付の「コロナ禍で増えた空き時間で月10万円稼ぐ方法」、これらで紹介しているのが「居合抜き1分トレード」と呼ばれる手法である。

そして、2021年3月25日は、「川合さんの実況中継を聞きながらトレード~来月以降もできるかな」で書いたように、門下生を対象に行われるリアルトレード実況中継の日だったが、その途中で、川合さんが何を思ったのか突然こう言った。

トレードするときは自分で考えてやってくださいね。自分の頭で考えることが大切なんです。

何の変哲もない一言だ。
失礼ながら、スルーするかもしれないほど、私たち投資家にとっては当たり前のことだ。

ところが、このとき、私はiPadで実況中継を聞きながら、パソコンでは別の画面を見ていた。
時事系のネタ探しで、時折閲覧している鈴木傾城氏のダークネスというウェブページだ。
ちょうど、川合さんが上記のセリフを言ったとき、私は電光石火の閃きを感じて、あるページを検索していた。

鈴木傾城氏のコラムが示唆する日本人の行動の問題点

パソコンを操作する女性

2018年2月26日付の鈴木傾城氏のコラムに「日本の学校は、考えない人間を5つの方法で生み出している」というコラムがある。
簡単に紹介しよう。

日本の教育は、構造的に「覚えさせても、考えさせない」という教育になっている。
覚えさせても、考えさせないのである。
「考える」という部分を軽視している。

なぜか。
それは、学校が何のためにあるのかを考えれば理解できるかもしれない。
学校とは、社会で通用する人間を作り出すところだからだ。
日本で「社会に通用する」というのは、サラリーマンになれるということでもある。

教育の現場では、どうやって子供たちを考えさせないようにしているのだろうか。
それには、次の5つによって、成し遂げられている。

  1. 暗記を押し付けて「考えさせない」
  2. 苦手を押し付けて「考えさせない」
  3. 制服を押し付けて「考えさせない」
  4. 規則を押し付けて「考えさせない」
  5. 団体行動を押し付けて「考えさせない」

あなたは考えているだろうか?
あなたの受けた教育は、社畜になるための教育だったのだから、「自分を取り戻す」ためには、学校で覚えたことはすべて忘れる必要がある。

ただ、サラリーマンで居続けたい人間だけは、考えてはいけない。
下手に考えると、社会からはぐれてしまうからだ。(written by 鈴木傾城)

それでは、日本では仕事をしている人の中で、サラリーマン(被用者)の割合は、どのくらいあるのだろうか。

2021年(令和3年)3月2日に総務省統計局が発表した2021年1月分の労働力調査によれば、6637万人の就業者のうち、役員を除く雇用者、つまり、サラリーマンは5973万人、就業者の9割近い人が給与を柱として生活していることになっている。
卒倒するくらいの割合だと思わないだろうか。

貯蓄はほとんど考える必要がないが、投資は徹底的に考える必要がある

ノートパソコンとハーブティ

2001年に金融庁が打ち出したスローガンである「貯蓄から投資へ」、政府の意に反して、この流れが遅々として進まない理由を様々な人が解説している。

しかしながら、あえて言わせていただこう。
13歳(中学校1年)のときから60歳までの約50年間を「考えるな」と教育されてきた人間が、「考えろ」と突然言われたらどうなるだろうか。

  • 貯蓄はほとんど考える必要がない。
  • 投資は徹底的に考える必要がある。考えないと負ける(損をする)

例え、40歳のときにそう言われたとしても、すでに30年間を「考えない人生」で過ごしてきているのだ。

私の友人の不動産事業家がこう言った。
「いろいろ勧めても実行に移す人は5%くらいだな~」
日本のサラリーマンの場合、自分で考えないで済む(会社の指示に従っている)状態から、自分で考えないといけない状態へ移ることを決意した人の割合が、その程度なのかもしれない。

現役時代は会社に時間を支配され、退職後は銀行の営業マンのセールストークでThe END

日本地図とビジネスマン

私は、2017年11月11日付のコラム「ちゃんとリタイアして豊かな生活を実現する人生の選び方」でロバート・キヨサキ(Robert Kiyosaki)の著書の一つ、「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント:経済的自由があなたのものになる」を紹介しながらセミナーを実施したことを書いた。
ここで私は、自分の人生のことを考えろと伝えたわけだ。

「脱社畜」、つまり自由時間の確保のための戦略というのは現代のサラリーマンにとって必須項目である。日本のサラリーマンが社畜になってしまう過程では、必ず、自由時間の搾取と人格支配が行われる。

会社に時間を支配されたままで、何も考えずに(考えられずに)過ごしていると、自分から能動的に動こうという気持ちが失われる。

参考までに、川合一啓さんが2019年の夏に流した動画で、徹底的に言っていたのは、時間を作ることだ。
現役時代の生活で、自分から能動的に動こうという気持ちが失われると、退職後の資産運用でも他人任せになりがちだ。

その結果は、2016年9月15日付の東洋経済にあるような「あなたの『退職金』は銀行に狙われている」ことになる。
この問題の根底にあるのは、私が2019年11月1日に掲載した「証券外務員二種合格、さあ、就活するか(笑)」で紹介した一節だろう。

私は楽天証券ファイナンシャルアドバイザースクールで受講していた時に、ある金融機関の方から言われた言葉が忘れられない。

資産運用のアドバイスを求めるお客さんのほとんどは、格(その人の経歴や肩書)に金を払うんだ。能力やスキルに対して払うのではない。そういった意味ではカルロスさん(実際は私の本名)の場合、例え、起業できても相当に厳しい。

そして、他人任せの資産運用がたまたまうまくいけばいいが、最悪の場合は、国民生活センターなどへ相談しないといけないレベルに陥ることもある。
そうなると、当事者の家族間では投資(資産運用)への忌避感が増幅することになるというわけだ。

女は三従から国民は三従へ~呪縛を解かなければ何も始まらない

苦悩する女性

三従とは、昔の中国が発祥の言葉で

女性が従うべきとされた三つの道。 仏教や儒教道徳でいわれたもの。
家にあっては父に従い、嫁(か)しては夫に従い、夫が死んだあとは子に従うという女性としての心がまえを教えたことば。

という解説がされている。

これは、高度成長期以降の日本ではどうなったか。

国民が従うべきとされた三つの道。 為政者が国を統治しやすいように教育していったもの。
学校にあっては教師に従い、勤めては会社に従い、老いては国に従うという国民としての心がまえを教えたことば。

何も考えないで生きていれば、この流れに乗るようになっているのが今の日本だ。
ここまでのことで、多くの日本人が投資をしない残念な理由がおわかりになっただろうか。
この呪縛から離れ、自分の頭で考え、自分の足を使って人生を切り開くことをしなければ、何も始まらないのだ。

コメント

  1. 密城 和雄 より:

    同感です。素晴らしい。本気で考えないといけません

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