水際対策緩和で海外旅行も事実上の規制緩和になるか

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成田国際空港

2022年3月1日から厚生労働省が指示する「水際対策強化に係る新たな措置(21)及び(22)による待機について」の一部が緩和されるとの報道があった。

これについては、2月18日付の西日本新聞が「“開国”ほど遠い水際緩和 日本離れの恐れ『国益損ねる』身内も懸念」と酷評しているほか、19日付の時事通信では「水際対策ようやく緩和 岸田首相、最後まで慎重姿勢 参院選へ支持低下懸念〔深層探訪〕」と政策変更を巡る舞台裏を報じている。

一方で、18日付のデイリー新潮が「『水際対策緩和』で海外旅行も“事実上の緩和” 来月からでも行けそうな国はどこか?」と報じているので、今回のコラムではこちらに焦点を当ててみたい。

とりあえず、日本国籍者の渡航先における隔離などの有無については、外務省の「新型コロナウイルスに係る日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国に際しての条件・行動制限措置」をご覧いただくとして、それ以外にネックになりそうなことについて述べたい。

入国者上限1日5,000人の壁

外国人ビジネスマン

2月16日付のNHK News WEB「政府 入国者上限1日5000人に引き上げ 観光以外容認で調整」にもあるように、1日の入国者上限を3,500人から5,000人に引き上げることが報じられているが、これは、日本人の帰国者と海外からの入国者を合計したものであることに留意しなければならない。

従って、日本帰国便が仮に空席だらけでも、チケットが取れないということが起こり得る。
私も年末に帰国したときは、海外移植のコーディネーターからそのようなことを言われたが、無事に帰国便に搭乗できたことを覚えている。

ところで、日本は2010年代になってから、外国人労働者を入れなければ経済が回らないと言われ、国内各地の観光地はインバウンド頼みの様相を呈していた。

それにもかかわらず、コロナ禍においては、未知のウイルスはすべて外から来るとの迷信に操られた江戸時代ばりの鎖国メンタリティを剥き出しにした世論(マスコミ)の圧力で、私が「穢れし者たちへ~水際対策という名の成田空港検疫」と書いたような政策が実行されてきた。

諸外国が国境を開いても、未だに日本は外国人観光客が来れないばかりでなく、日本人も海外旅行へ気軽に行けない時代が続いている。
まるで、外国に対する興味を持ったり、国際交流など考えるなと言わんばかりの政策、貧困な英語教育の是正の場も失われた。

そして、今回の緩和策でも観光目的の外国人を締め出しているようだが、日本にお金を落としてくれそうな人や、日本が好きだと言ってくれる人を排除して、決して富裕とは言えない(犯罪者に堕ちることもある)、しかも、人身売買ではないかと酷評されている技能実習生を優先して入国させる政府、頭がどうかしているのではないかと思うのは私だけだろうか。

それにしても、帰国者(入国者)の人数を制限することに何の意味があるのか、私には全くわからない。
このような気違いじみた政策のおかげで、どれだけ関連業界の収益が悪化すると思っているのか。
間違ったコロナ対策のせいで、どれだけの失業者や就職待機者が生まれているのか、岸田文雄首相は考えもしないのか。

公共交通機関を使って帰宅するなの愚策は変わらずか

レッドカードを出す女性

私の言う、ソトから来たものは穢れているとの迷信に裏打ちされた愚策の一つが、成田空港のウェブサイトにある「日本へ帰国・入国される方の交通アクセスについて」だ。

要は、外国から帰国した人は公共交通機関を使うなというお触れなのだが、当然のことながら、これをシカトする人も多かったらしい。

私は、前回は真面目にハイヤーを手配したが、公共交通機関だと第三者に新型コロナウイルスを感染させるリスクがあり、プライベートカー(自家用車、友人の車、ハイヤー)だったら、感染させないなんてことはないのだが、感染ルートを特定させたいだけのための日本政府のやったフリ政策の一つに多くの人が振り回された。

第一、入国させておいて、空港からホテルや自宅までの間の移動に際して、公共交通機関を使うなという国が日本以外にあったら教えてもらいたいものだ。
それほど非常識極まりない政策を平然と実施していたのだ。

まして、要請と言う名の強制、「お前ら、社畜で人生楽しいか?」の著者、Atusi氏曰く、「仕事で任意って言葉は強制の意味!多用する職場はブラック企業の証だ!」と書いている。
もはや、「マスク真理教に席捲される臆病ニッポン」と合わせ、日本全体がフルブラックな国になり果てたと言えるだろうか。

なお、投稿後にご指摘があり、在オーストラリア日本国大使館の領事・生活安全情報に2月18日付で「本年3月以降の水際措置の見直しについて」という文書があり、

自宅等待機のための自宅等までの移動(検査後24時間)につき、公共交通機関の使用を可能とする。

と記載されていた。お教えいただきありがとうございました。

3日間の帰国者自宅待機を乗り切れるか

自宅の庭

私が、2021年11月から12月にかけての中央アジア旅行から帰国したときの水際対策の一つは、「海外帰国者14日間の自宅待機の中で」と書いたように、「厚生労働省・入国者健康確認センターの『指定された待機期間中』のルール」によれば、

Q. 旅行や外食に出かけたいのですが、外出しても良いですか。また、会社に出勤しても良いですか。

A. 誓約書において、自宅等での待機につき誓約いただいているところであり、指定された待機期間中は旅行や外食、出勤その他不要不急の外出はお控えください

という制約があり、現役のサラリーマンは事実上、個人的な海外旅行は不可能の状態にあった。

私に言わせれば、海外帰国者は出勤が不要不急の外出で、国内組は必要不可欠な行為という矛盾した論理はいったい何なのかと思うのだが、まさに、これこそが私の言う、ソトから来たものは穢れているとの論理なのだ。

この自宅待機が3月1日から7日間だったのが3日間に緩和されることになり、私の経験から言わせてもらっても、デイリー新潮の記事にあるように

航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏曰く、「実は自主隔離生活は、1日や2日ならビデオ通話などを無視しても何のお咎めがない“ザル”状態だったので、違反覚悟で海外旅行を敢行する人も少なくありません。ただ、今回の緩和によって、格段と海外へ渡航しやすくなります。」

つまり、週末を含めてこっそりと海外旅行へ行き、帰国後は何食わぬ顔で出勤しても、おそらくお咎めはないだろう。

私が年末に帰国したときは14日間の自宅待機だったので、厚生労働省の入国者健康確認センターからはいろいろとアプローチがあったが、さすがに3日間になったら、それほどきめ細かな対応をするとは思えないからだ。

最後に~マスク信者は海外旅行をお勧めできない

ローソンいずみ野店

今回の水際対策の緩和策を聞いても、多くの日本人は「海外へ行けるぞ!」という雰囲気にはほど遠い状況に思える。
つい先日連絡のあった海外移植のコーディネータ曰く、オミクロンが~で移植渡航をためらっている人が何人もいるとのこと、要するに、これが今の日本人の大勢なのかと思う。

しかしながら、今や、多くの日本人が待望する安心・安全な国など存在しないし(ゼロコロナを標榜する国は入国困難か不可能)、海外へ行きたいと思うなら、ワクチン接種などの予防措置を講じた上で、ある程度のリスクを覚悟で行くしかないのだ。

もっとも、たかが旅行にそこまでするかという考えもあるだろう。
ただ、一つだけ言えるのは、日本人の待望する安心・安全に世界がなるのは10年単位でかかるだろうし、特にリタイア世代は、それまでの間に自分の健康寿命が尽きる可能性は非常に高い。

そして、日本人旅行者の最大のリスクは、私が2002年8月8日付で掲載した「日本人の『清潔信仰』が免疫力の低下を招く」で書かれていること、要するに、日本人の清潔好きが嵩じて、感染症などに対する耐性が低くなっていることだ。
これにコロナ禍における常時マスクの信仰が加われば、著しく免疫力が落ちていることだろう。

外国では法規制がされていない限り、日本人のように(感染防止効果があるのかわからない)マスクなど付けてくれないし、そうかといって、新型コロナウイルスの感染者がいないわけではないのだ。
従って、ガラガラの交通機関の中でさえマスクが~とか吠えている方は、海外へ行くのをお勧めできない。
そういった方の海外での感染リスクは、精神的なものも含めて、格段に上がると思われるからだ。

最後になるが、東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授(2021年5月14日死去「寄生虫博士」、81歳)曰く、

数年前、バリ島でコレラ騒ぎ(1995年1月から2月)があったが、感染したのは確か日本人だけだった。
日本人はわざわざ無駄な金を使って抗菌グッズを作り、逆性せっけんを使い、塩素濃度の高い水道水を作って、結局は自分の体を弱くしている。

コメント

  1. Carlo Iustizia より:

    貴殿ご意見の通り最高の愚策が海外帰国者の公共交通機関使用ノ禁止です。オミクロンが現われて慌てて、怨嗟を始めたら出現在の感染者増はご存知の通り。

    言いかえれば国内でヴィールスを体内に持っていた人が随分いた今もいるの実態を見事好公表してしまうことに成りまた。
    この人たちは毎日電車バス馬車人力車に乗って体外にヴィールスを出していた話です。

    海外帰国者でヴィールス保持者と国内にしか居なかったがヴィールス保持者とどちらが大きい?
    調べもしてないし海外帰国者が電車バスに乗って感染を引き起こした事例を調査したわけでもない(実際にはできない)

    それに公共の場での感染防止方法は例えばWien では接種証明か陰性証明が無ければレストランも入れませんでした.片や日本はどうですか野放しでしょう.

    欧州の方が厳しいのです。ワクチン接種を進め乍ら接種の効果「聞いたことありませんな」式の交通機関使うなは誰が一体コンナテンデンバラバラな事を命じているのかになります。

    EUで制限緩和が進んでいますが中心は「ワクチン接種済」ですがに日本だけがそうなっていないのです。

    3/01から緩和措置が始まりますがワクチン3回接種者については状況により判断とか例に依り役人が作る曖昧模糊とした処置になっています。

    日本の実情を見て海外からの投資も減少と見限られてからやっと攘夷鎖国の失策に気が付くんでしょうがit is too late。それを予見できない日本政府は本当に愚かです

    • 長文のコメントありがとうございます。
      全くもってナンセンスな政策が多すぎますね。

      >日本の実情を見て海外からの投資も減少と見限られてからやっと攘夷鎖国の失策に気が付くんでしょうがit is too late。それを予見できない日本政府は本当に愚かです

      外国からは投資のみならず、高度人材も来ないでしょうね。
      逆に、日本人が海外に流出するでしょう。
      別のコラムで書こうかと思いますが、低賃金長時間労働、マスク強要とこれだけ悪条件が揃った国に誰が働きに来るかですね。
      今までは観光には来てくれたけど、これからはどうなるでしょうか。

  2. 3500人が5000人って悪い冗談ですよ。
    鎖国に徹していれば政権は持つ、これ1点でしょう。
    この調子でいったらごく普通の人が観光目的で渡航するなど、コロナが全面収束しないと無理ですね。
    あと、帰国時の自主隔離、陰性が確認されたら必要ないんじゃないかと思いますがね。
    ハイヤーの利用も特定の業者だけ潤わせるみたいな疑問符の付くやり方だと思いますね。

    • そうなんでしょうね。
      鎖国が多くの国民、というか、テレビ脳主権者の願いですから。
      全面収束、私が書いたように10年単位ですよ。(笑)
      さすがに3月からハイヤーは無くなって、電車やバスでいいみたいです。

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