政府が会社員の副業・兼業の促進へ、一方で副業バレを防ぐためには

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パソコンを操作する女性

最近、私は金融資産への投資以外の収入源を求めて、様々な投資・ビジネス系のセミナーに出席するようにしている。

その中には、12月22日のコラム「豊川稲荷で商売繁盛、金運UPの願掛けを」で書いたように、手掛けているのもあって、それは幸いにも、成功する機運が出始めている。

もちろん、早々に手仕舞ったものもあり、実際にやってみなければわからないものが多い。

私はセミリタイア状態にあるのでおおらかな気持ちで新しい分野に臨めるが、自分が勤めている会社の先行きに不安があったり、立身出世の目途が立たなかったり、あるいは、待遇が著しく悪いブラック系の企業だったりした場合は、早急に転退職を考えた方がいい場合も多い。

それに、今の時代は、大企業と言えども会社員の一生を保障することなどできないのだから、自分の身は自分で守るという気持ちが芽生えて当然である。

そこで障害になるのが、多くの企業の就業規則にある兼業・副業規制条項、これがあるばかりに自分の可能性にチャレンジできないジレンマを抱える人は数多いと思う。

政府は会社員の副業・兼業を促進するつもりでいるが、企業側は重い腰をようやく上げ始めたという感じが否めない。

私は、2012年9月2日付のコラムで「中高年公務員の処遇を議論するより副業規制を緩和せよ」と書いているし、2016年8月21日付のコラム「65歳での奴隷解放宣言、金持ち父さんが嫌いな霞が関官僚のメンタリティ」では、不動産投資の成功者に対して、公務員と言えども不祥事の当事者みたいなことを言われる筋合いはないと書いているので、副業や兼業に関しては基本的に解禁論者である。

理由は、被雇用者の将来を誰も保障できないからだ。

しかしながら、現実は副業が法律で規制されている公務員(国家公務員法第103条、地方公務員法第38条)はもちろんのこと、企業の多くは未だに社員の副業に関して厳しい目を向けるところが多い。

法令上の観点から言えば、公務員であっても副収入源が給与所得や事業所得を得るものでなければ大丈夫であることが多いのだが、やはり副収入の存在を勤務先に知られたくないという気持ちは大いにあるだろう。

世間ではマイナンバー(社会保障・税番号)制度が副業(副収入)バレに繋がるといった誤った情報が流布されているが、副業(副収入)バレの最たるリスクは、毎年5月に勤務先を通じて配布される住民税(地方税)の特別徴収税額通知書である。

また、支払調書の存在を甘く見たがために、副収入を未申告のまま放置して、後で追徴課税を食らうパターンでも副業(副収入)バレする可能性がある。

これらのリスクを避けるためには、指定期限内(概ね3月15日まで)に副収入分を含めて確定申告をすることと、住民税に関する事項について、自分で納付(普通徴収)を選択することだ。

ただ、節税対策と称して事業所得を赤字申告すると、給与天引きされるはずの住民税が目立って減ることがあり、それによって、副業(副収入)バレするので、注意した方がいいだろう。

概ね、これで大丈夫なはずだが、念を入れるなら、4月中旬ごろに自分の住んでいる自治体へ電話して、住民税の請求が確定申告書に記載した通りに給与所得分以外は普通徴収で来るか確認するといいだろう。(参考:2016年6月5日 副業アフィリエイターの税金戦略-副業がバレないように「普通徴収(自分で納付)」を選んでも無意味な場合まとめ

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正社員の副業後押し 政府指針、働き方改革で容認に転換 (2016.12.26 日経新聞)

政府は「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押しする。
企業が就業規則を定める際に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」から副業・兼業禁止規定を年度内にもなくし「原則禁止」から「原則容認」に転換する。

複数の企業に勤める場合の社会保険料や残業代などの指針もつくる。
働く人の収入を増やし、新たな技能の習得も促す。

安倍晋三首相は副業や兼業について「普及は極めて重要だ」との認識を示している。
少子高齢化による労働力不足を補い、職業能力の向上で成長産業への雇用の流動化も促すためだ。

政府の働き方改革実現会議は年度末にまとめる実行計画に普及の方針を盛り込む。
中小企業庁の委託調査によると副業の希望者は370万人に達する。

IT(情報技術)関連企業では「会社の資産を毀損しない限り報告も不要」(サイボウズ)にし柔軟な働き方を認めている。
自家用車で人を運んで対価を得るライドシェアの米ウーバーテクノロジーズや民泊のようなシェア経済も副業が支える。

副業・兼業の拡大は大きく3段階で進める。

まず厚労省が「モデル就業規則」を年度内にも改定する。
現行規則では、許可なく兼業・副業をした場合は懲戒処分の対象として罰してきた。
新たに改定する規則では、原則的に副業や兼業を認める規定を盛り込む。
「同業他社に企業秘密が漏洩する恐れがある」「長時間労働につながる」など例外的に副業が認められないケースも併記し、企業や社員が判断しやすいようにする。
モデル就業規則は企業への強制力はないが、中小企業ではそのまま転用する例も多いため、波及効果に期待している。

第2段階として、社会保険料負担のあり方などを示した政府指針(ガイドライン)を来年度以降につくる方向だ。
現行の労働法制では、複数の企業で働いた場合「社会保険料や残業代をどの企業が支払うか」「労働災害の原因はどの企業か」の基準がなく、副業・兼業解禁をためらう企業も多いためだ。

第3段階では人材育成のあり方を改革し、来年まとめる成長戦略に明記する。
正社員の実践的な人材育成に特化した大学のコースを新設する。
失業率の低下を踏まえ、厚労省の職業訓練も失業対策から実践的な訓練に重点を置く。
2030年に約79万人の労働力不足が予想されるIT分野では望ましい技術目標を定めて、訓練水準を高める。
今後、正社員の兼業になお慎重な産業界との調整や、過重労働への歯止め策などが課題となる。

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兼業・副業、「積極推進」15% 東商調査「やむなく容認」16% (2016.12.13 日経新聞)

東京商工会議所は13日、中小企業の兼業・副業に関する実態調査をまとめた。
調査対象となった702社のうち、「積極的に推進」が15%、「やむを得ず容認」が16%だった。
「将来的に容認」も25%あった。本業での賃金水準が低く、社員の兼業要望を受け入れざるを得ないケースが多いという。

企業はおおむね人材育成や社外の人脈づくりにつながると好意的だ。
だが、賃上げを要望された場合の余力が乏しく、副業を容認して離職を防いでいる面もある。

「現在も将来も認めない」としたのは43%。長時間労働を助長したり、他社に人材を引き抜かれたり、中小企業への経営に影響があるとの見方は少なくない。

政府の働き方改革実現会議は多様な働き方として兼業・副業の推進を検討している。
東商は労働時間を正確に計る仕組みや社会保険料の負担のあり方といった課題を解決したうえで推進すべきだとする。

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副業・兼業、拡大へ指針 政府、企業に容認促す (2016.10.23 朝日新聞)

政府は、会社員が副業・兼業をしやすくするための指針づくりに乗り出す。
会社勤めを続けながら、勤め先に縛られない自由な発想で新しい事業を起こしたい人を支援し、経済の活性化につなげるのが狙い。

24日に開く「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の会合で、副業・兼業の環境整備を進める方針を打ち出す予定だ。
日本では社員の副業・兼業を就業規則で禁止・制限する企業が圧倒的に多い。

「働き方改革」を掲げ、柔軟な働き方への移行を目指す政府内には、一つの企業に定年まで勤める終身雇用を背景に「大企業が優秀な人材を抱え込みすぎだ」との見方が強い。
就業規則を見直すときに必要な仕組みなどを盛り込んだガイドライン(指針)を策定し、企業の意識改革を促す。

副業・兼業を容認するよう法律で企業に義務づけるのは難しいため、容認に伴って起きる問題への対応策などをまとめた手引をつくることで、労務管理の見直しを支援することにした。

ロート製薬(大阪市)が今年から、国内の正社員を対象に他の会社やNPOなどで働くことを認める「社外チャレンジワーク制度」を始めるなど、副業・兼業を積極的に認める大手企業も出てきた。
ロートでは、正社員約1500人のうち100人程度から兼業の申し出があったという。

こうした先行事例を参考に、副業・兼業のメリットを指針で示すことも検討する。
欧米の企業では、兼業を認められた社員が起こした新規事業が大きく成長するケースが目立つ。
起業に失敗しても、兼業なら職を失うこともない。

これに対し、中小企業庁が2014年度に国内の約4500社を対象に実施した委託調査によると、副業・兼業を認めている企業は14.7%にとどまった。
本業がおろそかになることや、過労で健康を損なうことへの懸念が大きいうえに、会社への強い帰属意識を求める企業文化も背景にある。

副業・兼業の容認が長時間労働を助長しかねないとの懸念もあることから、複数の企業で兼業する社員の働き過ぎを防ぐ時間管理のルールも示す方針だ。(千葉卓朗)

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