NPO法人・菊池理事長第2回公判

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東京駅

去る9月12日、臓器移植法違反容疑で逮捕されたNPO法人 難病患者支援の会の代表理事、菊池仁達(きくちひろみち)氏の第2回公判(臓器の移植に関する法律違反 令和5年特(わ)第497号)が東京地方裁判所で行われたので、私も傍聴に行ってきた。

今回は、弁護側の冒頭陳述の後で、NPO法人 難病患者支援の会のサポートにより、中国で腎移植をやってもらったという元患者(Cさん)と、岡山商科大学特任教授の粟屋剛氏の両名が証言台に立った後、菊池仁達(きくちひろみち)氏に対する被告人質問が行われた。

元患者(Cさん)の証言

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弁護側の冒頭陳述の後で、証言台に立った元患者(Cさん)は、2011年5月(12年前)にNPO法人 難病患者支援の会のサポートにより、中国で腎移植をやってもらったと述べた。

その当時の海外腎移植費用は1,400万円、現地待機期間は14日間で、移植手術は成功して帰国したそうだ。
しかしながら、再移植が必要になったため、再び、NPOを頼りたいと言い、菊池氏が有罪になると私(Cさん)のような人間は困ると述べた。

粟屋剛教授の証言

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粟屋剛教授と菊池仁達(きくちひろみち)氏の出会いは、10年前に患者に対するアンケートを取るために接触したことから始まったそうだ。

そのアンケートによれば、当時、7割の患者がNPO法人のサポートに満足していたと言い、私(粟屋氏)が証言台に立った理由は、菊池氏が極悪人であるかのような報道に違和感を持ったからだと言う。

また、彼は、菊池氏の仕事は患者のサポートであり、決して社会的に悪とは言えないとも述べた。

【検察側からの反対尋問】

臓器移植法(臓器の移植に関する法律)第12条第1項の規定は、ドナーとレシピエントを結び付けなければ「あっせん」にならないというわけではなく、この点が弁護側の主張とは異なるがいかがか。

臓器移植法第12条(業として行う臓器のあっせんの許可)

業として移植術に使用されるための臓器(死体から摘出されるもの又は摘出されたものに限る。)を提供すること又はその提供を受けることのあっせん(以下「業として行う臓器のあっせん」という。)をしようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、臓器の別ごとに、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

被告人質問(菊池仁達氏に対する質問)

ガーデン・ホテル・ビシュケク(Garden Hotel Bishkek)

2人の弁護側証人の尋問が終わると、最後に被告人質問(菊池仁達氏に対する質問)が行われた。

その中で、菊池氏は、今まで170名の患者を海外(コロナ禍前は主として中国)へ渡航させ、そのうち100名が移植手術が成功して帰国、20名が失敗に終わり、50名は現地の病院で移植不可と判断されて帰国したと述べた。
移植不可の理由は、肥満(BMI 35以上)、喫煙者、高齢者、基礎体力のない者だそうだ。

去る9月9日に放映されたNHK SPECIAL「ルポ 海外臓器移植 〜命をめぐる葛藤〜」では、キルギスでご一緒した小沢克年さん特集の様相を呈していたが、上記のうち2つに該当する彼が、キルギスで腎移植手術を受けていたら、それこそヤバかったのではなかろうか。

ドナーに関しては、私(菊池氏)やNPOが接触したり、選定に関与することはなく、患者の待機期間は、概ね1か月から3か月程度だという。
私たちの場合は、それが半年にも及んだ挙句、手術が失敗して帰国した女性患者の例もあるわけだ。

また、菊池氏は信念として

  • 会計を明朗にすること
  • ドナーに関与しないこと

の2点を守っていると述べたが、私に言わせれば、おいおいおいだろうな。

ちなみに、NPOの収入源は、臓器移植希望者からの拠出金と各種寄付金だそうで、菊池氏の理事長としての年収は、350万円から400万円を計上していると発言した。

【検察、裁判官からの質問】

2019年(令和元年)から臓器移植法(臓器の移植に関する法律)第12条第1項に抵触する可能性を指摘されていながら何もしなかったのか。
あっせん許可業者として認可してもらうよう活動はしなかったのか。
故加藤紘一氏(衆議院議員)に接触して、NPOの活動に違法性がないことを確認したのであれば、そういった活動もできたのではないか。

これに対して、菊池氏はそういったロビー活動をしても功を奏さないと思っていたので、やらなかったと主張した。

この点は検察と裁判官の双方が指摘していたので、私の見立てでは、菊池氏は執行猶予付き有罪の判決が下る可能性が高いだろう。
最後に彼は、本件で有罪になろうが、無罪になろうが、NPOの活動の再開は考えていないと述べた。(Cさんはどうするのだろうか)

次回は10月10日の論告求刑、このままいけば年内に一審判決が下るだろうか。

ちなみに、この日に傍聴したことの感想が9月13日付の読売新聞「臓器あっせん事件公判 弁護側 海外移植「悪といえない」…理事長再び無罪主張」に掲載された。
私としては、どちらかと言うと民事訴訟の件を訴えたかったのだが・・・

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