青春18きっぷの愛用者や乗り鉄に親しまれていた東海道本線の臨時夜行列車「ムーンライトながら」が正式に廃止された。
このことについて、JR東日本とJR東海は、2021年1月22日付で、それぞれニュースリリースを発表し、「2021年 春の増発列車のお知らせ」と「“春”の臨時列車の運転計画について」の中で、
臨時列車の快速「ムーンライトながら」につきましては、お客さまの行動様式の変化により列車の使命が薄れてきたことに加え、使用している車両の老朽化に伴い、運転を終了いたします。
と伝えている。
また、タビリスではJR各社の報道を受けて「さよなら『ムーンライトながら』。廃止を正式発表。25年の歴史に幕」と報じているが、実のところ、廃止は時間の問題だった感じもある。
青春18きっぷの愛用者や、乗り鉄の間では、廃止を惜しむ声が多いが、2009年2月のmixi仲間との京都オフの中で、私がこの列車に初めて乗った時のことを旅行記に書いていて、当時、私の抱いた感想は、多くの人にご賛同いただけるのではないかと思う。
一応、普通車とはいえ、座席がリクライニングになるので多少は楽なのかと思いきや、シートピッチが狭いので思ったより苦痛だ。
あまり気にしないでチケットを買ったのだが、この列車も国際線のエコノミークラス同様、通路側を選ぶべきであった。列車が走り出して小田原を過ぎたのが深夜0時30分、このあたりで車内の照明を少し暗くしてくれればいいのだが、結局は終点まで煌々と明かりがついたままであった。
これなら夜行バスの方が快適だと思うのは私だけなのだろうか。
そして、今や、夜行バスに乗れば、深々としたリクライニングシートは無論、充電用のコンセントもあるので、それこそ、スマートフォンが普及していなかった時代はともかく、夜行列車で旅することは、それに楽しみを見出せる人しか、メリットを感じなくなってしまったと思う。
それに、この種の夜行列車に纏わるフリーライターの杉山淳一氏のコラム「満席のはずが乗客なし! 今日も“幽霊”が列車に乗っている」で書かれているようなことに対する苦情も多かったに違いない。
ただ、JR各社、例えば、JR東日本では旅客営業規則で、1人の乗客が、同一列車において、複数の指定券を持つことに対し、
第147条(乗車券類の使用条件)
- 同一旅客は、同一区間に対して有効な2枚以上の同種の乗車券類を所持する場合は、当該乗車については、その1枚のみを使用することができる。
同一旅客が、同一区間に対し有効な2枚以上の指定券を所持する場合についてまた同じ。
と定められていて、乗り鉄の間では口泡を飛ばすような議論になることがあるが、実際に、常務車掌がこの規則を適用して、乗客に対峙したことは皆無だと思う。
いずれにしろ、このたびの運行廃止で、私が「ムーンライトながら」に乗ったのは、2009年2月と、2017年7・8月の四国旅行のときだけになってしまったようだ。
最後になるが、私が2014年3月27日付で掲載した「消えゆくブルートレインに思う」の一節を紹介して終わりにしたいと思う。
日本に残る夜行列車は今でも数少ないし、今後、旅情を感じられる列車はますます減っていくことだろう。
何だか寂しさを感じると同時に、国内旅行がますます味気ないものになっていくと思うのだった。
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