厳戒態勢?実はザルかもしれないアメリカの空港セキュリティチェック

この記事は約3分で読めます。

アトランタ・ハーツフィールド・ジャクソン空港(Atlanta Hartsfield-Jackson Airport)

アメリカの空港は911以降、世界で最も厳戒態勢を取っているイメージがある。
事実、空港のセキュリティチェックでは、たいていの場合、ズボンのベルトを外し、靴も脱ぐことを要求されることが多い。

アメリカ国外の空港で、セキュリティチェックの際に、何も言われないうちから、ごく自然にベルトを外し、靴を脱いでいるのはアメリカ人に間違いないと言われるくらい、アメリカ国外でそこまで要求されることはあまりない。

それに加え、ホールドアップの体勢を取らされたまま全身スキャナー(full-body X-ray scanners)によるチェックが行われる。
2010年4月27日付のニューズウイークの記事「GW、空港全身スキャンの心構え」によれば、この全身スキャナーによるチェックは、ほとんどの場合、アメリカ国内の空港か、アメリカへ向かうフライトに搭乗する際に行われると書かれている。

しかし、いくらハイテク機器を導入し、規則を強化しても、最後はスタッフのモチベーション次第だというのが、よくわかるのが今回のCNNの記事だ。

今はどうかわからないが、国際ジャーナリストの田中宇氏は2003年9月14日付のコラム、「911事件と空港セキュリティ」の中で「乗客たちが長蛇の列を堪え忍んでいる一方で、空港を出入りする従業員や業者などに対する安全検査が非常に甘いままだと指摘されている。」と書いている。

私が知る限り、アメリカは管理者側に立つ人は高給で優遇される一方、単純労働のスタッフは低賃金のまま働かされることが多く、それがモチベーションの低下に繋がっていると聞く。

事実、私の数少ない渡航経験でも、ファーストフードや地下鉄の駅構内にいるスタッフのモチベーションは低く、日本はもとより、せめて東南アジアを見習えと言うくらいに酷く、空港職員(公務員)でもそれは変わらないのだろう。

何しろアメリカの下級公務員はフードスタンプ受給者(生活保護)だというメディア記事もあったくらいだ。(2007年3月11日-食事も買えない?ニューヨーク市の下級公務員

こうなると、いくら彼らの賃金が労働に見合った対価とはいえ、過ぎたるは及ばざるが如しと言えるだろう。
表向きは常に厳戒態勢のアメリカの空港、裏へ回れば穴の開いたザルで水をすくうが如きなのだろうか。

乗客荷物調べず検査済み装った36人解雇、ホノルル国際空港 (2012.10.11 CNN Japan)

ワシントン(CNN) 米国土安全保障省の監査当局は11日までに、ハワイのホノルル国際空港の荷物検査係36人が昨年、一斉に解雇された問題に関連し、中身も調べず検査終了のラベルを貼っていたことが原因だったと報告した。

この問題は内部通報者が逸脱行為の証拠となるビデオ画像を提供すると共に発覚。
同省の報告書は、一部係員の職務怠慢により数千個規模の乗客荷物が調べられることなく旅客機に運ばれ、空の旅の安全性が損なわれたと指摘した。

米空港での荷物検査は通常、同省管轄の運輸保安庁(TSA)が担当する。
ビデオ画像は2010年12月、ホノルル空港の国際線ターミナル内で撮影されていた。
この後、TSAの監査部門が調査を開始し、同年9~12月に数千個規模の荷物が規定の検査から漏れていたと報告。
調査結果を受け、同空港のTSA最高責任者を含む36人を解雇し、10人以上を処罰していた。

また、連邦議会の議員がホノルル空港以外にも同様の問題が存在することを懸念し、国土安全保障省監査当局による調査も要請していた。
同省の監査当局は今回の報告書で、ホノルル空港での不手際は検査係員に問題があったとしながらも、TSAの管理が行き届き、人員の手当てや検査機器が十分で、手順の検証も徹底すれば不祥事は起きなかっただろうなどと指摘した。

英文記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました