米国のハイイールド債券(high yield bond)ブームに陰り

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エンパイアステートビルからの眺め

8月5日付のモーニングスターで「『混ぜるな危険!』ハイイールド債券との組み合わせに注意」というコラムが掲載されていた。

「『ハイイールド債券ブームがついに終焉か』-。そう思わせる資金の動きが7月の米国籍ファンドであった。米モーニングスターカテゴリー「High Yield Bond(ハイイールド債券)」に属するファンドが約61億ドル(6,100億円規模)の純資金流出を記録したのだ。流出規模としては、2013年6月以来1年ぶりの大きさとなる。」との書き出しから始まる記事は、8月に入って下落基調に転じた主要国の株式市場と相俟って金融危機勃発への序曲にも見える。

ハイイールド債券市場に関しては、時を同じくして英字紙のフィナンシャルタイムズ(Financial Times)でも、8月4日付のInvestors blow froth off junk bond market(ジャンク債市場から逃げ出す投資家たち)、8月7日付のInvestors flee US junk bonds(米国のジャンク債から逃げ出す投資家たち)と、立て続けに記事になっている。

私が2009年3月29日付で書いた「『強気相場』は始まったのか」で引用したブルームバーグの2009年2月23日付の記事にあるように、ジャンク債市場が活況を呈し始めたことがリーマンショック後の強気市場の始まりのゴングだったとしたら、その逆も言えるのではなかろうか。

2009年の強気相場の始まりから約5年、そろそろ市場が反落するのではないかという懐疑的な見方が台頭する中で、相次いで起こるウクライナや中東での戦乱は、世界市場が崩落するには十分過ぎるほどの理由を持っている。

ハイイールド債券を組み入れたファンド(high yield fund)は米国市場でも数多く上場され、日本でも高い人気を誇る金融商品の一つとなっている。

私がHSBC香港で買っているファンド「AllianceBernstein – American Income Portfolio(fund code: U62407 毎月分配型、豪ドル建の年利回り約7%)」や、Firstradeで買っているファンドPIMCO High Income Fund (PHK)もこの種の金融商品だ。

このほかにも高配当型の金融商品としてはCornerstone Progressive Return Fund (CFP)があるが、これはどちらかというと新興国株式にも投資されているものだ。

ほかにも米国市場に上場されている高配当株はDividend Stocksで検索できるが、いずれにせよ、リーマンショック級の金融危機が勃発した場合は、これらの商品の基準価額の下落率や、分配金率の動きを注視しないとならないだろう。

私がHSBC香港で豪ドル建のファンドを買ったときに、ジョン・ラウ(John Lau)さんから説明されたリーマンショック時の基準価額の下落率はマイナス15%程度、ハイイールド債を組み入れたファンドとしては安定感があると思って購入に踏み切ったので、それが次の金融危機時にも継続できるかどうかは私の人生を左右すると言っても過言でないからだ。

そのHSBC香港のジョン・ラウ(John Lau)さん、2012年、2013年と強気にファンドを勧めてきたが、先月の香港・マカオ旅行に際に今後の見通しを尋ねたときは、「(日本語で)今はマーケットが高くなり過ぎたので、秋に市場が下落する可能性があります。今はキャッシュで持っておく方がいいです。」と言った。(金融機関のファンドマネージャーがこういう発言を個人投資家にすることは珍しいかも)

私もこれには同感で、あらかじめ下落相場の保険として米国株口座で買っておいたProShares UltraShort MSCI Japan (EWV)はそのままにしておくことにした。(参考:2012年10月5日-HSBC香港の投資口座保有者は米国株口座の追加は郵送でOK

日本株のベアETFにした理由は、世界的な弱気相場がきたときに最も脆弱な市場(fragile market)が日本だと思われるからだ。

ちなみに、米国株を売買していない月は、月額US$5(約500円)の米国株口座管理料(Account maintenance service fee)がかかるとあり、2014年12月まではこれが免除されるとあるが、私の記憶している限り、これは毎年のように期限が延長されているので、次回もされるだろうか。

また、これと似たような銘柄に日本で投資するならレバレッジ型・インバース型指数ETFから選択するといいだろう。
もし、日本の証券会社で米国ETFに直に投資したいと考えるなら、ワールドインベスターズの友人でもあるしむしむさんのブログ「BRICsプラス11投資情報」から「アメリカ株の取引-日本のネット証券と米国のネット証券どっちがいいの?」を参考にするといいかもしれない。

ところで、この世界的な弱気相場転落の危機に際して中東の株式市場では新たな動きがあった。

7月28日付のフィナンシャルタイムズ(Financial Times)で、サウジアラビアの株式市場が外国人投資家に開放されたと報じられたことだ。(Saudi market reforms invite access to oil growth 日本語訳:JB Press-サウジの証券市場開放、非石油部門の雇用創出へ

これによって、サウジアラビアがMSCI新興国市場指数(MSCI emerging markets index)に組み込まれると、これに連動するiShares MSCI Emerging Markets (EEM)はさらなる上昇が期待できるだろう。

また、日本市場で上場されている外国株指数ETFとしてはMSCI エマージング・マーケット・インデックス(1681)がこれに該当するだろうか。
ただ、これらに投資するとしても今年は秋以降まで待った方がいいと思う。
買っていきなり株価が2割も下落して平気でいられる人はあまりいないからだ。

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