株式譲渡所得の確定申告のためには記帳が大切!

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スマホを操作する女性

今年も無事にe-Tax(国税電子申告・納税システム)による所得税の確定申告が終了した。

2012年の後半から本格的に配当所得(dividend income)狙いの投資にシフトしたことから、昨年は株やファンドの売買はほとんどなかったが、円貨、外貨ともに配当(分配)金が毎月入ってくるようになったので、年間所得の計算のために「確定申告用-株式投資損益計算書(Excel)」を用意し、それに基づいて申告書を入力した。

私は元々、こうしたエクセルファイルは自作していたのだが、今後は恒常的に使うことになりそうなので、株式投資セミナーの講義を元に刷新することにしたのだ。(2014年2月12日-バリュー投資セミナーに参加してわかった意外なこと

ちなみに、ここ数年は面倒で申告していなかった外国税額控除のところが、久々に入力してみると自動計算となっており、これは日本の証券会社で外国株や海外ETFが普通に買えるようになったことが大きいのだなと感じた。

ところで、昨年はアベノミクス相場で投資で利益が出た人も多いと思うが、過去3年間に繰越譲渡損失がある人で、それと相殺して税金を軽減(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除)しようという人は注意しなければならないことがある。

これを私は「株式投資における損益通算の罠」と呼びたいほどなのだが、専業主婦など税法上の被扶養者となっている人が、源泉税の還付申告をしてしまうと、損益通算前の株式譲渡益が合計所得金額に計上され、相手方の扶養控除枠を外れてしまう可能性がある。

そうなると主たる納税者(多くの場合は夫)に所得税、住民税の追徴を始めとする苛酷な(!?)ペナルティが課せられることになる。
また、自営業者や年金生活者など国民健康保険加入者も、7月頃に請求される保険料の通知書を見て卒倒することになりかねない。

とりあえず、実際に自分が住んでいる自治体の国民健康保険料の計算方法を見るといいだろう。
但し、タックスアンサーの上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度の項目で「5 その他」の扶養控除等の判定(※)には、申告分離課税を選択した配当所得を株式譲渡損と相殺する場合は、配当(分配)金は合計所得金額に含まれないとあり、ここまで複雑にするか、と言いたくなる。(2013年11月29日-専業主婦と年金生活者に有利なニーサ(NISA)口座 2014年2月22日-「知っているようで意外と知らないお金について大切なこと」第28弾~中級編~

また、過去に買った株、これは主として特定口座で取引できない外国株になるが、その取得価額がわからない場合、確定申告をするにはどうしたらいいか。

日本の証券会社で投資する外国株や海外ETFに関しては、マネックス証券が2013年12月から米国株や米国ETFが特定口座で取引可能になったようだが、基本的には一般口座(所得税法第225条第1項第10号による株式等の譲渡の対価等の支払調書の対象)での取引だろう。

そうなると、確定申告のためには逐一取引報告書を保管し、売買記録を付けていなければいけないのだが、そういった書類を紛失してしまう可能性もある。
あるいは、TD Ameritradeのように強制的に口座を閉鎖させられて、取引記録がオンライン上で確認不能になる場合もある。

この場合、2010年(平成22年)12月31日までなら「平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例(旧租税特別措置法第37条の11の2)」というものがあり、2001年(平成13年)10月1日の終値の80%で取得費を計算できたのだが、現在ではそういった制度は利用できない。

そこでどうするかと言うと、原則は、タックスアンサーの「No.1464 譲渡した株式等の取得費」-「5 取得費が分からない場合などの取扱い」で、取得費の額を売却代金の5%相当額とすることができるとあるが、相当に不利な計算を強いられることになる。(租税特別措置法通達37の10-14

相当に不利というか、株式相場の常識を知らないのかと、税務署に怒鳴り込みたくなる、10倍に騰がった株でも損する基準だ。
そこで、国税庁から「上場株式等の取得価額の確認方法(平成22年6月)」という譲渡・山林所得関係のパンフレットが出ているので、それを参考に取得費を算出して確定申告をするといいだろう。

そこには、こう書いてある。「本人の手控え(例:日記帳や預金通帳)で確認できれば、それを取得価額にできる。」
バリュー投資セミナーの講師、角山智氏は言う。「記帳が大切だ!」

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