2021年3月20日、BBC Japanが「東京五輪・パラ、海外からの観客受け入れ見送りを決定」(原文:Tokyo 2020: No international fans at Olympics and Paralympics)と報じたように、7月23日から開催される予定の東京オリンピックには、外国在住の一般観客は受け入れないことが決まった。
BBCの記事によれば。
The exclusion of international fans comes as another major financial blow to the Tokyo Games.
Costs for the Games have increased by $2.8bn (£2.1bn) because of measures needed to prevent the spread of Covid-19 but organisers have consistently ruled out a delay.
海外の一般観客を受け入れないことで、東京五輪・パラは今まで以上に経済的打撃を受けることになる。
パンデミック対策のため、開催費用はすでに22%増の2940億円が新たに必要となった。
と書かれている。
もはや、東京オリンピックによる経済効果どころか、国も東京都も大きな負債を抱えて、にっちもさっちもいかない状況ではなかろうか。
私がインバウンドに期待していたこと
私は、56年ぶりの東京オリンピックそのものも楽しみにしていたということもあるが、インバウンドの増加とオリンピック開催の相乗効果で、観光庁のアクション・プログラムにもあるように、日本が観光立国として成長していくことを期待していた。
それに、多くの日本人が生身の外国人との会話を通して、英語を話す楽しみを感じることも期待していた。
実際のところ、ここ数年のインバウンドの増加によって、英会話をやることで売上が上がるのなら、おっとり刀でも付け焼刃でもやろうという機運が、観光業やサービス業を中心に芽生えていたからだ。
私がこんなことを書いているのは、平成時代の海外旅行を通して、昨今、発展著しい東南アジア諸国で、米ドルと英語を操れることが豊かさへのパスポートだということを感じてきたからだ。
私は、コロナ禍が収まるまでの数年間で、日本人もそうなるような気がしているのだ。
続:日本が観光立国を目指すというのはタチの悪いジョークだったのか
日本人が国内で働いていて、米ドルと英会話力を手に入れられる仕事の一つが、観光業や飲食業だった。
それは今後も続くはずだったが、コロナ禍で頓挫した。
しかも、頓挫しただけではなく、まるで観光業や飲食業がコロナウイルスの感染拡大の根源かのように、多方面から十字砲火を浴びた。
普段の通勤でも県境を超えた移動はザラなのに、それ以外の用事なら自粛せよとか、まるで江戸時代の関所を復活させたいのかと思えるような政策が大手を振ってまかり通った。
Go To トラベル事業の再開も否定的な世論の中では、インバウンドの受け入れ再開などますます望めないだろう。
ここまでくると、マスメディアの論調や、それに踊らされている国民感情を鑑みて考えるに、私が2020年7月19日付で掲載した「日本が観光立国を目指すというのはタチの悪いジョークだったのか」というところに落ち着くと思う。
かつて私が言った、これからの日本は観光で食べていくべきではないかという意見に賛否両論あるだろうが、レジャーを敵視する政策決定者たちのコロナ禍を巡る騒動を見るにつけ、私は絶望的な未来しか見えない。
日本で世界を相手に稼げる産業が何かと言われて、トヨタ自動車(コード:7203)としか言えない現状で、国民一人一人が、ほかに稼げる術を見出せなければ、私は近い将来の日本が、超絶な貧乏国家になり下がるような気がしてならない。
世界に向けて安倍前首相がついたアンダーコントロールのウソ
2020年9月16日に内閣総辞職した安倍晋三前首相の、連続在任日数は2822日、第1次政権を含む通算在任日数は3188日で、いずれも憲政史上最長記録となった。
政策面では当然ながら功罪両面あったのは致し方ないものの、歴史上、決して拭い去れない大罪が、10年前の東日本大震災で、世界最大級の事故を起こした福島第一原子力発電所に関するウソだろう。
これは、2013年9月7日の「IOC総会における安倍総理プレゼンテーション Presentation by Prime Minister Shinzo Abe at the 125th Session of the International Olympic Committee (IOC)」の一節だ。
フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。
Some may have concerns about Fukushima. Let me assure you, the situation is under control. It has never done and will never do any damage to Tokyo.
あまりにも有名な、安倍晋三前首相のアンダーコントロール演説だが、2013年当時は無論、10年経った今でも、福島第一原発が制御可能な状態にあると思っている人間はどのくらいいるのか。
第一、オリンピック招致演説のわずか6日後に、日テレNEWS24で「汚染水問題、コントロールできてない~東電」と報じられ、その1か月後には、Business Insiderでも「Japan Admitted Fukushima Is Not ‘Under Control’ Six Days After Getting 2020 Olympics」と書かれた。
極めつけは、2016年9月7日付のブルームバーグ「アンダーコントロールは『うそ』-小泉元首相が特派員協会で原発批判」と、Reutersの「Abe’s Fukushima ‘under control’ pledge to secure Olympics was a lie: former PM」で、これで全世界にアンダーコントロール演説がウソだと広まったに違いないのだ。
2013年9月8日付のロイターの記事「五輪=2020年招致、東京は信頼性と財政力が決め手に」によれば、アンダーコントロールと言わなくとも、東京にオリンピックが招致されていた可能性は高いが、仮に、他都市で開催の予定だったとしたら、日本の新型コロナウイルス対策がもっとまともにできていたような気がしないだろうか。
さらに言うなれば、2011年3月11日の福島第一原発事故が、菅直人内閣当時に発生したため、ほとんどの論調は彼の重大な失態になっている。
もちろん、彼がうまく事故に対処できなかったことは確かだが、それ以前に原発事故の原因を作ったのは、第1次政権当時の安倍晋三首相と、広瀬研吉資源エネルギー庁原子力安全・保安院長、そして、勝俣恒久社長(後に会長)以下旧東京電力経営陣だ。
Literaというニュースサイトで、毎年3月11日になると、安倍晋三前首相の原発政策を糾弾する記事が書かれている。
ベースとなるネタは、2006年(平成18年)12月13日付の日本共産党吉井英勝衆議院議員の「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」と、それに対する安倍晋三首相の答弁だ。
一方で、第3次小泉内閣(改造)当時の2006年(平成18年)3月1日に開催された「第164回国会 衆議院 予算委員会第七分科会」の吉井英勝議員(分科員)と広瀬研吉資源エネルギー庁原子力安全・保安院長(政府参考人)、二階俊博経済産業大臣らとの「原子力発電所の地震、津波対策」に関するやりとりもあるが、こちらには触れていないようだ。
それとも、小泉純一郎元首相は、後に原発を推進していたことを恥ずかしいと言ったために、批判の対象から外したのだろうか。
- 安倍晋三が「震災復興は私の五輪招致スピーチに沿って進んできた」と妄言! ならば今年も言う 福島原発事故の最大の戦犯はお前だ(2021年3月11日)
- 今年も言う、福島原発事故の最大の戦犯は安倍首相だ! 第一次政権時代“津波で冷却機能喪失”を指摘されながら対策を拒否(2020年3月11日)
- 何度でも言う! 安倍首相こそが福島原発事故の最大の戦犯だ! 第一次政権で津波による冷却機能喪失対策を拒否(2019年3月11日)
- 3.11に改めて問う安倍首相の罪! 第一次政権で福島第一原発の津波、冷却機能喪失対策を拒否した張本人だった(2018年3月11日)
最後に
東京オリンピックに向けて尽力されている選手や関係者には申し訳ないが、ここまでくると開催中止を視野に入れた方がいいのではないか。
2019年1月11日付のBBC Japanでは「東京五輪招致汚職容疑、JOC竹田会長を訴追手続き 仏当局」という報道もあり、呪われた東京五輪と言うか、泥塗れになっている感がある。
まして、一部とはいえ、The Radioactive Olympics Tokyo 2020(放射能五輪東京2020)という参加拒否サイトが立ち上がっているくらいだから、コロナ禍がなかったとしてもどうなったことか。
コロナ禍で揺れ続ける東京オリンピック、酷暑の中でやることについても、ブラックボランティアと言われる問題もある中、いっそのこと中止でいいのではないだろうか。
私としては自国開催のオリンピックが見られる最初で最後のチャンスかもしれないのだが・・・
コメント
前提として、個人的にはオリンピック開催は無理だなと思ってます。
「人類がコロナに打ち勝った大会にする」とか、カルロス氏が書かれていたような前首相の二枚舌とかは、具体策が何も示されてないんですよね。
発想も古くて、「聖火リレーは人が集まる可能性があるので、スキップすることもある」とか。
聖火リレー、開会式、閉会式、別にやらなくてもいいんじゃないかという考えはないんですかね。
なんたって未曽有の状況なんだから。
規模は違いますけど、テニスのオーストラリアンオープンみたいな発想の仕方は浮かばないんでしょうかね。
これも、奴らの古臭い考えと、一部の体育会脳しかないからでしょうかね。
聖火リレーは今日から始まるんですか。もうかつての大本営のように玉砕するまで進むでしょう。
日本の政治家は文系官僚の操り人形だから作文読んでるだけ、それが酷くなったのが今、質問されたり、批判されても、安倍みたいに逆切れするか、菅みたいに答えない。
発想の転換なんかないですね。アメリカ様が言わない限り(爆)