住宅事情に変化

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外貨と英字新聞

今日の朝日新聞の家庭欄に「賃貸住宅お安くします」の記事があった。
今でこそ住宅雑誌などの特集に「持家派と賃貸派はどっちがお得?」というようなものがあるが、戦後長期間にわたって日本の基本政策が持家だったこともあり、国民の間には「持家信仰」という宗教めいたものまであるようだ。


然るに、賃貸住宅は、高い家賃を払い続けても自分のものにならない、あるいは高齢者や外国人は冷遇というか差別までされるといったことから、ある年齢になり所帯を持ったら家を買うというのが市民権をずっと持っていたように思う。

またこうした持家が不動産投資という面から見たときも十分にメリットを享受できたことが特に今の退職者世代には信仰としてまでの価値を持っているのかもしれない。

ところが、少子高齢化というのは、日本人の現役世代が減るということであり、賃貸住宅市場においても彼らだけを相手にしていれば先細るだけなのだ。
従って、労働市場においても高齢者や外国人の活用が避けて通れなくなれば、賃貸住宅市場も今までの慣習で営業していくことが困難になることは容易に予想がつく。

事実、2月6日には東京都の石原都知事が「民間賃貸住宅に関する「東京ルール」の推進について」というものを発表している。(東京都住宅政策本部-不動産取引に対する施策
明らかに時代は「賃貸派」に有利に向かっていると言えよう。

逆に持家は終身雇用制が崩壊の一途にあることからも多額のローンを組むことが「貧乏への一里塚」となりかねない状況だ。

もし、あえてローンを組みたいのであれば、ローンを返済しながら貯蓄が可能かどうかを検証してからやるべきだろう。
単純に言えば、自分たち家族の楽しみや将来の生活プランを犠牲にした住宅ローン返済計画は2~3年で破綻するということだ。

ダイエットと同じで無理な減量はリバウンドを伴う。
「住宅ローンあるから節約しようね!」と言って、毎日立ち食いソバにマックのバーガーなんていう昼食に旦那を追い込まないといけないなら最初からやるべきではないのだ。

そういう夫婦の結末はおそらく「なんでもローン貧乏」に陥ることだろう。

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賃貸住宅お安くします (2004.2.22 朝日新聞)

「敷金・礼金ゼロ」「仲介手数料半額」-引越しシーズンの今、そんな不動産業者の宣伝が盛んだ。少子化や不況の影響で賃貸住宅は供給過剰の状態。入居時の費用を抑えることで空き物件を解消しようと、業者は動いている。

退去時の「敷金返還トラブル」を防ぐため、定額リフォーム費用を最初に納める方式も登場。借り手市場が進む中、入居契約の「慣習」が崩れつつある。

■不動産業者の競争過熱

早稲田大学や多くの専学校が集まる東京都新宿区の高田馬場。賃貸住宅仲介大手の「ミニミニ」高田馬場店には21日「進路が決まった若者の来店が続いた。

4月からパソコンの専門学校に通うため、都内で一人暮らしを始める香川県善通寺市の元木敦土さん(20)の家賃予算は月6万円。
「風呂とトイレが別で、エレベーター付きがいいけど、なかなかなくて」上京する前に、住みたい地域にある不動産業者をネットで検索してきた。

「親が学費を出してくれるから、家賃は自腹で」と決め、敷金や礼金ゼロの物件を多く扱う同店を訪れたという。入居時の総予算として約40万円を用意したが、「仲介手数料も半分なので助かります」。浮いたお金は、ニキピの治療費に充てたいという。

ミニミニは2003年9月、マンションやアパートの契約時に入居者からもらう仲介手数料を、それまでの家賃の1カ月分から半月分に引き下げた。「厳しい経済状況で、入居費用を抑えたいという需要が大きいので」と東京営業本部の宮田明部長。来店者は前年比で約3割増えているという。

最大手の「エイブル」(東京)も2001年から、仲介手数料を半月分にしている。入居者の初期費用を軽くするとともに、「宅地建物取引業法の原則に従った」(広報)と説明する。同法では仲介手数料は、借り主と家主の双方から家賃の半月分以内を受け取ることを原則としている。

だが、戦後の住宅難から長く続いた「貸手市場」のなかで、例外規定を使って、借り主側が1カ月分を全額負担するのが慣習化していた。「礼金と同じ、戦後の名残」(同)を解消し、借り主と家主両方から受け取ることにした、という。

「東建コーポレーション」(愛知県刈谷市)は自社管理の物件などで、家賃1カ月分の仲介手数料を、学生と65歳以上の高齢者は30%減、過去に同社の仲介で入居した人が住み替える場合は、物件ごとに30%減から無料など、タイブ別の減額サービスを導入している。

■改装費前払いで「トラブル回避」

賃貸住宅では、退去後、室内のクリーニングや補修などで多額の費用を家主から請求され、敷金の返還を巡ってトラブルになるケースが絶えない。訴訟も増えるなか、問題を未然に防ぐ仕組みを採り入れる動きが出ている。

「センチュリー21・ジャパン」(東京)は2003年3月から、入居時の敷金、礼金、仲介手数料をなくす代わりに、退去時のリフォーム費用を含む家賃の1.8ヵ月分を、入居者が最初に負担するシステムを姶めた。

「退去の際にいくら敷金を取られるのかという不安が入居者にはあり、大家さんも敷金返還の少額訴訟が増えて不安に思っている。両者にとっていさかいのない形を考えた」と同社開発室。

壁への落書きや床板のへこみといった、入居者の故意や不注意による破損でなければ、退去時の負担はないという。対象物件は現在まだ全国で約300戸で、「今後増やしていきたい」と話す。ミニミニも敷金、礼金を取らず、契約時に「内装費」を納める方式を、グル-プ会社の管理する約10万戸で採用している。

■少子化で供給過剰に

国土交通省の建築着工統計調査によると、貸家の新築戸数は2001年から増え始め、昨年は全国で約45万2千戸に上っている。
不動産管理業者などでつくる財団法人「日本賃貸住宅管理協会」(東京)の須網稔副会長は、「少子化で学生の数が減り、経済難から自宅通学者も増えて借家需要は落ち込んでいる」と現状を話す。

さらに新築の貸家が増えるなか、駅から遠く、築年数の古い物件などの空室解消策として、「家主の了解を得て、入居者負担を軽くする方策が広がっている」という。
供給過剰は、借り手側には好機だ。須網さんは「同じ地域でも今は、敷金や礼金などの条件は物件ごとにまちまち。気に入った部屋を見つけようと思うなら、ネットや雑誌などで、探す手間を惜しまないこと」と助言する。

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