熊(bear)の咆哮、2016年の投資のキーワードは戻り売り(sell on rally)

この記事は約6分で読めます。

上野動物園

2016年の大発会から世界の株式市場は大荒れである。
まさに熊(bear)が咆哮しているという表現がピッタリくる相場環境だ。

震源地の上海総合指数(Shanghai Stock Exchange Composite Index)は、昨日の終値が2,900.97ポイントとなり、昨年末(3,539.18ポイント)からの下落幅は、638.21ポイント(18%)に及び、それに引きずられる形で、日経平均株価も、大発会から6営業日連続の下落を含めて、昨年末(19,033.71円)からの下落幅は、1,886.6円(9.9%)で、昨日の終値は17,147.11円となっている。

また、最後の砦と言われる、米国市場もダウ平均株価(Dow Jones Industrial Average)が昨年末(17,425.03ドル)からの下落幅は、1,436.95ドル(8.2%)で、昨日の終値は15,988.08ドル、ナスダック総合指数(NASDAQ Composite Index)が昨年末(5,007.41ポイント)に比べて、518.99ポイント(10.4%)安の4,488.42ポイントで終わっている。

欧州の雄であるドイツ、こちらもDAX指数(Deutsche Boerse AG German Stock Index)が、昨年末の10,743.01ポイントから1197.74(11.1%)下落し、昨日の終値は9,545.27ポイントとなっている。

イギリスのFTSE100種総合株価指数(FTSE 100 Index)も、昨年末の6,242.30ポイントから438.2ポイント(7%)下落し、昨日の終値は5,804.10である。

ここまで市況が悪化すると、今の状況が押し目買い(buy on dips/buy on reaction)の好機だと思う人はほとんどいないだろう。

ところで、世界恐慌の様相を呈している株式市場の震源地である上海総合指数に関しては、直近1年間(52週間)の最高値(2015年6月12日/5,166.35ポイント)からの下落率が、すでに40%に達しているにもかかわらず、未だに下げ止まる気配すら見えない。

2015年12月の日米の株式市場が割合に高値圏で推移していたことを思えば、昨年後半は中国の独歩安と言えたが、今年はその反動で大幅な下落に見舞われるリスクがあるようだ。

特に、日本のアベノミクスによる上昇相場は、官製相場の様相が濃かっただけに、その反動はよりいっそう大きなものになりそうだ。

私は11日に「神様の気紛れがもたらした大吉という名のいたずら」というコラムを掲載した後で、今年のおみくじで出た「大吉」(運勢:千里の道も一歩からというように、事は順序よく運んでいき、次第に運気が開けてきます。樹木が大きく育っていくには時間がかかりますが、あなたもこの強い運勢の波に乗って確実に成長の節をつかんで欲しいもの。何事も焦ってはいけない。かならず手順を正しく踏んで行動を起こすこと。)を本当の意味でものにするために行動を起こすことにした。

今年の投資のキーワードは戻り売り(sell on rally)、私は日本株(に限らないが)が暴落するときが、あと3回はあると予想している。
中国の春節休暇(2月7日から13日)明け、日本のゴールデンウイーク明け、そして、今年の9月か10月だ。

これらの前に売られ過ぎ、あるいは空売りの買戻しによる反騰相場があると思うので、そこが今年の狙い目ということになるだろう。

とりあえず、日経平均株価の動きに関してはファイスブックコミュニティの「株価テクニカル手法」やE-businessの「日経平均株価週間予想」を参考にさせていただこうと思う。

もっとも、未来の相場のことは誰にもわからないが、今年の世界市場の行く末が、8年前のリーマンショックの二の舞だと仮定すれば、今年は中国の五大銀行である、中国建設銀行(0939HK)、中国農業銀行(1288HK)、中国工商銀行(1398HK)、交通銀行(3328HK)、中国銀行(3988HK)のいずれかが破綻するか、

ほかの新興国がデフォルトするなどのことがないと、セリング・クライマックス(selling climax)は来ないのではないか。(2015年7月27日 フォーサイト(Foresight)-中国「株暴落」の次は「銀行破綻」か

遅まきながら、今年の投資の主力商品は、ベアのETF(参考:インバースETF一覧 ETFdb.com – Inverse Equity ETF List)から選ぶといいだろう。
例え、少額でも精神安定剤を飲むというつもりで投資するといいかもしれない。

私は久々に国内証券会社の信用取引口座を使って日本株の空売り(short selling)をしてみた。
おそらく、週明けの18日も大半の日経平均構成銘柄は暴落するだろうから、そこそこの含み益は出るだろう。

何事も焦ってはいけない、とのお告げどおり、今回は復習(!?)なので、売られ過ぎの反騰が出たときに一旦手じまいをして、次の機会に備えようと思う。

一方で、海外口座に関しては、私が持っている米国証券会社のファーストレード(Firstrade)でも信用取引(margin trading)ができるのだが、そこまでやると資産管理が行き届かなくなるので、おそらく、今持っているベアのETFだけで止めることになるだろう。(海外投資を楽しむ会-Firstrade基本情報一覧

2015年4月21日のコラム「日本における外国株投資ツールの充実と海外口座を巡る最近の情勢」で書いたように、日本の証券会社で米国株口座を扱っているところはいくつかあるようだが、米国市場で上場されているすべての銘柄が買えるわけではないと聞く。
こういった事実は知っておいた方がいいだろう。(2015年3月11日 BRICsプラス11投資情報-金融庁の規制で日本の証券会社から取引できないもの

さて、問題はHSBC香港なのだが、私は米国株口座(参考:2012年10月5日-HSBC香港の投資口座保有者は米国株口座の追加は郵送でOK)を持っているので、そこでベアのETFを買うことができるが、アメリカ本国の証券会社と違って、株の空売り(short selling)はできない。(香港株の信用取引(買い)も18歳以上の香港居住者しかできないことになっている。)

米国株口座のない人にとってのベアマーケット(弱気相場)対策は、香港株のプット(put)のワラント(warrants)を買うことなのだが、残念ながら、これは投資の初級者にはお勧めできない金融商品だ。

もし、これにトライしたいということであれば、2007年5月13日付の「HSBC香港でワラント投資を」を参考にして欲しい。

実際のところ、この商品に投資するなら、昨年のうちにやっておくべきだったかもしれないが、これからトライするなら、Underlying(対象銘柄)がハンセン指数(HSI/Hang Seng Index)のものを選ぶとわかりやすくていいかもしれない。

とりあえず、こんなところだが、今年は熊(bear)の背中に乗って激流下りを楽しめることを祈りたいと思う。

ちなみに、2015年12月29日の「資産形成のための比較的安全な米国株投資法」で紹介したロッキード・マーチン(Lockheed Martin:株価 LMT)、こちらは昨年末の217.15ドルからわずか1.16ドル(0.5%)下落の215.99ドルで昨日の取引を終えた。

配当も年4回で年率3%、さすが米国の支配層が大量保有する株式だけあって化け物としか言いようがない。
まさに、鉄板投資銘柄、私はこれに気付くのが遅すぎたことを後悔している。

コメント

タイトルとURLをコピーしました