将来の反日の芽となりかねない技能実習生という名の外国人奴隷たち

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2018年4月24日号 ニューズウイーク日本版
およそ1か月ほど前に発売された2018年4月24日号のNewsweek (ニューズウィーク日本版) の特集記事は、技能実習生残酷物語だった。

外国人技能実習生を取り巻く労働環境は、日本のマスコミが頬被りしてほとんど報道しようとしないが、その実態は現代の奴隷制とも言える酷いものだ。

事実、2016年11月23日付のBUZZAP!(バザップ!)の「完全に奴隷扱い、外国人技能実習生受入機関の国別比較採点表「国別の介護技能実習生のポテンシャル」が絶句ものの酷さ」という記事で紹介された、技能実習生受入機関の国際事業研究協同組合が公開した「国別の介護技能実習生のポテンシャル」は奴隷の採点表と酷評されて非難を浴びた。

そして、日本のマスコミの数少ない報道のうちの一つが、2017年12月12日にテレビ東京で放映された「ガイアの夜明け『”絶望職場”を今こそ変える!』」で、その内容は視聴者に大きなショックを与えた。

この番組では、岐阜県内にある縫製工場が、外国人技能実習生に違法な長時間労働を強いていたことが報じられ、その会社への発注企業だったことが判明したジャパンイマジネーションが非難を浴びたが、当然のことながら、外国人技能実習生の労働環境を取り巻く問題はこの一社に留まらないだろう。(2017年12月18日 キャリコネニュース-大炎上した「セシルマクビー」運営会社が外国人実習生問題で声明 「不適切な人権労働環境のもと製造されていたとすれば、誠に遺憾」)

日本は先進国で法治国家だと思っている多くの人にとって信じがたいことだが、実習期間中の外国人は、どれだけ危険で劣悪な環境の職場であっても、事実上、職業と住居選択の自由はない。

出入国管理及び難民認定法別表第一の二に規定する「技能実習」の在留資格は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)第2条に規定する企業単独型技能実習生か、団体監理型技能実習生であり、実習を実施する日本側の企業等との雇用契約が結ばれていることが前提だからだ。

また、通常、外国人技能実習生の多くは出国前に多額の借金を背負い、日本に来てから給料をその返済に充てる年季奉公のような労働を強いられるという。

従って、彼らが実習先の職場から逃げ出したい場合は、金と時間を無駄にするのを承知で帰国するか、日本国内の別のところで不法就労するしかないというわけだ。

それゆえ、国連人権委員会(United Nations Human Rights Committee)やアメリカ国務省(在日米国大使館-2015年人身売買報告書 英文:2015 Trafficking in Persons Report)からも日本の外国人技能実習制度(TITP/Technical Intern Training Program)は現代の奴隷制だと非難されている。(イエズス会社会司牧センター 日本の“奴隷”労働制度 ~国際貢献という欺瞞~ 英文:Japanese System of Slave Workers – A Fraud of International Contribution 2014年6月18日 NewSphere-79%が労働法違反・・・日本の「外国人技能実習制度」に海外から批判 “搾取的”と米国務省も報告 Reuters on June 12, 2014 – Special Report: Foreign interns pay the price for Japan’s labor shortage

私がこの問題のことを知ったのは、2017年11月22日付の「エストニア共和国から愛をこめて」のコラム「『日本の外国人奴隷の真実』を伝えるドキュメンタリーが155万回再生」だった。

これを読んだ瞬間に私が思い浮かべたのは、2015年7月9日付で私が掲載した「日韓関係の新たな火種になりかねないUNESCO世界遺産登録の結末」だ。
このとき私は、戦前の徴用工問題は従軍慰安婦問題と並んで韓国が持ち出した外交カードという見方をしたが、今回の外国人技能実習生問題は紛れもない事実だ。

社畜批判ブログを書いているatusi氏が自身のコラムで「いい扱い受けてないと会社に愛着なんぞ湧くわけがない。」(2016年8月30日 お前ら、社畜で人生楽しいか?-愛社精神や忠誠心は必要ない!会社に尽くすのが不要な理由を語る!)と言っているが、そのようなものを持ち出すまでもなく、誰もが自分に対して奴隷的扱いをした人や組織に親しみを感じるわけがない。

今後、特に外国人技能実習生が国籍別で多いとされている中国やベトナムで(国際研修協力機構-技能実習生・研修生統計)、この問題が火を噴いたとき、今まで日本人に親しみを持ってくれていた東南アジア諸国の親愛感情が吹き飛ぶ可能性だってあるだろう。(参考:2017年10月29日 共同通信-外国人実習生の被害を映像で告発 横浜の支援医師がベトナム取材 Japan Times on October 30, 2017 – Yokohama doctor likens Japan’s foreign vocational trainee system to ‘slavery’

いつになったら、日本政府はこれらのことも含めて、労働市場全体の健全化のために仕事をするのだろうか。

一方、ここ数年、日本人の中には韓国の従軍慰安婦カードを使った外交に対して、日本政府は有効な反撃を加えるべきだと言っている人も多い。

しかしながら、米国政府が日本に対して「強制労働の事案は、政府が運営する外国人技能実習制度(TITP/Technical Intern Training Program)において発生している。この制度は本来、外国人労働者の基本的な産業上の技能・技術を育成することを目的としていたが、むしろ臨時労働者事業となった。(Cases of forced labor occur within TITP, a government-run program that was originally designed to foster basic industrial skills and techniques among foreign workers, but has instead become a guest worker program.)」と指摘している状況下で、韓国の従軍慰安婦カードに対する有効な反撃が国際社会においてできるとは思えないのだ。

それにも増して、将来的に韓国から戦前の徴用工問題を外交カードにされたとき、日本政府は中国人やベトナム人の外国人技能実習生問題とタイアップされてサンドバックにされる可能性もあるだろう。

事実、独学で学んだ日本語でニューズウイーク誌の取材に答えた範博文(Fan Bo Wen)という中国人はこう言ったという。
「技能実習生制度は、日本政府が途上国の貧しい若者をだまして、安い労働力として使い捨てるための制度だと思った。あの1年半は自分の人生で最悪の時間だった。」

麻生太郎内閣当時、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成21年7月15日法律第79号)の成立によって確立された外国人技能実習制度に対し、日本弁護士連合会が第二次安倍晋三内閣成立後の2013年6月20日に「外国人技能実習制度の早急な廃止を求める意見書」を田村憲久厚生労働大臣と谷垣禎一法務大臣に提出して早5年、主として、日本の中小企業は人手不足から禁断の果実に手を付け続けているが、私はそのツケを払わないといけない日が来るような気がしてならない。

まして、2016年11月28日に成立した外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)は、日本弁護士連合会が要望した外国人技能実習制度を廃止するどころか、恒久化するための法律だ。

それに加えて、コンビニ業界で技能実習生の受け入れなど始まったら、おそらく日本社会は麻薬中毒患者のように取り返しがつかないことになるだろう。(2017年12月13日 現代ビジネス-コンビニ業界が低賃金の「外国人技能実習生」を欲しがるホンネ
私たち消費者も日本のサービスや商品が安いと言って喜んでいる場合ではないのかもしれない。

コメント

  1. trintrn より:

    おはようございます
    カルロスさまのように広い視野でモノゴトを考えられない
    恥ずかしい日本人ですが
    近所の奥さんがコンビニにパートで手伝いに行ってるんですね
    どう?お仕事?とお尋ねしたら
    どうもこうも、仕事の前に日本語教えてるのよ~
    でした
    自給950円で。。。
    日本語レッスン時間はパート外
    ちなみに来月からは老人ホームの朝ごはんパートに行くそうですが日本語レッスンは続くそうです
    色々悩ましいです

  2. カルロス より:

    trintrn さん、毎度ありがとうございます。
    >仕事の前に日本語教えてるのよ~
    でした
    >自給950円で。。。
    >日本語レッスン時間はパート外
    悪いことは言わない。
    パート外で教えて、その分の対価が払われてないなら、そんなバイトは速攻でやめないとだめです。
    本人は雇い主から君たちと同じ戦力になるんだとか言われてるんでしょうが、本文リンクのatsusi氏のブログを読んだ方がいい。
    バイトがボランティア無償労働なんて論外でしょう。
    自給1,200円は請求できるレベルですよ。
    そんなボランティア労働を唯々諾々と引き受けている段階でダメです。
    >老人ホームの朝ごはんパートに行くそうですが日本語レッスンは続くそうです
    おいくつの方か存じ上げませんが、ダブルバイトですか。
    そんなことするなら、片方はデスクワークか在宅のインターネットビジネスでないと、ヘトヘトに疲れて何もできなくなります。
    仮にパソコンできないと、その段階でかなりキツイですね。何事においても
    そういう方は例え、今の境遇から脱出できそうな話が舞い込んでもアンテナに引っかかる可能性すらないんですよ。
    下手に飛びつく話が詐欺話というのはよくあることです。
    疲れて面倒なことが考えられないからです。

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