私は過去にも何回か当コラムの中で住宅ローンのことについて書いている(2004年11月7日「パ・リーグの問題は持ち家サラリーマンの問題と同じだ」、2004年6月27日「気がつけばローン地獄?金利1%落とし穴」、2003年11月29日「破廉恥な日経ネットの記事」、2003年10月31日「デフレは続くのか?」)が、どうやら低利の長期固定金利商品が充実してきたことによって、私がどちらかと言うと彼らの将来を悲観的に見ていた子育て世代の住宅ローン債務者でも、選択を間違わなければハッピーエンドを迎えられる可能性が高まってきたように思える。
要するに、中国政府の指導者の言い草ではないが、「過去の歴史を直視した者」だけがハッピーエンドを迎える可能性があるということだ。
ここでいう過去の歴史とは、景気循環あるいは株価や金利でも「上がったものは下がる、下がったものは上がる」という市場経済の原則である。
そして、市場経済の原理に逆らい、人為的に長期金利を押さえ込んできた日本の歪な金融政策は、あと20年も30年も持つことはないという理である。
平家物語にもある。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理を表わす 奢れる人も久しからず ただ春の世の夢のごとし 猛き者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ
これらが意味するものを理解することができれば、つい3~4年前から始まった「固定金利3年型-当初3年間金利1%」の金融機関の住宅ローン貸付キャンペーンに踊らされた人たちは、固定金利型商品に乗り換えた場合のシミュレートを始められるだろう。
また公務員や一部の優良企業の社員でも、退職金を当てにして返済しようという甘い夢を捨てて冷静になれるはずだ。
日経PC21 (2004.10) – 「住宅ローンで得するエクセル活用術」 ダウンロードサイト
「ユーザー名(loanexcel)」と「パスワード(tokubetsu)」の入力が必要となります。
もし、年利3.06%の金利が払えないというならば、以下のことを検討すべきだろう。
- 妻が専業主婦なら即座に就職活動を開始させる。おそらく現在は夫が税法あるいは社会保険上、「妻を扶養」している状態であろうが、それを外れた場合の夫婦の税・社会保険のシミュレートも含めてやるべきである。もし、これらを嫌がるなら、もはやその夫婦に明るい未来はない。
- 自家用車の売却
- 生命保険の見直し
- 子どもの教育費の見直し
夫婦共稼ぎの状況で、家計のリストラが効を奏さないなら、持家を損切りして売却し、人生をリセットするしかない。
常識的な人からすれば、まともな金利を払えず、ゼロ金利政策で辛うじて生かされているゾンビ企業は市場から撤退させるべき、ものだからだ。
それは言い換えれば、「年利3%を払えない人」は個人もゾンビ企業と同じで、ローンを借りる資格はないのだ。
また、金融機関の住宅ローン貸付キャンペーンに踊らされた人には最後の手段がある。
政府がゾンビ企業に公的資金(税金)をつぎ込み、銀行が債権放棄するならば、俺たちにも同じことをしろ!と居直ってみることだ。(住宅公庫の焦げ付き債権に税金投入、財務・国交省が合意)
あるいは、被害者連合でも作り、こうなったのは「リスク査定をしなかった銀行が悪い」とでも訴えてみてもいいだろう。
もしかすると昨今の偽造キャッシュカード問題のように政府が動くかもしれないからだ。
私に言わせれば、終身雇用制が崩壊し、公務員でも給与が下がりだした21世紀において、住宅ローンを借りた人は完全なる自己責任原則で処理されるべきと思っているが、あまりに露骨で不公正な政府や銀行のダブルスタンダードには声を上げるべきだろう。
何も我慢することはないのだ。
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