去る9月6日、「束の間の一時外出、そして国際親善病院から退院」で触れた各種の医療証のうち、等級が更新された身体障害者手帳と、重度障害者医療証を受け取るために、区役所へ出向いた。
今年の2月4日付で書いた「負傷事故から1年~身体障害者手帳を取得しました」のときは、両下肢機能障害の中でも最も軽い等級だったものが、今回の更新は、じん臓機能障害の中で最も重い等級になったために、文字通り、重度障害者ということになってしまったのだ。
申請した各種の医療証はどのように役立ったのか
去る6月1日の「人間万事塞翁が馬~突然ですが、国際親善病院に入院します」以降、私が申請した療養証は全部で4種類、すべてが医療費を軽減させるものなのだが、実に日本の健康保険制度が恵まれていると感じると同時に、これが崩壊したらどうなるのだろうかと震撼させられるものがあった。
ちなみに、申請書はすべて入院先に直送してくれたので、退院と同時に手続きできたことは朗報と言えようか。
【健康保険限度額適用認定証】申請書を郵送して1週間ほどで受領
- 私が2020年5月12日付で掲載した「医療費100万円の衝撃、もし限度額適用認定証なかりせば」(聖マリアンナ医科大学本院での入院費)が、今回の入院時(国際親善総合病院での入院費)にも再現された。
- 「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関等の窓口に提示すると、1ヵ月(1日から月末まで)の窓口での支払いが自己負担限度額までとなる。
- 医療費の支払いに際して、お金に余裕があれば、自己負担限度額を超えた額が払い戻される「高額療養費制度」を使っても構わないのだが、私のように手術をしたり、入院が数日でなく、1週間以上に長引きそうな場合は、病院の会計の締め日までに、限度額適用認定証を入手すべきであると警告したい。
【健康保険特定疾病療養受療証】申請書を郵送して1週間ほどで受領
- 人工透析を実施している慢性腎不全の患者については、申請月の分より自己負担の限度額は10,000円となる。
- 申請にあたっては、医師の意見書等が必要になるため、透析通院が決定した段階でドクターに依頼すると良い。
【横浜市 特定医療費(指定難病)受給者証】申請書を提出(郵送)して2か月ほどで受領
- 指定難病と診断された場合、この受給者証の申請日以降の医療費が軽減されるもの。
- 1級・2級の身体障害者手帳が交付されている場合は、重度障害者医療証が入手できるため、この受給者証を使う機会はほぼないと思われる。
身体障害者1級認定
身体障害者手帳の更新
人工透析を必要とする腎不全に陥った場合、身体障害の等級はほぼ間違いなく1級になるようだ。
横浜市の身体障害者診断書意見書作成の手引(認定基準)にも
等級表1級に該当する障害は、じん臓機能検査において、内因性クレアチニンクリアランス値が 10ml/分未満、又は血清クレアチニン濃度が 8.0mg/dl 以上であって、かつ、自己の身辺の日常生活活動が著しく制限されるか、又は血液浄化を目的とした治療を必要とするもの若しくは極めて近い将来に治療が必要となるものをいう。
と書かれている。
重度障害者医療証を取得
1級もしくは2級の身体障害者手帳が交付されている場合は、重度障害者医療証を申請できるので、自立支援医療(更生医療)の給付申請も、特定医療費(指定難病)受給者証の申請も必要ない。
重度障害者医療証を持っていれば、
健康保険に加入している重度の障害のある方が、病気やケガで医療機関にかかったときの保険診療の一部負担金を助成する制度です。
入院中の差額ベッド代など保険診療の対象とならない費用、及び食事代は助成されません。やむをえない理由により重度障害者医療証を提示できず受診した場合や、この制度を扱わない病院や県外の病院で受診した場合は、お住まいの区の区役所保険年金課保険係で手続きをすれば払い戻しが受けられます。
とあるため、有効期間に示された保険診療は無料となり、既払い分は還付される。
もっとも、身体障害者手帳の等級の判定をするのが、区役所の保健師でないのと、認定までに2か月ほどかかるので、自立支援医療(更生医療)の給付申請も、特定医療費(指定難病)受給者証の申請も、念のためにすればと言われるが、病院のドクターが言うように、余程のことがなければ不要であると言える。
それに、保険適用されない診断書の料金は、重度障害者医療証を呈示しても、タダ(還付)にはならないので、注意した方がいいだろう。
国際親善病院の入院費用はどうなったか
ちなみに、国際親善病院に入院していたときの費用がどうなった書いてみた。
6月の保険分は、健康保険限度額適用認定証による上限額、7月分と8月分は重度障害者医療証により自己負担額なし、保険外負担は病院都合による個室料(免除)と診断書料となっている。
高額療養費などの制度がないと仮定して、健康保険の3割負担で計算すると、合計で約260万円、これだけの費用を社会保障で賄ってくれているのだから、日本にいて恵まれていると言わずして何と言えばいいのだろうか。
保険 | 保険(食事・生活) | 保険外負担 | ||
2021年6月 | 合計 | 1,376,070円 | 64,508円 | 24,750円 |
自己負担額 | 57,600円 | 40,480円 | 2,750円 | |
請求額 | 100,830円 | |||
2021年7月 | 合計 | 632,920円 | 25,710円 | 296,430円 |
(7/1から7/13) | 自己負担額 | 0円 | 0円 | 8,800円 |
請求額 | 8,800円 | |||
(7/26から8/1) | 合計 | 584,490円 | 13,238円 | 154,000円 |
自己負担額 | 0円 | 0円 | 0円 | |
請求額 | 0円 |
福祉タクシー利用券の給付
身体障害者手帳を受け取りに区役所の福祉保健センターに行くと、担当保健師から「障害福祉のあんない」という200ページにも及ぶ冊子を渡され、自分が受けられるサービスの説明をされるが、横浜市の場合は、公式ウェブサイト上の「障害福祉」のカテゴリーにある「障害程度別該当事業」を見れば、大まかなところはわかるようになっている。
ちなみに、私の場合は、「内部障害1級」が加わったので、最も助かるのが、福祉タクシー利用券だ。
何しろ、透析は大雨が降ろうが、雪が降ろうが行かないわけにはいかない。
今まで、荒天時の通院のときにはタクシーに乗らざるを得ないときも多かったので、これは利用価値が高いように思う。
とりあえず、年間168枚(500円×168=84,000円)あるので、台風の襲来期や厳冬期には使い勝手があるだろう。
水道料金等の減免
水道契約者の世帯で、1級もしくは2級の身体障害者手帳を持っている人がいると、水道料金の基本料金相当額と下水道使用料の基本額相当額が免除される。
減免申請は、身体障害者手帳を受け取る窓口(福祉保健センター)はできるが、承認まで1カ月ほど時間がかかるので、それまでの間は支払いが必要となるが、後で還付される。
最後に
去る7月13日に申請した医療・福祉関係の手続きに関して、9月6日にすべての書類を受け取ることができた。
それにしても、福祉関係の手続きは制度が多岐に渡り、一般の高齢者夫婦などは、漏れなく申請できるのだろうかと思う。
また、今回受け取った横浜市の重度障害者医療証により、保険が適用になる医療費はすべて公費負担になるとのことだが、家計的には助かる反面、この恵まれた境遇がいつまで続くのか。
もっとも、医療費がタダになるからといって、このまま透析人生を続けたいかというと、NOと言わざるを得ないだろうな。
やはり、人生は健康第一だよ。
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