家計簿女子は節税もできる、市販薬購入年間12,000円で所得控除の対象に

この記事は約5分で読めます。


国税庁のウェブサイトで平成29年分の確定申告特集のページを開いたとき、重要なお知らせとして、「医療費控除が変わります」という表題を目にしたことはないだろうか。

所得税の医療費控除といえば、年間10万円を超える自己負担をするような、頻繁に通院している方でない限り、関係ないと思っている人が多いだろう。

ところが、今年の確定申告分から「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」といって、簡単に言えば、職場の定期健康診断(労働安全衛生法第66条第5項但書の場合を含む)や、全国健康保険協会や市町村(国民健康保険)で行っている特定健康診査、あるいはインフルエンザの予防接種などを受けた(健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行っている)人が、自分と扶養家族の全員分を合わせた市販薬の購入費用の合計が12,000円を超えれば、所得控除を受けることができるようになった。

なお、上述の取組(特定健康診査や予防接種など)にかかった費用は所得控除の対象とならないので、注意が必要である。(厚生労働省セルフメディケーション税制Q&A

これは通常の医療費控除と選択制になっているので、双方を合わせて申告することはできないが、かかった費用のレシートが保管されていれば、それを元に医療費控除の明細書を作成し、所得税の確定申告ができる。

つまり、今年になってこの制度を知ったところで、肝心のレシートを捨ててしまっていれば昨年分の申告はできないので、そういった方はこれからレシートを捨てずに取っておくようにしたい。(2017年3月14日 日経ウーマン-レシートは保管して! 市販薬でも税金が安くなる

幸いにして、レシートが見つかったが、すでに確定申告書を提出してしまった人は、3月15日までの確定申告期間内なら出し直しができるし、それを過ぎた場合は,法定申告期限から5年以内なら更正の請求ができることになっている。(国税庁-確定申告期に多いお問合せ事項Q&A-申告が間違っていた場合

ところで、セルフメディケーション税制に適合した市販薬をどうやって探すのか。

一番確実なのは、厚生労働省のウェブサイトにあるセルフメディケーション税制対象品目一覧を見ることなのだが、このリストと照合しながら薬を買う人はいないだろう。

そこで、タケダ薬品工業の身近な薬の活用ガイドが結構充実しているので、そちらで、税制などの知識も合わせて学習するといいかと思う。

もっと簡単に済ませるなら、街角の薬局なら聞けば教えてくれることも多いし、法令で義務付けられているわけではないので、すべての薬がそうなっているわけではないが、薬のパッケージや、購入した薬のレシートに、セルフメディケーション対象商品である旨が明示されていることもある。

ちなみに、アマゾンのセルフメディケーション検索を使うと、対象商品が検索できるので、オンラインで取り寄せるならそれを使うと便利だ。

例えば、これから本格化する花粉症対策用の点鼻薬「ザジテンAL鼻炎スプレーα」や、点眼薬「ザジテンAL点眼薬」など、この税制が適用になるものがあるので、購入するときの参考にするといいだろう。

私は幸いにも花粉症になったことはないのだが、2018年2月13日付の日経ヘルスの記事に「つらい花粉症 のみ薬より先手の点鼻&点眼薬が効果的」があったので紹介しておきたい。

*****************************************
納税難民(中)市販薬購入に税優遇-対象限定、使いにくく (2018.2.8 日経新聞)

「こちらが対象品です! 税控除対象」。サンドラッググループのCSV神保町店(東京・千代田)を訪ねると、こんなポップを付けた風邪薬や塗り薬が並んでいた。
買い物中の女性客(54)は「気にしたことがなかった。どんな制度か知らない」。

■高まらぬ認知度

これは2017年分の確定申告から適用されるセルフメディケーション(自主服薬)税制の対象となる医薬品約1600品目の一部だ。
厚生労働省が指定した「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる医薬品を年1万2千円以上買うと、課税所得を圧縮できる。

対象はアレルギー性鼻炎薬の「アレグラFX」(久光製薬)や風邪薬の「ルルアタックIB」(第一三共ヘルスケア)など身近なものが多いが、なかなか認知度が高まらない。

ドラッグストアの店員は「医療費控除について聞かれることは特にない」と漏らす。

セルフメディケーション税制は症状が軽い人の通院を減らして社会保障費を減らす狙いがあった。
厚労省は当初すべての市販薬を対象にしようとした。
だが、日本医師会などの反発を受けて対象が2割強にとどまり、分かりづらい制度になってしまった。

例えば、武田薬品工業の滋養強壮薬「アリナミン」シリーズでは「EXゴールド」は税控除の対象だが「EXプラス」は対象外。
厚労省が指定する成分を含む医薬品に対象が限定されたからだ。
使う人がいなければ、医療費の抑制につなげようという構想は絵に描いた餅となる。

病院の診察費などが年間10万円を超えた場合、最大200万円まで所得控除を受けられる医療費控除は手続きが変わる。
今回の確定申告から病院名や金額を記した明細書を提出する方式に変わり、領収書の提出が不要になった。

■医療費抑制遠く

ただし国税庁は不正を防ぐため、時には領収書を確認するとの立場だ。
公式見解は「領収書を5年間は保存しておく必要がある」。

税理士の吉岡幸治氏は「5年分の領収書を保管するのは一般の家庭では難しいのではないか」と指摘する。
健康保険組合から通知された金額をそのまま明細書に書くケースに限っては、領収書の保存も必要ない。

だが健保からの通知には少額の医療費が載らない場合もあり、通知に載っていない医療費の申告には領収書の保存が必要。
「基準を統一すれば利用者の保管負担は軽くなる」(吉岡氏)

医療費を少しでも抑え、個人の負担を軽くする手立てとして税の優遇がある。
せっかくの制度が使いにくいままでは、個人の利用が広がらない。
前向きな制度で難民が生まれるのは、もったいない。

*****************************************

コメント

タイトルとURLをコピーしました