黒田バズーカ第3弾の効き目は早くも終わりで、2月も安定した下落相場継続か?

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2016年1月24日 ニューイヤーセミナー

去る1月29日の金融政策決定会合で、日銀は史上初めて「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入」を行った。

いわゆる黒田バズーカの第3弾と言われるもので、即座に日本の株価と為替が反応して、年初から市場を覆う陰鬱な下落相場が、2月に入れば、一気に陽転するかという期待に満ちた雰囲気を醸し出した。(2016年1月29日-ロイター 日銀追加緩和でマイナス金利導入、株価は乱高下

ところが、黒田バズーカ第3弾以降で、日経平均株価が上昇したのは、この日と2月1日だけで、2日以降は3営業日連続で下落、マイナス金利を導入した効果は雲散霧消の気配、一方で、とりわけ国債の運用を収益の柱にしている邦銀や生命保険会社、そして、彼らの顧客(つまり私たち)にとって負の側面だけが残されようとしている。(2012年2月2日-ブルームバーグ 黒田マイナス金利、適用対象30兆円、民間銀行はどう動く、その影響は

さて、私は去る1月24日にサンワード貿易が主催した「ニューイヤーセミナー 2016年の投資戦略を考える」というイベントに参加した。
そこで、講演した小次郎講師(手塚宏二氏)は、2016年の日本市場の基本戦略は「売り(selling short)」、それでいながら非常に楽しみな相場と評した。
要するに、彼のようなプロの投資家、あるいは「売り」が使える投資家にとっては楽しみであっても、バイ&ホールドが主体の一般の投資家にとっては臥薪嘗胆の相場になるということだろう。

ついでながら、1月22日付のブルームバーグは「ソロス氏:中国のハードランディングは不可避、株投資は時期尚早」(英文:Soros Says China Hard Landing Will Deepen the Rout in Stocks)という記事を掲載している。
私は「熊(bear)の咆哮、2016年の投資のキーワードは戻り売り(sell on rally)(2016年1月16日)」で書いたように、ベアのETFと、日本株の空売り(short selling)を組み合わせて、今年を何とか乗り切ろうと考えている。

今のところ、短期トレード(主に売り)で比較的うまくいっている銘柄があるので、今年はこれ1本に絞ってとことん付き合おうかと思う。
ところで、小次郎講師曰く、移動平均線大循環分析から得られる現時点(2016年1月22日現在)の主要先進国(日・米・欧)の相場環境は、ステージ4の安定下降局面であり、この循環は統計学的に7割方は時計回りになるという。

この順番は一時的に逆になっても、最後には時計回りになり、また、ステージを飛ばすことは基本的にないとのことなので、今回の黒田バズーカの効力が限定的になったのも、下降局面の真っ只中では致し方ないと言えるだろう。
この下落相場の転換点は、コモディティ価格に注目すればいいとのことで、それほど先の話ではないということだった。

未来のことは誰にも予測できないが、過去の暴落相場の歴史に照らせば、秋口(9月、10月)が転換点になるのだろうか。
せっかく彼のセミナーに出たことでトレードのヒントを一つ得られたので、セミナー会場で紹介されていた「数字オンチあやちゃんと学ぶ 稼げるチャート分析の授業」で講師の考え方を復習するのも悪くないだろう。

小次郎講師も触れたコモディティの中で唯一「買い」ができそうなのが、池水雄一氏が推奨した金(ゴールド)、底打ちしそうだということなので、少しずつ現物やETFに投資してみるといいと思う。

そして、この日の目玉だった元自民党衆議院議員で現在は投資家やタレントとして活躍中の杉村太蔵氏、彼の講演もなかなかユニークなものだった。
彼は「バカでも資産1億円:「儲け」をつかむ技術」という本も出しているが、彼の投資の要諦は投資対象銘柄をとことん調べて、買ったらずっと持ち続けるとのことらしい。

また、その会社は10年後も世間に必要とされている商品を生み出しているか、同業他社が類似商品を出していれば、自ら使い勝手を試したりしたそうだ。
高齢化社会を見据えて、自ら介護用オムツを穿き比べたというのはかなり笑えるエピソードだったが、そのおかげで資産を築けるなら安いものだと思った。(個別銘柄に言及しなかったが、ユニ・チャーム(株価:8113)ではないかと思われる。)

それに、彼は、投資について「株を買うと政治や世界情勢などに意識が向くし、日本経済のためにもなる。特に若い人に勧めたい。」と述べたが、これは彼の信念のようだ。

今年は幸か不幸か相場環境は全く良くない。
良くないがゆえに、投資をこれからやろうという人にとっては、将来のための勉強をする絶好の環境であるとも言えるのだ。

コメント

  1. 竹中 より:

    昨年12月に米国FRBが利上げしましたが、遅きに失しましたね。本来なら、2014年中に利上げすべきでした。
    足元の米国経済が7年に及ぶ景気拡大局面から景気後退期に入った所で、利上げするなんて、金融のプロが泣きますね。
    米国経済は製造業の不振から非製造業の不振に及んでいて、金融引き締め策ではなく、金融緩和が必要な局面です。
    米国の景気が後退すれば、2016年の利上げはできず、ドル安・円高に動きます。
    円高1円で日経平均株価は300~500円下落します。
    中国経済の不振より、米国経済の後退の方が日本株にはマイナスに働きます。
    2016年はジット辛抱し、2017年以降に期待するしかなさそうですね。

  2. カルロス より:

    竹中さん、コメントありがとうございます。
    確かに米国の利上げは遅すぎたかもしれませんね。
    少なくとも、2年前でも良かったかも。
    いずれにせよ、今年の相場は悪いですね。

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