会社を辞める理由一つで雲泥の差がある日本の社会保障

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驚く外国人男性

平成29年分(2017年分)の国税庁の民間給与実態統計調査によると、男性正社員の年間平均給与は、約548万円(平均年齢45.9歳、勤続年数13.5年)だったそうだ。(2018年9月28日 日経新聞-民間給与5年連続増 リーマン前と同水準、432万円に

これが実態を反映しているかどうかは置いておいて、今回はこのデータを参考にして、表題にもある「会社を辞める理由一つで雲泥の差がある社会保障」についてシミュレーションしてみようと思う。

前提条件は、専業主婦の妻と、16歳未満の中学生を1人持つ、年収500万円の男性正社員が会社を退職したと仮定して計算してみた。

まず、失業後の収入だが、雇用保険の基本手当は、離職前6カ月間に支給された賃金(賞与を除く)を180で割った賃金日額が基準となるのだが(従って、会社を辞める直前の半年間は残業手当が多い方が基本手当の受給額も増える)、インターネット上には、簡単に支給予想額がシミュレーションできるウェブサイトがたくさんあるので、このうちの一つを使ってみたい。

私は、シツホというウェブサイトの「失業保険の給付額を計算!直近6カ月間の給与総額で金額が決まる」を使って計算してみた。

6カ月間の給与は、月額給与に残業手当と通勤費を足したものを基準にすると、357,930円×6か月で2,147,580円となる。
年齢は45歳以上60歳未満、勤続年数は10年以上20年未満、最後に、自己都合退職を選択して計算すると、日額手当が6,103円、給付日数は120日間分、総額で732,411円となった。

退職前の手取り収入は、私のシミュレーションによれば、公租公課(所得税・住民税・社会保険料)の負担率が約20%なので、雇用保険の基本手当の受給で賄えるのは約2か月半分の家計収入、節約すれば3か月分となるわけだ。

現実的には、こういった家族の場合は、会社の倒産や解雇等、特定受給資格者となる理由で退職となるケースが多いので、会社都合で引き直すと、基本手当の給付日数は270日分、総額で1,647,926円と一気に増えることになる。

ほとんどの人は、これで一息といったところだろうが、退職した後にやってくるのが住民税と国民健康保険、そして、国民年金保険料の納付書だ。

もちろん、これらの公租公課は離職理由によっては、役所に出向いて申請することによって、納付額が減免されたりするのだが、そうできなかったケースを想定してシミュレーションすると、年間の負担額は、横浜市の場合で、それぞれ住民税が164,000円、国民健康保険料が485,330円、国民年金保険料(2019年度・2人分)が393,840円と、退職前年の年収が500万円あったとすれば、あっという間に負担額は100万円を超えてしまう。

もっとも、住民税の場合は、所得控除や税額控除がどの程度算入されるかで違ってくるが、国民健康保険料の計算には、そういったものはほとんど影響しない。
ちなみに、国民健康保険の代わりに、前職時代の健康保険の任意継続被保険者を選択しても保険料負担はほとんど変わらない結果となった。

要するに、自己都合退職の場合は、雇用保険の基本手当をもらっても、それはほとんどぬか喜びになると言わざるを得ないだろう。

これが会社都合になれば、国民健康保険料が軽減されるのを始め、住民税の減免措置国民年金の保険料免除・納付猶予が受けられるなど負担の軽減が図られるようになっている。(カードローンガールズ 失業保険のもらい方!4つのコツで多くもらい、国民健康保険料も軽減

つまり、これらの社会保障政策は自らの意思によらない失職をサポートするものだと言われればそれまでなのだが、あまりにも大きな差だと言える。

もし、会社を辞めざるを得ない理由が、特定受給資格者や特定理由離職者(参考:知らないと損する雇用(失業)保険ー離職理由コード)に該当する可能性があるなら、意地でも勝ち取ることが必要だろう。

なお、会社が実施する早期勧奨退職募集の際は、応募者が特定受給資格者の「事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」 等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)」のカッコ書きに該当すると会社が判断すれば、離職理由が自己都合退職になるので、あらかじめ確認した方がいいだろう。

さて、離職理由にかかわらず、雇用保険が受給できる期間は、原則として離職した日の翌日から1年間であるが、自己都合退職の場合は、雇用保険の基本手当の給付日数は最大で150日分なので、失業給付を受給しなくても生活が成り立つのであれば、最初の3か月は申請せずに、転職活動を進めてみるのも一つの手だ。

つまり、待期期間の3か月を入れて半年間は無収入になるが、その間は家族(親や配偶者)の健康保険の被扶養者になれる可能性もある。

さらに言うなれば、失業給付を受給せずに、1年以内に雇用保険に加入できる職に就いた場合は、その期間を通算することができるからだ。

一応、参考までに、雇用保険の対象外である一般職の公務員の方や、失業給付を受給しないことを選択された方には、私が2014年3月30日付で掲載した「早期リタイア後の生活を考える(3)」もご覧いただくといいだろう。

シミュレーションで使用した退職前年の給与
月額給与250,000
月額残業手当(125/100、45時間分)87,930時間単価=月額給与÷20日÷8時間(1円未満はすべて切り上げ)
賞与(年2回、4.45ヵ月)1,112,5002018年度人事院勧告
通勤費(月額)20,000所得税・住民税の収入金額には不算入
収入金額(名目年収)5,167,660
給与所得控除1,576,460サラリーマンのみなし必要経費(所得税法別表第五による)
所得金額3,591,200
社会保険料控除825,594標準報酬月額:360,000円(通勤費20,000円含む)
小規模企業共済等掛金控除240,000iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金
生命保険料控除100,000住民税の控除額は70,000円
寄附金控除18,000ふるさと納税:住民税は課税標準額に不算入(税額控除対象)
配偶者控除380,000住民税の控除額は330,000円
基礎控除380,000住民税の控除額は330,000円
所得税の課税所得金額1,647,000千円未満切り捨て
住民税の課税標準額1,795,000千円未満切り捨て、所得税との人的控除の差は税額控除で調整
国民健康保険料の基準総所得金額3,261,200所得金額-住民税の基礎控除額(330,000円)

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