私もそろそろこの話題を他人事で言える年ではなくなってきたのだが、最近は仕事でアタマにくることが多かったので、あまり愚痴めいたものは書きたくないと思いながらもこれを書くことにした。
つまり、偉そうに威張りちらす「おじさん」の相手をさせられるということが続いたのだ。
「おじさん」と言えば、清水ちなみさんと古屋よしさんというOLが書いた「おじさん改造講座」という本があったが、その中にバブル経済(1987年)当時の彼らの生態が描かれている。
彼女たちが描く「おじさん」は、「OL200人委員会」を構成する人たちが勤めていた一部上場企業の役員・管理職クラスの「何もできない」「何もしようとしない」人たち(もっとも公務員や先生と呼ばれる人たちにもこういう人は多い)のことだが、考えてみれば当時は、この類の「おじさん」にとってもいい時代だった。
当然ながら、自らの事務仕事は一課に1人付いていた女性スタッフが一手に引き受けてくれたし、自分はただ命令するだけでよかったからだ。
そして、時代は変わった。
今や命令するだけで何もしないで済む時代は終わり、彼らは職場を追われるか、あるいは強烈に洗脳されて、自分の過去を棚上げして部下に対し、あるいは周囲で説教を垂れるようになった。
問題はこういう「何もできない」「何もしようとしない」という類の「おじさん」が街中(会社の外)に出てきたときだ。
サービス業やカスタマーサービスの経験者なら痛切にわかるだろう。
要するに、彼らに共通するのは、(例えば説明書や使い方がわからないのが自分のせいではないことを誇示するために)威張る、怒鳴る、そして説明書が、例えば、それが1枚のA4のプリントでも読もうと努力する気配すらない、一から十までの説明を求める(つまり音読を求める)割にほとんど理解できず、お前の説明が悪いと言う。
「○○に該当する人は××をお願いします」と書いてあっても、「オレがやるのか?」という愚問を返す。
「あなた自身じゃなきゃ誰がやるのか?」と言いたくなるだろう。
でも、彼らの本音は「お前が全部代わりにやって、オレのところへ報告に来い」なのだ。
あるいは「自分自身の署名をお願いします」ということに「妻が書いてもいいのか?」と聞く。
彼は契約書のサインがどういう意味を持つのか理解できないのだ。
ある私の友人が、最近では日本に文盲が増えていると言ったことがあったが、まさにその通りなのだ。
女性や若者でも全く端にも棒にもかからないレベルの人はいるが、圧倒的に「おじさん」の方がタチの悪いのは多いように感じる。
しかも、それなりの地位にあったことを仄めかす人もいるし、服装もそれなりのものだ。
かつてJRで駅員に対する暴行事件が相次いだときも、犯人は40代、50代の管理職風の奴が一番多かったという。
要は、自分の思い通りにならないことに我慢ができないのだろう。
あるいは、自分より立場の弱い相手なら、そして、金を出せば何をしても許されると思っているかだ。
はっきり言おう。
「おじさん改造講座」に書いてあるような「おじさん」は今や会社内の問題でなく社会的なコスト要因なのだ。
あなた方の相手をさせられることは幼児を相手にするより苦痛だし、それによって仕事の能率も落ちるのだ。
はた迷惑だからせめて国語くらい小学校でやり直してくれ!
そのくらいの税金は払ってやるから・・・
***************************
おじさんと機械(おじさん改造講座/清水ちなみ・古屋よし著 1993.5.8初版)
「ありゃ!」と聞こえたら、私たちはコピーだろうとファックスだろうと、とにかく機械が壊される前にとんで行かなければなりません。
機械の前ではおじさんが独りでぶつぶつ怒ってたり、悪くもない機械を蹴とばしたりしてます。そういうおじさんもいれば、ファックスの隣の席に座りながら10mも離れた女の子のとこまで釆て「これをファックス!」と言い残して立ち去るおじさんもいます。
電話の保留ができないおじさんもいっぱいいます。
おじさんの尻拭いをするのはぜ-んぶ私達。
おじさんの尻拭いだなんて、想像するだけで・・・そんな、汚ねぇ、私は嫌だあ!!!
●ワタベ
ワタベ課長がワープロ打ってるから、みんなで感心してたんだ、おやじにしては珍しくやる気があるってね。
うちの会社のおじさん達はみんなエラそうに、「急ぎ!」なんていってワープロ原稿を突き出すだけだから。だけどさあ、そのうちワタベは「ばかやろう」とか「てめえ!」なんて言い出して、さんざんマシンに当たり散らしたあげく、帰り際になって、「今日中!」って私に向かって原稿を差し出した。
ばかやろうはてめえだと言うぞ、私は。(建設26歳)
●社長の教育
こないだ社長が、芯がなくなったと言ってシャーペンを捨てようとしてるから、芯の詰め替え方を教えてあげた。
さらに現在、芯の引っ込ませ方を知らず、使い終わった後は必ず机の上でポキッと折ってから律義にしまっているので、いつか教えてあげようと思ってます。(社長秘書25歳)
●健気な努力
コピーの前でナカムラ部長が独りでガサゴソしているので、「またきっと、使い方がわからなくて因ってるんだろうな」と親切に思った私が声をかけると、ピクッとした部長は、「こわれてるよ」と言って、逃げ去った。結局壊れてはいなくて、部長の使い方が悪いだけなんだけど、めったに開けないフタが開いてたりして、あっちこっちいじくってた跡だらけなの。かわいーのねぇ。(商社24歳)
●保留
「ちょっと待っててくださいね、え-、え-、・・・」と電話を保留にしようとして悩んでしまったハットリ部長。
しばらく電話をみつめていた後、一番手近なタカヤマ課長に聞いてみた。課長もわからなくて、「私がこの前やったときは確か・・・」なんて言いながら結局切ってしまった。
お得意様からの電話なのに。おいおい、そこのボタンに『保留』って漢字で、しかも赤い字で書いてあるだろう!(非鉄金属22歳)
●FAXの機能
部長に、頼まれたFAXを流した後、席に戻ると「今のは今日中にとどきますかね」と聞かれた。(食品24歳)
おじさんが出来ない、使えないと思うもの
(OL200人中-複数回答可)ワープロ 162人 駅の自動改札 28人 両面コピー 145人 ATM 26人 ビデオのタイマー予約 144人 ホチキスの針の入替 23人 拡大・縮小コピー 124人 カメラ 17人 FAX 109人 自宅の鍵を閉める 14人 電話の保留 96人 パンチ 11人 ポットにお湯を入れる 74人 電卓 10人 クーラーの調節 37人 回転寿司の皿を取る 4人 シャ-ペンの芯の入替 34人 自動券売機 2人 シュレッダー 31人 – いや、参りました。おじさんができない、使えないと思う機械ってことで聞いてみた結果が大変な得票数。
ボタンひとつの操作でできるはずのコピー、FAX、電話の保留さえできないんですから、第1位を飾ったワープロなんておじさんにとってはもう、メドウーサの首みたいなもので、触るどころか見ただけでも硬直してしまうんでしょう。
ポットにお湯を入れられない、シャーペンの芯を入れられないというのがベスト10に入っているのにもたまげてしまいますが、実際私達はこういうおじさんを毎日見ているわけです。
ベスト10からはもれましたが「駅の自動改札も無理だろう」と思っている人だって28人。
さらに欄外には、あらやだ、「トイレの温水洗浄機が使えないでよくズボンを濡らしている」おじさんもいるらしい。そのうえ「机の上の整理」「食事の後片付け」「お茶入れ」「おせんべいの袋が開けられない」「ロッカーを開けた後閉める事ができない」なんてのもあります。
「これが機械か」っていわれるともちろん違いますが、言っておかなきゃなるまい。
困りましたねえ、困った。で、おじさんは困ったときどうするかと聞いてみた。
「女の子にやらせる」が群を抜いています。186人(93%)!続いて「一人で言い訳を口走る 135人」「機械の前で一人で怒る 89人」。
何ですかこれは、どうにかしようという気概がまるでないじゃないですか。
おじさんは困ったとき・・・(OL200人中) 女の子にやらせる 186人 人に聞く 56人 一人でいい訳を口走る 135人 説明書を読む 19人 機械の前で一人で怒る 89人 潔く諦める 9人 他人の様子を盗み見る 65人 うなだれる 8人 照れ笑いする 61人 – おじさんはどうお考えか知りませんが、私達にだって言い渡された自分の仕事ってものがあるんです。忙しいんです。
なのにおじさん達が機械に近付くたびに席を立って面倒見てやんなきゃいけない。私達はいったいいつ仕事をすりゃあいいんですか。ほっときゃ照れたり怒ったり。
使い方がわからないっていうのはよくわかりました。
でも、私達が被害をこうむっていることすらもわかってない。
人に聞くとか説明書を読むとか、前向きの姿勢をみせてもらいたいと思います。たまに自分でやってて偉いわねと思っていても、自己流のやり方で失敗して機嫌の悪くなったところでやっぱり引き渡すんだから、まったくなんて身勝手なんだ。
だいたい機械っていうのは昔から男の分野だったはずなのに、それが使えないんじゃおじさんは本当に男でしょうか。
男なんでしょうかってば!子供だって一度聞いたら憶える。聞かなくたって見ててもわかる。
お母さんは手がかからなくて大助かり。
なのに、私達より社歴の長いおじさん達は何年たってもなんにもできなくて、ほんとになんてでかくてかわいくない赤ん坊なんだろう。
手がかかってしょうがない。
「仕事は効率を考えてするもんだ」なんて偉そうにおっしゃいますが、私の効率をかえしてくれ!
ボタン一個の押し方がなぜ覚えられないんだ。
のーたりん*******************************
コメント