2019年12月10日の負傷事故から1年、入院生活とリハビリの日々が続いていたが、友人の勧めもあって身体障害者手帳を申請し、このたび両下肢機能障害ということで6級の認定を受けることになった。
私の場合は、医療関係者の尽力の甲斐もあり、おかげさまで国際親善総合病院のドクターでさえ、身体障害者手帳を申請してもどうかな~というレベルにまで回復していたのだが、手帳をもらえるレベルとしては最も軽度な等級で認定がされたようだ。
身体障害者手帳の申請から受領までのタイムライン
私は現職時代の経験からも、福祉関係の手続きは途方もなく時間がかかることがわかっていたので、2020年10月に身体障害者手帳を申請することを決意した。
これは、戸塚共立リハビリテーション病院にいた頃に、理学療法士のOさんから「退院してしばらくしたら(事故から6か月を経過した後に)申請してみたら」と言われていたものだが、退院後は、かなり回復状況が良かったので、申請を延び延びにしていたのだ。
月日 | 出来事 |
2020年11月2日 | 国際親善総合病院へ通院、身体障害者手帳申請用の診断書の作成依頼 |
2020年11月11日 |
必要書類
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2020年12月16日 | 2020年12月8日付で障害者更生相談所から通知のあった、診断書の不備補正のため、国際親善総合病院へ通院後、書類を区役所に再提出 |
2021年1月29日 | 2021年1月21日付で身体障害者手帳の交付連絡あり、区役所で現物を受領 |
横浜市では2021年(令和3年)6月からのお渡しに向け、横浜市にお住まいの障害者手帳をお持ちで、カード様式での障害者手帳を希望する方に対して事前申込みを開始します。
なお、現在の紙様式の障害者手帳を引き続きお使いいただく方はお手続き不要です。
身体障害者手帳を持っている人が受けられるサービス
身体障害者手帳を受け取りに区役所の福祉保健センターに行くと、担当保健師から「障害福祉のあんない」という200ページにも及ぶ冊子を渡され、自分が受けられるサービスの説明をされるが、横浜市の場合は、公式ウェブサイト上の「障害福祉」のカテゴリーにある「障害程度別該当事業」を見れば、大まかなところはわかるようになっている。
ちなみに、私の場合は、「肢体不自由(上肢・下肢・体幹)6級」なので、主として、公共交通機関の運賃の割引など外出支援サービスと、各種税金・公共料金の減免、日常生活用具の給付が受けられることがわかる。
ただ、窓口の保健師からは、ウェブサイトに書いている内容とほぼ同じことを、延々とレジュメを見せられながら説明されるので、ITに疎いと思われる高齢者が相手ならともかく、相手によって硬軟を付けた方が彼女たちの仕事も楽になるだろう。
そもそも、身体障害者手帳を受け取りに窓口に行く必要があるのは、戸籍・住民異動届出時及び諸証明請求時の本人確認など、これが、官公庁や金融機関、それ以外の局面でも本人確認書類として有効に機能するものであるからというのが私の認識なのだが、そうした意識が彼女たちの口ぶりからは感じられないのは気のせいだろうか。
公共交通機関の運賃の割引
国内航空運賃の割引
国内航空運賃の割引については、従来より航空各社のウェブサイトで直予約をしてきたこともあり、障害者割引の制度があることは知っていた。
コロナ禍が続いていることもあり、国内旅行もなかなかしづらいところだが、飛行機の旅の方が障害者にとっては快適なことは確かだろう。(参考:2011年10月-蘇州・香港旅行)
参考までに、航空各社の障害者割引運賃については下表をご覧いただきたい。
障害者割引運賃はなくとも、搭乗に際してのサポートがあるので、それぞれのウェブサイトで確認するといいだろう。
航空会社 | 障害者割引運賃 | 航空会社 | 障害者割引運賃 |
ANA | あり | JAL | あり |
AIR DO(エア・ドゥ) | あり | スターフライヤー | あり |
春秋航空 | なし | ソラシドエア | あり |
ジェットスター | なし | ピーチ | なし |
スカイマーク | あり | フジドリーム | あり |
JR各社の鉄道運賃の割引~乗り鉄の節約術
横浜市のウェブサイトに掲載されている鉄道運賃の割引についての解説のほか、第2種の旅客鉄道運賃割引の効く身体障害者手帳保有者について受けられるJR各線の割引は、以下のとおりとなる。
JR東日本-身体障害者旅客運賃割引規則(2019年4月1日現在)
第1条
この規則は、身体障害者が、単独で又は介護者とともに、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社(以下これらを「旅客鉄道会社」という。)の経営する鉄道(以下これらを「旅客鉄道会社線」という。)及び連絡運輸の取扱いをする会社線(以下「連絡会社線」という。)を乗車船する場合に適用する。
第2種障害者の場合は、片道100kmを超える区間について半額になるので、Suicaで乗車して下車駅で清算するのではなく、切符発売窓口に手帳(第1種または第2種がわかるページ)を提示して切符を購入した場合は、乗り鉄が使う節約術が通用する。
つまり、身体障害者手帳を提示して100kmを超える区間(101km~120km区間)のチケットを買えば、途中下車して前途を放棄しても、普通大人運賃を払うよりも得になる区間が存在するわけである。
横浜から乗るJR東日本の路線 | 障害者手帳提示で片道120km以下(2,310円の半額)の区間 | 普通大人運賃で71km超(1,340円)の区間 |
東海道本線(熱海方面) | 新橋-伊東 | 横浜-熱海 |
上野東京ライン・高崎線 | 横浜-本庄 | 横浜-桶川 |
上野東京ライン・宇都宮線 | 横浜-自治医大 | 横浜-白岡 |
上野東京ライン・常磐線 | 横浜-石岡 | 横浜-取手 |
横須賀線・総武線・内房線 | 横浜-君津 | 横浜-蘇我 |
横須賀線・総武線・外房線 | 横浜-上総一ノ宮 | 横浜-蘇我 |
横須賀線・総武線・成田線 | 横浜-成田空港 | 横浜-蘇我 |
横浜線・中央本線 | 横浜-山梨市 | 横浜-四方津 |
私鉄運賃の割引
第2種の旅客鉄道運賃割引の効く身体障害者手帳保有者に対する神奈川県内を走る主な私鉄各線の障害者割引は次のとおりだ。
- 相鉄線 相鉄線およびJR線(東日本旅客鉄道株式会社)を通算した旅客運賃計算営業キロが片道100kmを超えて利用のときに限り、普通乗車券を5割引で発売。
- 東急電鉄 東急線およびJR線(東日本旅客鉄道株式会社)を通算した営業キロが片道100kmを超えて利用のときに限り、普通乗車券を5割引で発売。
- 京浜急行電鉄 京急線から1枚の乗車券で発売できる範囲で他社線へ連絡となり、通算の営業キロ程が101km以上利用のときに、普通乗車券を5割引で発売。(1km未満は1kmに切り上げ)
- 小田急電鉄 101km以上乗車の場合で、予め各駅の窓口できっぷを買い求める場合に、普通乗車券を5割引で発売。
バス運賃の割引
バス運賃の割引は、横浜市営バスのほか、地元で運行している相鉄バス、そして、通院で使う神奈中バスについては、半額で乗車することができる。
これ以外でも概ね半額で乗車できるような感じなので、バスで行けるところについては、これまで以上に使うことになるだろう。
タクシー料金の割引
タクシー料金の割引が10%引きになるのは、極度の疲労時や悪天候のときには利用する機会が多いので、多少なりともありがたいと思う。
できれば、福祉タクシー利用券も欲しいところなのだが、下肢・体幹・視覚・内部障害のいずれかを含む1・2級の身体障害者手帳を持つことが条件だと、介護タクシーを使わないといけなかった昨年の4月の状態でも無理だっただろう。
各種税金・公共料金の減免
身体障害者手帳を持っていると、各種税金・公共料金の減免を受けられることになるようだが、とりあえず、私にとって関係ありそうな税金の控除や減免は次の項目になろうか。
- 所得税の障害者控除
- 市民税・県民税の障害者控除
- 市民税・県民税の非課税(障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で、前年の合計所得金額が125万円以下の人)
- 相続税に関する障害者の税額控除
一方、公共料金の減免に関するものは、次のとおりだが、この中で懐かしの響きがあるのはマル優、平成初期までのように、基準割引率および基準貸付利率(旧称:公定歩合)がまともな金利だった頃は、マル優も意味があったと思うが、今はブログネタにしかならないだろう。
第一、これを知っている人は50代以上だと思われるが、いかがなものだろうか。
日常生活用具の給付
身体障害者手帳を持っていると、日常生活用具の給付が受けられることがある。
この制度のやっかいなところは、
身体障害者手帳の障害の種別や、障害者手帳の程度等により、給付できる品目が異なります。
と書かれていて、逐一、担当保健師に確認を取ってから物品購入前の事前申請をしないといけないことだ。
基本的には、「障害福祉のあんない」という冊子の中に「日常生活用具・補装具等」と書かれているものから選択することになり、私の場合は、下肢機能障害6級のため、入浴補助用具(破損時、給付額の上限は税込90,000円の物品)とT字つえ(3年ごと、給付額の上限は税込4,000円までの物品)が購入可能な物品だそうだ。
要は、私がカッコ書きで注釈を入れたところを担当保健師に確認せよということらしいが、横浜市重度障害者(児)日常生活用具給付等事業実施要綱まで見ないと、ウェブ上では確認不能だということは、一般の市民にとって相当に厳しいと思う。
そして、どこのサービス事業所(福祉用具貸与・特定福祉用具販売業者)に依頼すれば、見積書の取得や物品の購入がスムーズにいくかと言うと、「横浜市介護保険総合案内パンフレット(ハートページ)」という100ページ以上に及ぶ電話帳をいただけるので、そこから探すといいらしい。(笑)
そこで、そんなに暇じゃない!とお怒りの方は、横浜市版ハートページナビというところで検索するといいだろう。
仮に、こうした自治体の事務仕事に不慣れな業者の場合、事業者向けページ(日常生活用具)を見せて理解を得るところから始めないといけなくなるかもしれないので注意が必要だ。
ちなみに、私はどうしたかというと、昨年末まで訪問リハビリに来ていただいていた横浜市福祉サービス協会のスタッフに相談した。
結論から言うと、これが最善のやり方だと思うし、物品の購入が完了したら、またブログにアップしようと思う。
就活
思い起こせば、私に対しては就活(就労・雇用)に関する説明は何もなかった。
自分で探せる人は省くことになっているのか、今年の春以降、いずれかのタイミングで、現時点で受給期間が延長されている雇用保険の延長解除をしてもらうためにハローワーク横浜へ再訪しないといけないだろう。(2020年6月19日-ハローワークで雇用保険の受給期間延長手続き)
ハローワーク以外で横浜市のウェブサイトに掲載されていた障害者の雇用・就労支援機関は
最後に
時折、メディアのニュースなどで、身体障害者や要介護の人の面倒を見ている方々の苦難の様子が報じられることがある。
もちろん、仕事や日常の家事をしながら、健常者ではない人と生活を共にする苦労は並大抵のものではないと思うが、こうした福祉関係の事務仕事の煩雑さがそれに輪をかけているだろう。
メディア記者たちは、したり顔で「制度があるのに利用されないのですかね~」とか言うが、日本の役所の情報は簡単に検索できるようになっていないので、該当の制度の入口にたどり着くまでに膨大な時間を要するのだ。
おまけに「詳しくは(執務時間中に電話で)お問合せください」というセリフの多いこと・・・
いつになったら、それが市民と公務員(最近では多くの場合、非常勤スタッフ)双方の莫大な時間の浪費を招いていることに気づくのだろうか。
私が「ハイクラス人材の副業紹介『クラウドリンクス』への招待オファー」で紹介した神戸市公式ウェブサイトの見直しプロジェクトを、外部のIT人材に委託したことを褒めたのは、こういった過去の惰性の産物を打ち破ってくれることを期待してのことだ。
正直言って、こうしたことを全国の自治体は元より、政府機関にも広げて欲しいと思っている。
ほかにもお読みになりたい方へ
健康保険給付のトピックス
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