去る7月1日、バングラデシュの首都ダッカで武装集団が飲食店を襲撃し、イタリア人9人、日本人7人を含めた人質20人が殺害されるという痛ましい事件が起きた。(2016年7月2日 産経新聞-日本人7人の死亡確認 13人救出、IS系が犯行声明)
今回のテロ事件では、主に仕事で渡航している人が犠牲になったようだが、最近では世界各地でテロ事件が発生し、一見すると安全と思われる国や地域で、一般の海外旅行者が巻き込まれることも多くなってきた。(2016年6月29日 CNN Japan-イスタンブール空港で爆弾テロ、死者36人 ISIS関与か)(2016年3月23日 CNN Japan-ベルギー連続テロ 死傷者260人、ISISが犯行声明)
従って、外務省の海外安全ホームページで「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」以上の国だけをチェックすれば良いとは言えなくなってきた。
強いて言えば、大勢の外国人が集まるような場所をできるだけ避けることだろうが、最近の傾向として空港が狙われるので、そればかりは避けようがない。
それでは海外旅行自体を止めるか?
しかしながら、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS=Islamic State of Iraq and Syria)」のような国際テロ組織が完全に殲滅されることはないため、今だけ海外旅行を中断すれば済むという問題ではないし、それではテロに屈して人生の楽しみをやめることにもなりかねない。
それを避けるためには、最低限の自衛と情報収集だけは怠らないようにしなければならない。
そういったときに役に立ちそうなのが、外務省海外旅行登録「たびレジ」だ。
このことは2015年11月20日付のコラム「外務省海外旅行登録『たびレジ』」でも紹介したが、今年の夏休みや9月の連休に海外旅行される方は是非とも使ってみるといいだろう。
気休めにしかならないとは言え、ニュースなどをリアルタイムでチェックするような人を除けば、渡航先に関する注意喚起メールが来るだけでもいいのではないだろうか。
それと、昨年11月のパリ同時多発テロのときに掲載されたCNN Japanの「まず『逃げろ』、テロが起きたらすべきこと 英ガイドブック(2015年11月24日)」も参考になるだろうか。
この記事は、英国の国家テロ対策警備室(Nactso/National Counter Terrorism Security Office)が作成したNaCTSO Guidance Note 1/2015の3ページ目の抄訳となっているので、万が一のときにどうすればいいのか読んでおくといいかもしれない。
もっとも、そのようなことにならずに無事に旅行できることが一番なのだが、そろそろ日本政府もこうしたものを準備して欲しいものだ。
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まず「逃げろ」、テロが起きたらすべきこと 英ガイドブック (2015.11.24 CNN Japan)
(CNN) パリで同時多発テロが起こり、各国が対応を迫られるなか、2005年にロンドン同時多発テロが発生した英国では、事件に巻き込まれた際にどのようにすればいいのか、具体的な行動をガイドラインとしてまとめてネット上で公表している。
以下に、内容の一部を紹介する。
大急ぎで逃げる(Run)
- もし可能なら、逃げ出す。(Escape if you can.)
- 最も安全な選択肢を考える。(Consider the safest options.)
- 安全なルートがあるか? あれば走る、なければ隠れる。(Is there a safe route? RUN if not HIDE.)
- さらなる危険に身をさらすことなく、そこまでたどりつけるか?(Can you get there without exposing yourself to greater danger?)
- 他の人にも一緒に逃げるよう強く言って聞かせる。(Insist others leave with you.)
- 持ち物は置いていく。(Leave belongings behind.)
隠れる(Hide)
- もし逃げられなければ、隠れる。(If you can’t RUN, HIDE.)
・襲撃者が見えているということは、逆に彼らから見つけられる可能性もある。(If you can see the attacker, they may be able to see you.)- 頑丈なレンガ造りの壁やしっかりと補強された壁など銃撃を避ける遮蔽(しゃへい)物を見つける。(Find cover from gunfire e.g. substantial brickwork / heavy reinforced walls.)
- 出口を確認する。(Be aware of your exits.)
- 捕まらないようにする。(Try not to get trapped.)
- 静かにする。携帯電話の音を切る。(Be quiet, silence your phone.)
- 鍵をかけ、立てこもる。(Lock / barricade yourself in.)
- ドアから離れる。(Move away from the door.)
伝える(Tell)
- 警察に電話する:警察に何を伝えればいいのか?(Call the police – What do the police need to know?)
- 場所:容疑者はどこにいるのか?(Location – Where are the suspects?)
- 移動経路:容疑者を最後に見たのはどこか?(Direction – Where did you last see the suspects?)
- 描写:襲撃者の人数、特徴、衣服、武器を説明すること。(Descriptions – Describe the attacker, numbers, features, clothing, weapons etc.)
- さらなる情報提供:被害者、けがの種類、建物の情報、入り口、出口、人質の有無。(Further information – Casualties, type of injury, building information, entrances, exits, hostages etc.)
- そして、もし安全に行えるなら、他の人々が建物の中に入ってこないようにする。(Stop other people entering the building if it is safe to do so.)
警察が到着しても、銃を突きつけられ、手荒く扱われ、質問され、襲撃者ではないとの区別がつかない場合もある。
そうした場合は、落ち着いて両手を見えるようにし続け、脅威とみなされるような突然の動きを避け、当局者の指示に従うこと。英文記事:What to do in a terror attack: ‘Don’t play dead’ (November 20, 2015)
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