去る5月29日は、友人が所用で高円寺に来るというので、私も久々にリアルで会合ができることを期待して、さっそく馳せ参じることにした。
前回、高円寺に来たときは、「緊急事態宣言再延長雑感~高円寺で散髪&昼飲み」とあるように、緊急事態宣言下であったものの、投資家仲間で昼飲みをしたことが記録されている。
それが大きく変わったのは、東京都緊急事態措置等に、酒類提供施設の全面休業要請(禁酒令)が加わったゴールデンウイーク(4月25日から5月11日まで)からだ。
これでも飲み屋街にとっては死刑宣告同然なのに、それが5月12日以降も際限なく延長されることが決まったとき、それまで素直に行政に従ってきた飲食店の一部が、反旗を翻し始めたことがインターネット上で流れてきた。
おかしいなと思ったのは、高円寺駅からしばらく歩いたとき、街角のある居酒屋で、大勢の人がビールのジョッキを傾けながら楽しんでいる光景だった。
確か、東京都の緊急事態宣言下では酒類提供しているところは休業要請しているはずだが・・・と思って店に近づくと、堂々と張り紙がしてあって、
当店は5月12日より通常営業いたします。
と書かれていた。
これが私が目にした最初の高円寺レジスタンス(抵抗)だった。
そこから路地を入って、飲み屋街に行ったとき、そこで目にした光景は、私の想像をはるかに超えていた。
最初は夕食だけ取って帰るはずだったのが、飲み屋に入ることになってしまった。
土曜日の夜ということで、かなりの人がいて、至るところで「お酒飲めます」の張り紙がされていた。
そこで、「鉄板ホルモンの四文屋」に入った私も、生ビールを注文、久々の喉越しに感激(笑)、でも、最近で家飲みもやめていたせいか、ずいぶんと酔いが回るのが早くなった気がする。
今までならアルコールのメニューのある光景など珍しくも何ともなかったが、ゴールデンウイーク以降、首都圏下で禁酒令(酒類提供施設の休業要請)がされてからは、滅多に見られなくなった。
それにしても、こうした酒類提供施設への休業要請などが、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)第45条に基づくなどと、したり顔で書かれているが、それに対する補償規定(事業者に対する支援等)は、第63条の2に書かれているだけで、しかも政府や地方自治体にとって絶対的な義務ではない。
法技術的には片方が協力要請だから、片方も努力義務だというようにも見えるが、日本のように同調圧力が強く、要請という名の強制になりがちな国ではこれでいいのだろうか。
高円寺レジスタンス(抵抗)、一部の飲食店の通常営業再開が吉か凶かは、街を歩く市民の表情を見れば一目瞭然だ。
私に言わせれば、横浜市の野毛あたりもそうして欲しいところだ。
私がこのことをフェイスブックのタイムラインに、リアルタイムで上げたとき、久々の大きな反響があった。
もちろん、苦々しく思う人は何も言って来ないだろうが、私の投稿に対するリアクアションは好意的なものが溢れていた。
帰りの電車は夜の9時過ぎのものだった。
高円寺の町は相変わらず煌々と明かりが付き、ここが緊急事態宣言下の町であることを忘れさせてくれる。
コロナ禍前なら座ることなどできなかった中央線の電車も、今は、長椅子に寝ることができるほど空いていた。
新宿から乗った相鉄・JR直通線も同じだった。
窓を開け、マスクを外し、外の新鮮な空気を吸いながら帰宅するのは極めて快適なことだった。
2021年5月26日付のダイヤモンドオンラインは、経済評論家で楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏のコラム「獺祭の意見広告に全面賛成、飲食店への非合理的『禁酒法』を改めよう」を掲載していた。
首都圏や関西圏の知事や医師会長、緊急事態宣言継続論者は、一度くらいこれを読んだらいかがか。
旭酒造の意見広告に、「例えば兵庫県の感染経路別患者数のパーセンテージを見ても、家庭52.1%、職場16.2%、福祉施設7.5%などに対して、飲食店は最下位のわずか2.9%です」とある(※データは兵庫県のホームページ)。
飲食店経由の感染が少ないことには、これまでの対策の効果も反映されているのだろうが、これからさらに飲食店を対策の的とすることの効果の乏しさは明らかだろう。
飲食の現場は感染がイメージしやすいし、業界としてまとまった政治力がないこともあって、政府や自治体が「やっているふり」をするに際して、格好のターゲットにされてしまっているのではないか。
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