人工透析が廉価で受けられるという恩恵はいつまで続くのか

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二俣川第一クリニック

私が透析療法を開始して早4か月が経過した。
その間、「身体障害者手帳更新&重度障害者医療証で医療費はタダに」で書いたように、重度障害者医療証を取得した7月以降の医療費負担はゼロ(既払い分は還付)となり、それは、今後も続く予定だ。

全国腎臓病協議会が出している「透析治療にかかる費用」を見ると、一般的な通院透析患者の場合、年間500万円程の医療費が、特定疾病療養受療証によって、年間12万円に抑えられ、さらに、重度障害者医療証によって、タダになるという算段だ。

しかしながら、この恩恵はいつまで続くのだろうか。

国際親善病院

National Kidney Foundation(全米腎臓財団)のウェブサイトに、Global Facts: About Kidney Disease(腎臓病について)というページがある。

Of the 2 million people who receive treatment for kidney failure, the majority are treated in only five countries – the United States, Japan, Germany, Brazil, and Italy.

腎不全の治療を受けている200万人のうち、大多数は米国、日本、ドイツ、ブラジル、イタリアの5か国でのみ治療を受けています。

つまり、日本の医療関係者と、腎疾患の患者のほとんどが当たり前だと思っていることは、国際的に見て極めて恵まれていることがよくわかる一節だ。

また、全国腎臓病協議会が出している「2016年度血液透析患者実態調査報告書」によれば、

前回調査(2011年)から5年を経過して、その間、透析患者数は30万5千⼈から33万⼈へと増加し、患者さんの年齢も66.6歳からさらに⾼齢化が進みました。

今では35万人を超えているだろうか。

単純計算で35万人×500万円=1兆7500億円が毎年、透析患者のために支出されている。
2021年度(令和3年度)厚生労働省所管予算のうち医療関係費(12兆0799億円)の約15%である。
これだけ出せるのも日本が経済大国ならではと言えるが、果たして、いつまで続くだろうか。

透析患者の私が、自分で卑下するのも何だが、柳居子徒然の「人工透析」というコラムで

透析療法が先ず儲かるという事。一旦透析を始めると死ぬまで続くから、売り上げの確保が長期間に及ぶと言う事。一旦通いだすと他所へ変るという事も無いらしい。結構な金蔓と言う事である。

と一刀両断にされている。

また、2016年9月10日付の週刊現代は「透析大国ニッポン!一度始めたら一生やめられない人工透析の『真実』」という記事を掲載している。
私が透析を始めた頃に感じた違和感をそのままズバリと言ってくれたわけだ。

要するに、日本でなかなか臓器移植が進まない理由の一つが、こういったところにもあると言えよう。

私としては、人工透析を離脱するための手段の一つである、死体腎移植(第三者からの臓器提供)の方法が今のような心細いものでなく、例えば、生命保険や損害保険の特約条項に加えられ、70歳以下の死亡の場合は、臓器提供の謝礼金(保険金の上乗せ)と引き換えに、スムーズな提供がされるような制度ができることを願ってやまない。

さもなければ、こういった過激なことを言いだす者も出るのだ。
月刊「望星」(2020年6月号)の中で「移植ツーリズムの深い闇」を書いた高橋幸春氏はこう書いている。

4年前、元フジテレビアナウンサーが自分のブログに透析患者について書き込んだ。(2016年9月25日 J-Cast News-長谷川豊氏、「人工透析」ブログの「真意」語る 全腎協の謝罪要求は「断固拒否」
「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を滅ぼすだけだ!」

あまりにも透析患者、慢性腎不全患者の実情を認識していない発言に批判が殺到し、2日後にはこのブログは削除された。
しかし、こうしたブログがアップされる背景には、膨れ上がった透析関連医療費が横たわっている現実がある。

 

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