去る11月18日に私は「ほとんど誰も信じていない世界の終末(The end of the world)」というコラムを書いたが、終わりになりそうだったのは私のIT環境だった。
今年の8月から自宅のネット環境を、ADSL回線からE-MobileのWi-Fiルーターに切り替えて快適にインターネットを楽しんでいたのだが、時折、Wi-Fiが繋がらないときがあり、それが数十分経過すると直るので、私は一般的な接続障害とばかり思っていた。
ところが、今月になって自宅で使っているメインのパソコンがWi-Fiに繋がらないのに、iPhoneは接続できるという摩訶不思議なことがあったので、試しに海外旅行のときに使っているミニノートでインターネットにアクセスすると、何事もなく繋がった。
これはパソコン側の障害だと思って、ヨドバシカメラのPCドックで見てもらうと、スタッフは私のデスクトップにあるアイコンを見て言った。
「Registry Booster(レジストリ・ブースター)が悪さするんですよね。これでWi-Fiに繋がらなくなっているんですよ。下手するとパソコンを初期化することになりますが、そうしなくても処理できるので、やってみましょう。もちろん、このソフトはアンインストールしますよ。」
そう言えばパソコンの調子が何となく悪かったときに、何気にインストールしたオンラインソフトが、このRegistry Booster(レジストリ・ブースター)だったのだ。
販売元のUniblueの効能書きを見たときに、
「Registry Boosterは、Windowsレジストリの問題に対する簡単な解決策です。受賞歴を持つこのソフトウェアは、レジストリの詳細スキャンを行い、不安定な動作とスローダウンの原因となり得る問題やエラーを特定します。Registry Boosterはレジストリ内の有害なファイルを修復または削除して、コンピュータの性能を最適化します。さらに、レジストリをデフラグして速度と効率をより高めることもできます。」
とあったからだ。
しかしながら、このソフトのインターネット上の評判は悪く、例えばBTOパソコン.jpの記事では、
「Uniblueという企業が日本でも広告を多めに盛っているようで、引っ掛かる人が増えているようです。結論から言うと役に立たないどころか、エラーが有ると脅して支払いを促す悪質なインチキツールです。」
とボロクソである。
私も引っ掛かった1人であるが、幸いにも解約にはすんなりと応じているようで、60日間の返金保証規定によってお金も返ってくることになった。
そういった意味で、詐欺とまでは書かなかったわけである。
結果的に、わずか数日でパソコンは手元に戻り、費用も診断料の2,000円だけで済んだ。
それにしても今月に入ってIT環境は災難続きである。
投資商品はモロにそうであるが、ITソフトも相手がポップアップ広告などで売り込みをかけてくるような商品にロクなものはない。
これが今回の教訓だ。
ちなみに、今回のようにコンピュータ内のシステムなどを使用不能にして、その復旧のために追加の有償ソフトを売りつけてくるのに使われるマルウェア(malware)をランサムウェア(ransomware)と言って、欧州では1年ほど前から被害者が多数出ているそうだ。
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