スワローあかぎ号のサービス(任意座席予約制)をJR全線に広げることはできないのか

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高崎駅
私は、8月2日から7日まで参加した「地球が遊び場~感動の長岡花火と夏の佐渡島スペシャル企画+水上ラフティング&SLみなかみ号」と銘打った旅路の最終区間である高崎から上野までの間、私はあえて特急「あかぎ号」に乗ってみることにした。

単なる鉄ちゃんの趣味と言われれば、それまでなのだが、この列車は平日は特急「スワローあかぎ号」として運転されている。
何が違うかと言えば、平日運転の特急「スワローあかぎ号」の場合は、各座席の背中の部分に書かれている、スワローサービスと名付けられた、グリーン車を除いて、座席指定を受けなくても車内の空席に座れる「座席未指定券」が発売されていることだ。

通勤時間帯の快適さを保証するなら、単純に「ホームライナー」のような定員制の快速列車にすればいいと思うが、特急「スワローあかぎ号」の「座席未指定券」は、満席の場合でも発売され、その場合は、原則としてデッキ等を利用し、車内に空席があれば座ることができるというものだ。

逆に言えば、指定席券を持っていても、その座席に「座席未指定券」を持った人が座っている場合があり、そういったときは着席している人に声掛けをして譲ってもらうことになる。

これは私が西欧で鉄道旅行していたときに体験した任意予約制の列車と同じシステムで、予約客がいない区間は他の乗客が座ることができる極めて合理的なシステムだ。(参考:地球の歩き方-ヨーロッパの列車予約 レイルヨーロッパ-座席/寝台指定券について

ところで、表題に「スワローあかぎ号のサービス(任意座席予約制)をJR全線に広げることはできないのか」と書いたのには理由がある。

昨年の7月に行った「青春18きっぷの旅」で御多分に漏れず、夜行快速の「ムーンライト信州81号」に乗ったときのことだが、車掌のアナウンスでは指定券完売のはずが、深夜の停車駅である大月(1時27分)を過ぎても、7割程度しか席が埋まっていなかった。

この幽霊乗客現象について、フリーライターの杉山淳一氏は、「満席のはずが乗客なし! 今日も“幽霊”が列車に乗っている(2013年8月9日)」というコラムを書いている。

彼は、「特急の場合は乗らないチケットはキャンセルしなければ損をする、逆に普通列車の指定席はキャンセルすると、手間をかけるだけ時間を損する。これで、発券上は満席、実際は空席だらけの普通列車が走り出す。」と書いているが、これが実際のところだろうか。

つまり、乗りたくても乗れない人が大勢いるが、JRの予約端末上は満席にもかかわらず、実際は空席だらけの列車が走っているということだ。
そもそも、青春18きっぷ利用者御用達と言われている夜行列車は、元を辿れば各車両の床に雑魚寝している人さえいた列車なのだ。

従って、これらの列車に特急「スワローあかぎ号」のサービスを導入すれば、幽霊が列車に乗っていると酷評された空席問題は解消するだろう。
前段では「青春18きっぷ利用者御用達」の夜行列車を取り上げたが、実のところ、新幹線でも同様の問題は起こり得る。

私がびっくりしたのは、西欧諸国や台湾などでは普通に行われていることが、日本では弁護士ドットコム(銘柄コード:6027)の話題にまでなっていることだ。
帰省ラッシュで混み合う新幹線の「空いてる指定席」 自由席の客が座ったらダメ?(2015年8月13日)」というコラムで、「ある大学教授が、空いている指定席に座っていたところ、車掌から自由席に移るように求められ、『来られたら移動ではダメですか』と抵抗したエピソードがツイッターで話題になった。逆に、ネットの掲示板では、自分が予約した指定席に座ろうとしたところ、自由席の乗客に占拠されていて、トラブルになった事例が多く書き込まれている。空いてるからといって、勝手に指定席を占拠しても問題ないのだろうか。」と書かれている。

ここまで来ると、日本人はこれほどまでに融通が利かないのか、と言いたくなるレベルだ。
西欧諸国では、こういったものがシステマティックに行われていて、Excuse meとSorryだけで済むことが、なぜ日本ではこんな大事になるのか。

クールビズのように、逐一、お上が決めないとダメなのか。(参考:2005年7月18日-クールビズに見る日本の病理現象

そういえば、欧州でも大事になったことが一度だけある。
2001年9月のイタリア・マルタ旅行でパドバ(Padua)からミラノ(Milan Centaral)へ向かうトレニタリア(Trenitalia)の列車内で、悪態をつきまくっていた黒人と、正規の指定券を持った白人一家のバトルのときだ。

弁護士ドットコムのコラムを読んで、私は15年前の苦い記憶が蘇えってしまった。

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