おいおい労組の親玉の評価は満点かい?

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苦悩する女性

何とまあ物分りのいい労組もあったものだ。
長引く不況のせいで・・・とあって労組も会社が潰れてしまっては元も子もないということで、使用者側の姿勢に全面協力というわけだ。


確かに一頃の国労(国鉄労働組合)のように無闇にやたらにスト権を振り回すのは感心しない。
しかし、長期不況下で過労死や過労自殺のリスクを背負って頑張ってきた人たちの報酬が、ようやっと業績が上向いてきた会社でさえ、本当に一時金のアップだけだったとしたら情けないのを通り越してあきれ果てて物が言えない。

企業が基本給のアップをしないのはそれが法定福利費などを含めた人件費のすべてに波及することを知っているからだ。
それに対して物分りの良さだけを標榜する労組などサラリーマンにとって本当に必要なのか?

こんなことを書くと「もうそんな時代ではない!今は業績主義の時代だ」との声が聞こえそうだ。
しかし、業績が悪化したときは基本給を一律に下げておいて、好転したときは難癖つけて何もしないというのは筋が通らないのではないか?

そもそもバブル期に「金余りだったら株や土地を買う前に俺たちにサービス残業させずに金寄越せ」とケツをまくってストを打った労組が皆無だったことが今の悲劇を招いているのだ。

つまり1980年代後半以降の経営陣や労組の中枢にいた奴らは超ド級の戦犯なのだ。
1990年代にはこうした無能な経営者は国や地方自治体に対し、「景気対策!金寄越せ!」の大合唱でピンハネ食い逃げ世代の最たるものだった。

「景気は気から」とも言う。
日産のカルロス・ゴーン社長のように社員に希望とやる気を与えることでさらなる業績好転を期待するということが他の会社ではできないのかとも思う。

特に家計を預かる主婦層への波及効果があるのではないか?
たとえ薄日であっても期待ができるということが少しでも個人消費を促すことになれば「デフレスパイラル」の悪循環を断ち切ることにもなるだろう。

そして今、日本のサラリーマンは中国の攻勢にさらされ、さらなる賃下げの脅威に怯えている。
アメリカの労組のような試みは多国籍化する大企業の前には「蟷螂の斧(=兵備が弱勢なこと)」でしかないが、少なくとも自分たちの生活を守ろうという意思は感じられる。

たまにはそうしたことをしなければいいようにあしらわれることを彼らは知っているからだ。
それに対して、「去勢された羊」たちは今後も何もすることはないだろう。
戦後60年、「争うことは絶対によくない」という価値観を植えつけれたツケはおそろしく大きい。

でも、アメリカのアルバイト事情を知ると安閑とはしてられないっていうのも頷ける話なのだが・・・

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中国の低賃金、米の雇用奪う」-米最大労組が提訴 (2004.3.18 朝日新聞)

「最低賃金が守られてない実態を見過ごすなど中国政府による労働者の権利侵害が、対米輸出の増加を通じて米国の雇用を奪っている(When China Represses Workers’ Rights, U.S. Workers Lose Jobs)」

米国最大の労働団体、米労働総同盟・産別会議(AFL-CIO/America’s Union Movement)は16日、通商法第301条に基づく調査を開始するよう米通商代表部(USTR=The United States Trade Representative)に提訴した。同会議によると、労働者の権利侵害を理由にした提訴は初めてという。

同会議は、最低賃金を守らないことで中国の製造業はコストを44%削減していると試算。低コストによる対米輸出で、米国内で70万人以上が失業したとしている。

同会議は、11月の大統領選で民主党候補に確定したケリー上院議員を支持している。
人民元問題で中国を批判しているケリー氏が今後、さらに対中批判を強める可能性がある。

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春闘:「ほぼ100%」 連合会長評価 (2004.3.17 毎日新聞)

連合(日本労働組合総連合会)の笹森清会長は17日、大手の一斉回答を受けて会見し、「連合の方針に沿った形でほぼ100%の回答を得た」と評価した。
デフレや長引く不況で統一ベア要求を出せない状態が続いている組合側にとって、昨年実績を上回る一時金や賃金体系維持の回答が相次ぎ、久々に“明るい春闘”になった。

笹森会長はまた、

  • 年金に接続する65歳までの雇用延長(基幹労連)
  • 次世代育成支援対策の推進(電機連合)

など制度要求でも成果があったと指摘し、「賃金だけでなく労働、生活にかかわるすべてを協議し、回答を得るという新しい春闘の役割が浮かび上がった」と強調した。

22~24日に設定された中小組合の集中回答日に関しては、「大企業は景気回復の影響が表れたが、中小や地方の企業となると波及に時間がかかっているかもしれず、油断できない。全力で中小の賃上げを支援する」と話した。

春闘:ベアゼロ定着 新交渉方式の確立急務

金属労協(全日本金属産業労働組合協議会)に加盟する主要企業の春闘は17日、業績の回復を反映して多くの企業が年間一時金の増額を回答し、決着した。
一方で、日産自動車を除いて今年もベアはなく、「ベアゼロ春闘」は完全に定着。

「激しい国際競争を勝ち抜き、国内の雇用を守る」ことを前提に人件費を抑制し、「業績は一時金に反映」させることはいまや、労使の共通認識だ。
景気に明るさが見える中でのベアなし定着は、春闘の曲がり角を強く印象づけた。

◆ベア対応分かれる

業績絶好調の自動車では、日産とヤマハ発動機の2労組がベアを要求したが、認めたのは日産だけだった。
カルロス・ゴーン社長は「好業績を上げた社員の努力に報い、やる気を引き出すのに必要」と判断。「組合が、社員に対する会社の期待値を示す象徴として、額は少ないがベアを求めてきた」(渡辺邦幸常務)ことに応えた形だ。
ヤマハ発動機は「経営環境の厳しさに変化はなく、社員の努力には賞与で報いる」として、1000円のベアには応じず、対応が分かれた。

◆最低基準引き下げ

ホンダが、業界最高水準の一時金6.55カ月を回答したのは、組合が一時金の最低支給基準を5.9カ月から、5.0カ月に引き下げる提案をしたことを「高く評価」(吉見幹雄取締役)したからだ。
業績によって賞与の水準が大きく下がることもあり得ることを組合みずから認めた形だ。

実際、好調な自動車業界でも業績次第で明暗は分かれた。
再建中の三菱自動車は組合側の一時金4.0カ月の要求に、経営側は「3カ月が株主に納得してもらえる限度」(ロルフ・エクロート社長)と提案せざるをえず、トヨタやホンダとの一時金格差は2倍以上に広がっている。

◆なお慎重さも

好調なデジタル家電需要や中国市場の成長で、回復基調にある電機業界は、IT(情報技術)バブル崩壊以後では初めて波乱のない春闘だった。
2004年3月期で黒字転換する見通しの三菱電機は、昨年実績から0.45カ月上積み、日立製作所も労組が設定した最低ラインの4.5カ月に0.15カ月上乗せし、電機連合幹部の顔がほころんだ。

ただ、勝ち組と言われるシャープの交渉が最も難航し、先の読みにくい業界の難しさも浮き彫りにした。同社の2004年3月期は過去最高の570億円の連結最終利益を見込むだけに、組合は5.64カ月という過去最高に迫る要求額を掲げた。

だが、経営側は2004年度に液晶事業の主力である亀山工場(三重県)に900億円をつぎ込むなど多額の設備投資の負担などを理由に出し渋った。
前年要求額並みの5.17カ月の提示にとどまり、集中回答日に夜間に及ぶ異例の長時間交渉になった。

基幹労連傘下では鉄鋼と造船・重機で明暗が分かれた。軒並み好業績の鉄鋼に対し、造船は受注は増えても収益に結びついておらず、そろって減額回答。石川島播磨重工業は4月から2年間の賃金1割カットも始まる。

◆ベアは終えん?

ベアの最後の砦(とりで)となっている日産も4月から完全成果主義を導入。
今後は「ベアは論議の対象にならない」(渡辺常務)と言う。
自動車総連幹部もベアという言葉の見直しに言及しており、「ベア限界論」が労組側からも出てきている。

3年連続でベア要求を見送った電機連合の大福真由美書記長は「新たな賃金決定システムの検討を急がねばならないと改めて痛感した」と今春闘を振り返った。
ベアなしが通例化すると、賃上げの上げ幅を波及させて相場形成することができず、春闘での存在感が示せない。
2002年の春闘以来の共通テーマで、職種別の賃金要求方式や最低賃金を確保する交渉方式を検討しているが、着地点は見えないままだ。

鉄鋼大手は労組がベアの代わりに「2010年をメドに新たな財源を投入し、基本賃金(平均約30万円)を製造業平均(約31万円)まで回復させる道筋を明らかにする」ことを要求、経営側は「協議の場を設ける」と回答した。
労組は「世間一般のベア否定論ではない」と好意的に受け止めるが、経営側は固定費増加には慎重で、具体的な約束をしたわけではない。労組の新しいタイプの要求が奏功するかどうかは不透明だ。

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