コインチェックNEM不正流出事件に対処するために

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東京弁護士会

去る2月5日に「コインチェック被害対策弁護団結成」で書いたように、コインチェックの仮想通貨のNEM(ネム)不正流出事件は、法廷闘争を視野に入れた展開になりつつある。

ただ、関東財務局がコインチェックに対し、顧客への適切な対応を含む業務改善命令を出し、3連休明けの2月13日までに書面で報告を求めていることから(2018年1月29日 関東財務局-コインチェック株式会社に対する行政処分について)、週半ばまでには金融庁やコインチェックから公式発表があると思うので、それを待ってからコインチェック被害対策弁護団に加わるかどうかを決めればいいだろう。

私自身は、コインチェックに預けてある仮想通貨の保有残高が全額失われたとしても、一部は出金済なので、株式投資で損切りしたときと同じようなレベルであり、少なからず痛手ではあるが、ショックで倒れ込むほどのことはない。

そこで、今回の事態に対処するために自分ができることをまとめてみた。

まずは、コインチェックで保有しているリップル(XRP)が、無事に他社送金できるようになった場合の準備を兼ねて、GMOコインで口座開設した。
今や、冷え込んだ仮想通貨市場を背景に翌営業日には口座開設審査完了のメールがきた。

あまり期待はしていないが、リップル(XRP)を送金するやり方は、2017年10月24日付のカシコクの記事「リップル(XRP)の送金方法まとめ。宛先タグ付け忘れに注意!」が参考になるだろう。

仮に、リップル(XRP)の送金ができなかったときは、仮想通貨取引の口座を維持していくかは疑問符のつくところだ。

参考までに、金融庁のウェブサイトに仮想通貨交換業者登録一覧があるので、新規に口座を開設する人は、その中から口座を開設するようにしよう。

2月2日付の「コインチェック株式会社に対する立入検査の着手及び仮想通貨交換業者に対する報告徴求命令の発出について」というのを見ると、コインチェックと同じような「みなし仮想通貨交換業者」が未だに15社もあることに驚く。

次に、確定申告対策としては、各月の取引履歴(あるいは取引完了通知)の保存と、自作のエクセルで損益計算を行う予定だ。(参考:コインチェックの取扱い通貨の終値一覧

コインチェックにおける仮想通貨取引に関しては、証券投資における年間取引報告書(特定口座)といったものは存在しないので、海外の証券口座のように自分で積み上げるしかない。

なお、国税庁から申告所得税関係の法令解釈に関する情報として、2017年12月1日付で「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」が出ているので参考にするといいだろう。

また、コインチェック被害対策弁護団からのお知らせ第3号に掲載されているが、2018年1月の取引履歴の保存と、現時点での残高表示画面のスクリーンショットは、法的手段を行使する際の証拠書類として必要になるとのことである。

それと、出金停止のために税金(所得税)の支払いができない場合はどうしたらいいかということについて、、コインチェック被害対策弁護団からのお知らせ第2号で、彼らは居住地の無料弁護士相談を利用することを勧めているが、私も関心があったので、管轄税務署の徴収部門で聞いてみた。

税務署の職員曰く、国税の猶予制度には「換価の猶予」と「納税の猶予」というのがあって、前者の方が後者に比べて申請要件が緩いそうだ。

詳しいことは、納税の猶予等の取扱要領(事務運営指針)のほか、国税を一時に納付できない方のために猶予制度があります(リーフレット)や、猶予の申請の手引をご覧いただくといいだろう。

実際のところ、後者の場合は、今回のコインチェックのケースが、国税通則法基本通達-第46条関係 納税の猶予の要件等に該当するかどうかなのだが、現時点では該当する項目がなく困難だとのことである。

それならば、確定申告が終わった段階で「換価の猶予」について税務署の徴収部門で相談して欲しいとのことだった。
ちなみに、地方税(住民税)について普通徴収の方は、6月に納税通知書が送られてきた段階で、分割納付の相談をするといいだろう。

最後は、「【コインチェック】被害者必見!これだけは絶対にやっておけ」で見たのだが、法廷闘争が視野に入ってきた場合に備えて、コインチェックに対して内容証明郵便を送り、同じ内容のeメールを送っておくというのは参考になるかもしれない。(コインチェック宛内容証明のサンプル

ちなみに、内容証明郵便にはインターネットで送れるe内容証明(電子内容証明サービス)というものがあるのだが、ポップアップブロックを解除しないと、ログインしても画面が展開せず(参考:Google Chrome ポップアップの解除)、また、ログアウトをしないで再度ログインした、いわゆるダブルでログインすると30分以上使えないなど、あまりにも使い勝手が悪く、このシステムは評判があまり良くない。

こうなれば、Wordのひな形を使って、通知書等を作成し、郵便局に持ち込んで送るというのが最も適切な方法かもしれない。
なお、Wordのひな形の設定に関しては、行政書士金町事務所のウェブサイトを参考にさせていただいたので、この場を借りてお礼を申し上げたい。

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