年末調整の基礎控除申告書に見るデジタル政府への遠い道のり

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保土ヶ谷税務署

2021年4月からサラリーマンに復帰した私が、2年ぶりに書かされた書類、それは年末調整という日本のサラリーマンならではの税務申告書類である。

年末調整はサラリーマンにとって、税務申告を事業主が代行してくれる便利なシステムである反面、源泉徴収と相俟って「会社員の納税意識を希薄にするカラクリ」(2009年2月16日 プレジデント)となっている。

そして、税金の計算は事業主がやってくれるというシステムに沿って、すべての個人情報を条件反射のように提供した結果、例えば、居宅を購入した途端に転勤命令が下るといった都市伝説が亡霊のように現れるわけである。

頭を抱えるビジネスマン

ところで、このたび渡された書類を一目見て、何だこれはと思ったのが、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」だった。

しかも、事業主向けには年調ソフトがありながら、私がこれを記入するには、虫眼鏡で見ないといけないような説明を読みながら、手計算でやるという「昭和かよ~」と突っ込みたくなる代物だった。

それにしても思う。
年間の所得金額が2,400万円を超えなければ、基礎控除額は一律に48万円なのだ。

それだけの所得を給与だけで稼げる人は稀で、仮に、そうだとしたら年末調整の対象外だし、一般的には、そういった人は副業などをやっているので、確定申告を必要とするだろう。(国税庁-給与所得者で確定申告が必要な人

私なら副業収入(給与所得以外の所得の合計額)は、年末調整という勤務先への個人情報提供システムでは一切申告しないし、副業バレを警戒する人ならなおさら申告すべきでない
すべては確定申告で清算するのだから、年末調整の書類は、極論すれば、自分の名前と給与収入以外、事業主から扶養手当が貰えるなどのメリットがなければ、家族の名前でさえも書く必要がない。

こう考えると、いったい何の目的で誰が得をするものなのだろうか。
今年は大多数のサラリーマンが、基礎控除額は一律に48万円だが、狡猾な財務官僚のこと、所得に応じて、年々、基礎控除額を縮小させる含みがあるのか。

それとも、バカ正直な副業サラリーマンを、年末調整を通して勤務先が把握するシステムなのか。(笑)
これほどまでに複雑化した年末調整(税務申告代行)を事業主が唯々諾々と引き受けるのは、従業員の個人情報収集という旨味があるからだろう。

いずれにせよ、行政の電子化に欠かせないのは、手続きの簡素化だ。
それなのに、複雑化させてどうするのだ。

おまけに、面倒な書類を増やして、それをチェックする人を必要とする。
どう考えてもデジタル社会に逆行していると思う。
第204国会で成立したデジタル社会形成基本法の基本理念に抵抗して、財務官僚が既得権を守ろうとしているとしか思えないのは私だけだろうか。

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