国際航空運送協会(IATA=International Air Transport Association)は、2022年1月25日付で「Accelerate Easing of Travel Restrictions(旅行制限の緩和を促進)」として、各国政府に渡航制限の緩和と撤廃を要求した。(日本語版:2022年2月13日 Sky Budget-IATA(国際航空運送協会)、世界各国政府に渡航制限の緩和と撤廃を要求『オミクロンは世界のあらゆる場所に存在』)
IATAのウィリー・ウォルシュ局長(Willie Walsh, IATA’s Director General)は、
With the experience of the Omicron variant, there is mounting scientific evidence and opinion opposing the targeting of travelers with restrictions and country bans to control the spread of COVID-19. The measures have not worked. Today Omicron is present in all parts of the world. That’s why travel, with very few exceptions, does not increase the risk to general populations. The billions spent testing travelers would be far more effective if allocated to vaccine distribution or strengthening health care systems.
現在のオミクロン株の蔓延を制御するための入国制限などの対策が効果を発揮しないという科学的証拠や意見が増えています。
オミクロンは世界のあらゆる場所に存在していることから、ごく一部の例外を除き、旅行が一般住民のリスクを高めることはないでしょう。
旅行者の検査に費やした数十億円は、ワクチンの配布や医療体制の強化に振り分けた方がはるかに効果的です。
と述べ、WHOの新型コロナウイルス感染症の感染爆発に関する第10回国際保健規則緊急委員会の声明(Statement on the tenth meeting of the International Health Regulations (2005) Emergency Committee regarding the coronavirus disease (COVID-19) pandemic)も引用しながら、ウイズコロナ時代(living with the virus)に向けての行動を促している。(参考:2022年1月30日 WHOが締約国に海外渡航制限の解除を勧告)
さて、日本政府はこれらを受けてどう動くのか。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、日本と同じように鎖国状態となっていたオーストラリアは、ワクチンを2回接種していることを条件に「2022年2月21日から外国人観光客の受け入れを再開 2年振りに国境を再開」と報じられている。(参考:Australia inbound international travel)
私としては、来る海外再渡航(参考:ウズベキスタンから帰国~日本でドナー待機へ)に向けて、コロナ禍前とは言わないまでも、海外帰国者(日本入国者)に対する嫌がらせとしか思えぬ「穢れし者たちへ~水際対策という名の成田空港検疫」が、PCR検査陰性証明の提示だけで済むように緩和され、「海外帰国者14日間の自宅待機の中で」(現在は原則7日間)などというコラムを書かなくて済むようになって欲しいものだ。
ただ、今の日本は、全国的にまん延防止等重点措置(マンボウ)が延長される中、観光立国を目指す国とは思えぬ無関心さで、外務省の「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について」にある外国人観光客の新規入国制限が早々に解除される可能性は薄いだろう。
おそらく、2022年2月12日付のロイターが報じた「岸田首相、水際対策の緩和検討を表明」は、国際的に人身売買との悪名高い、外国人技能実習生を含むビジネス渡航に限られそうだからだ。
そして、私が2021年12月16日付で書いた「新型コロナウイルス対策で機内でのマスク着用は必要か」というコラムに、IATAが追い風を送ってくれている。
それは、国際航空運送協会(IATA)は2021年12月22日付で、Statement on Recent Comments Regarding Covid-19 Risks During Air Travel(航空機による旅行における新型コロナウイルス感染症に関する声明)を出したもので、
The International Air Transport Association (IATA) clarified that the aircraft cabin remains a very low risk environment for contracting COVID-19 even though Omicron appears to be more transmissible than other variants in all environments.
国際航空運送協会(IATA)は、オミクロンはすべての環境で他の亜種よりも感染性が高いように見えますが、航空機の客室は新型コロナウイルスに感染するリスクが非常に低い環境であると明言しました。
これで、多くの主要航空会社がノーマスクでもOKということに舵を切ってくれれば、航空機を使った旅行がコロナ禍前の状態に戻るのも夢ではないだろう。
しかしながら、日本だけは、こういった国際的な流れに最後まで取り残される可能性が高い。
何しろ、未だにまん延防止等重点措置で「県境を越えるな」などと言っている知事がいるのだ。
そうでなければ、外圧に追い詰められて、ヤケのヤンパチで開国をするハメになるのか。
まあ、できればそういうことにはならぬよう祈りたいところではあるが・・・
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