我が家にも9月下旬に国勢調査の調査員が書類を持ってやってきた。
そういえば国勢調査ってものがあったんだな~と思っていたが、今年は個人情報保護法の影響で調査員もやりづらいのではないかと思う。
総務省統計局のQ and Aにもそうした想定質問に対する答えがあるが、これを説明されて理解できる人ばかりとは限らないのが悩みのタネだろう。
そして、昔から人々の心配のタネになっているのは、「いわゆる近所のオジサン・オバサン」が回収に来るということだろう。
つまり調査票の中身はプライバシーの塊みたいなものだが、これをいくら法律などで守秘義務を規定していても、好奇心の塊である特に「オバサン」が見ないとも限らないということだ。
それではこうした調査員(アルバイト)をなぜ役所は公募しないのだろうか、と考えてみた。
Q and Aには、「国勢調査員の選考に際しては、一般からの公募、公務員経験者からの選考、町内会や自治会の推薦などの方法により」とあるが、少なくとも私の居住地は、町内会や自治会の推薦なような気がする。
公募すれば、失業している若者は多いし、彼らは高齢者や主婦の調査員と違って夜間の回収なども全く問題なくできるはず、と思うが、ただこれには大きな問題があるようだ。
それは、私もこうした役所の調査物をバイトでやったことがあるが、調査対象者が必ずしも協力的な人ばかりでないので、そんなことで神経をすり減らすくらいならコンビニのバイトの方がいいと考える若者は多いような気がするし、それにもめげずに公募に応じた人が、実はアングラ名簿会社の臨時覆面スタッフで、彼らを通して情報が漏れる可能性は「町のオバサン」のおしゃべりより高いかもしれないということだ。
つまり、「責任をもって国勢調査員の事務を遂行できる者であって、秘密の保護に関し信頼のおける者であること」という前提条件があるために、新たな選考をするよりは前回お願いした人で、となって、段々に高齢化しているのではないかと思うのだ。
でも、このやり方はいつかは行き詰まるとは思わないのだろうか?
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ニセ国勢調査員の調査票持ち去り、神奈川で相次ぐ (2005.10.4 読売新聞)神奈川県内で、国勢調査員を装った人物に調査票を持ち去られる被害が相次いでいることが4日、わかった。いずれも本物の調査員が回収に訪れ、発覚した。
厚木市内では3日正午ごろ、ワンルームマンションに住む男性宅に国勢調査員を名乗る中年男が現れ、2人分について記入済みの調査票1枚を持ち去った。男は、本物の調査員はしていない腕章のようなものをつけていたという。
川崎市宮前区では2日、一人暮らしの男性が、自宅を訪れた女に調査票を渡した。同市内の別の世帯でも「わだ」と名乗る女が回収しようとしたが、応対した主婦はまだ記入していなかったため断ったという。
相模原市相武台でも1日午後5時過ぎ、50歳前後の女が調査票を持ち去った。
応対した主婦は夕食の準備で忙しく、調査員証を確認しなかった。
同市は誤回収の可能性もあるとみて調べたが該当はなく、ニセ調査員による持ち去りと断定、相模原南署に届け出た。*************************************
そんな最中に起こった「ニセ国勢調査員の調査票持ち去り」事件、今まで起こらなかった方が不思議と言えば不思議のような気もするが、私が知らなかっただけなのか?
まあ、これで回収率が落ちる気がしないでもないけどね。
確かに人海戦術が一番回収率がいいのだろうが、過去には調査員が殺されたりしたこともあったし、この調査の意義も含めて考え直した方がいいのではないだろうか。
総務省は「国勢調査の実施に際しては、実施年の5年前から、次回の国勢調査の調査方法の検討に着手しており、より効率的な方法に改善する方法はないか検討を進めている。」と言うが、変わるのは調査票の中身だけで、ほかに変わったところはないような気がする。
「国勢調査では日本に住んでいる1人1人まで正確に把握する必要」という建前は、強権的な独裁国家、かつ文書や統計に厳格だったナチスドイツのような国でさえ実行不可能なのだ。
所詮、統計はアバウトな数字の積み重ねなのだ。
役所もそれを元に報道するマスコミもそこから考え方を変えない限り、いつまでもやり方は変わらないだろう。
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