幻のベラルーシ渡航移植から1年

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ハスト・イマーム・コンプレックス(Khast Imam Complex)

2023年2月28日付の読売新聞は「海外での臓器移植、別の患者をベラルーシであっせん…NPO理事長を再逮捕へ」として、

関東地方の50歳代男性にベラルーシでの腎臓移植を勧誘。
移植費用として約1850万円をNPOの口座に振り込ませた上、昨年6月に男性をベラルーシに案内し、翌7月に現地の病院で腎臓移植を受けさせた疑いがある。

と報じている。

実のところ、私も彼と一緒にベラルーシに渡航できる可能性があったのだが、臓器移植法違反容疑で逮捕されたNPO法人 難病患者支援の会の代表理事である菊池仁達氏の「(私の支払った金額では)採算が取れない」の一言で、上記の記事で報道されたSさんだけが渡航することになったのだ。

チョルスー・バザール(Chorsu Bazaar)

そう、訳あって、私がNHKのクローズアップ現代「追跡“臓器あっせん事件” 知られざる渡航移植の実態」にも出演したKさん(キルギス渡航時はNPOのコーディネーター、菊池氏の元部下)とのLINEでのやり取りを振り返る機会があった。

それは、2022年5月のことなのだが、そこには明確に6月4日に、ベラルーシの首都であるミンスク(Minsk)へ出る予定であったことが記録されていて、それが突然、菊池氏の心変わりで頓挫したことで、Kさんとのやり取りは終わっていた。
(2022年7月以降、NPOの菊池氏が、ベラルーシの医療当局とトラブルになって、彼の仲介する患者の受け入れがされなくなったと聞くが、その直前のことである。)

Sさんは現地での腎移植手術が成功して帰国したことを聞いていたので、私も一緒に渡航できていたら、どんなに幸せだっただろうか。
仮に今、私が警察から臓器移植法違反容疑で取り調べを受けたとしても、そんなことは透析人生が一生続くことを思えば、何の問題もない。

また、日本へ帰国後に受け入れ病院に難渋したかもしれないが(Sさんは事実、難渋したらしい)、NPO法人 難病患者支援の会(代表理事、菊池仁達)を相手取って民事訴訟(海外腎移植費用返還請求訴訟)など起こすことはなかっただろう。

彼は、中央アジアにいたときから私に対して腎移植手術が成功したら大いに宣伝してくれと言っていたので、そうなったかもしれないのだ。

今思えば、Sさんが払った費用が新聞報道にある約1850万円であれば、私とほぼ同じである。
それなら、私が渡航させてもらえなかった理由は何かと言うと、中央アジア滞在時のコストと、クローズアップ現代にも出ていたトルコ人医師に払ったドナー費用で、菊池氏らの取り分がなくなってしまったからであろう。(これはNPOが定額制を取っている以上、彼らのリスクの一つだ。)

おそらく、かの番組を見た視聴者の多くが感じたであろう。
臓器移植法違反容疑で逮捕された菊池仁達氏は、番組で公開された録音テープにあったように、まさに守銭奴だったのだ。

それゆえに、私は海外腎移植の機会を半永久的に失った。(外国人への移植手術が合法とされるベラルーシに個人渡航できる可能性は残るが、帰国後の受け入れ病院の問題がある。)
この損失は私の人生における残された時間を思うと、相当なんてものではない痛手なのだ。

そして、関係者が口を揃えて言うのは、「菊池氏が患者に寄り添い、(外国人への移植が合法とされる)ベラルーシに特化した事業をやっていればここまで追い詰められることはなかっただろう」と・・・
結局、菊池氏の逮捕は、私の後ろに控える潜在渡航移植希望者の命運も左右されることになってしまったわけだ。

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