国内手ぶら観光旅行の勧め

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働く女性

私が昨年の7月に行った「青春18きっぷの旅(立山・高山・伊勢)」、そして、つい先日の「南紀家族旅行(熊野三山・紀伊勝浦・瀞峡)」の旅行記を作成していて気付いたことが一つある。

それは、立山や熊野古道といった、大きな荷物を持って移動(観光)するにはキツイところを、宅配業者が観光客の荷物を次の拠点まで配送してくれるサービスがあることだ。

具体的には、立山エリアが、アルペンポーターサービス(英語版:Baggage Delivery Service)、熊野古道が、熊野古道手荷物搬送サービス(英語版:Kumano Kodo Pilgrimage Trails – Luggage Shuttle)といった按配だ。

実際のところ、立山に行こうと思ったときに、これが使えるかどうか検討したことがあるのだが、日本は究極に便利な国だなと感心したのだ。

しばらくして、日経新聞に「宅配大手、手塩にかける『手ぶら観光』(2015年10月16日)」という記事が掲載された。
そこには、「てぶら観光」に注力した観光客の荷物の搬送を宅配便市場の牽引役の一つにすることが書かれている。

また、国土交通省も「手ぶら観光の促進」という政策を掲げていて、そのターゲットが訪日外国人であることが、日本のウェブサイトには珍しく英語版の案内が完備していたという理由なのだろう。

ところで、政府は「現状、外国人による訪日旅行は個人によるものが多数であり、その多くは自分で大きな荷物を持って日本国内を移動しています。自ら荷物を運ぶ必要がなければ、訪日外国人旅行者の利便性が向上し、観光立国の推進に資すると考えられるため・・・」と書いているが、私はもう一つ隠れた理由があると思っている。

それは、私が「2009年3月の九州旅行」のときに書いた、

(特急『かもめ32号』に乗って)ただ唯一の不満は頭上の荷物棚にキャリーバッグが仕舞えないことで、これではバックパックやスーツケースを持った観光客など乗せることなどとうてい不可能というレベルだった。

今回私が持ってきたキャリーバッグは国内線の飛行機でも機内の荷物棚に入るくらいのものなのだから、特急列車の荷物棚がビジネスバッグやリュックサックくらいしか入らないというのはどうかと思う。

これでは外国人などの長期旅行者は列車で旅するな、と言わんばかりだ。

九州のように観光資源が多いところで、JR九州の幹部が日帰りのビジネス客や土日しか旅行に行かない人間しか見ていないと、せっかくの新型特急の設計もチャチなものになるのだ。これだったら昔の開放型の荷物棚の方がはるかに良かったように思える。

という一節は、JR九州管内の特急列車ばかりでなく、今回乗った「特急・南紀」も似たようなものだった。
要するに、いざとなれば、訪日外国人の荷物を運んであげられるような体制にしないと、苦情に繋がりかねないからだろう。

そうは言っても日本の滞在している間、毎回のように宅配便を利用する人などいないだろうから、特急列車については新型車両投入のときに荷物棚を改善することが必要かもしれない。

いずれにせよ、今は政府と宅配便業界が一体となって、「手ぶら観光」を促進しているようなので、機会があれば使ってみるといいだろう。
もっとも、夜行列車で旅立つときに、自宅から最初の宿泊先へ荷物を送って、途中で観光しながら行くというのも趣旨は同じだ。

そういった意味では2014年9月の「鉄ちゃんとグルメを追求する北海道への旅」の初日は、まさに「手ぶら観光」だったと言える。
ただ、この「手ぶら観光」、肝心の空港に(少なくとも成田や羽田には)案内があるようには思えなかったのだが、外国人旅行者の利用を促進することができるのだろうか。

宅配大手、手塩にかける「手ぶら観光」(2015.10.16 日経新聞)

宅配便大手が観光客の手荷物預かりと配送サービスに力を入れている。
インターネット通販で培った即日配達のネットワークを生かして、観光名所とホテルなどを結んで新たな事業に育てる狙いだ。
「ニッポンならでは」の新サービスに育て、訪日外国人客の需要も開拓できるか。最前線を追った。

■駅構内の一等地に有人店舗

9月中旬の昼下がり、岐阜県に住む若山妙さんはJR桜木町駅(横浜市)の改札前にある観光案内所のカウンターで荷物を預けた。
前日に19歳の娘と千葉県浦安市のテーマパークを訪れ、この日の午後は「帰りの新幹線に乗るまで横浜を散策する」ためだ。
横浜市の外郭団体が管理するこの観光案内所の運営を担うのは、宅配便大手のヤマト運輸だ。

土産物の販売店と同じスペースに宅配とクロークのサービスカウンターがある。
営業時間は午前9時から午後9時と限られるが、すぐ近くのコインロッカーより100円安い500円でスーツケースを預けられる。

京都市でガス器具店を経営する葛城敏史さんは9月中旬、JR東京駅の日本橋口近くでスーツケースを預けた。
フランスでマラソン大会に出場し、成田空港から東京駅にバスで着いたばかり。
「東京の友人と会ってから京都に帰る」ため、佐川急便が運営する「東京手ぶら観光手荷物預かり処」に1つ800円で預けた。

佐川やヤマトは駅構内の一等地に有人店舗を構え、コインロッカーと張り合おうとしているわけではない。
本当に狙っているのは駅から近隣のホテルまでの当日配送だ。

佐川の東京駅の拠点では午前11時までに預ければ、東京23区内と千葉県浦安市のホテルなら当日の夕方に荷物を届ける。旅行中という大阪市の夫婦は、このサービスで23区内のホテルに荷物を送った。
料金は1600円弱。「夕方にまた東京駅に寄る手間や2人分の交通費を考えると、まあ納得はできる」。

コインロッカー代に1000円ほど足せば夕方に宿泊先のホテルに荷物が届く。
ヤマトのサービスも同じような価格設定で、「手ぶら観光」の荷物を通常の宅配便と同じ流れに乗せることで実現している。

うまく需要を取り込めば、既に構築した配送網に新しい荷物を流すだけなので、2社にとってうまみのあるビジネスだ。

企業側だけでなく、訪日客の増加を目指す政府も「手ぶら観光」に力を入れ始めた。
観光庁は今年7月に「Japan.Hands – Free Travel」という呼称でロゴマークを決め、全国47カ所の認定事業所で活用を始めた。

ヤマトは横浜エリアのほか、京都や金沢など15カ所で認定を獲得。佐川も東京駅と東京スカイツリー、浅草雷門の3カ所で認定を受けた。
宅配便市場で合計8割のシェアを握る2強が新分野でもしのぎを削る背景には、拡大を続けてきた宅配便ビジネスが変革期を迎えていることがある。

国土交通省によると2014年度の国内の宅配便取扱個数は2013年度比0.6%減の36億1379万個と5年ぶりに前年度割れとなった。
2013年度に消費増税前の駆け込み需要があった反動が主因ではあるが、人口減社会のなかでは、ネット通販というけん引役にも限りがある。

コメント

  1. 与太郎 より:

    荷物棚についてはドイツのICEを参考にすれば十分でしょう。海外旅行用の大型スーツケースも楽に収容できます。但し、私には重すぎて上げ下ろしが出来ないので通路に放置せざるを得なかったが。

  2. カルロス より:

    コメントありがとうございます。
    そうですね。ドイツや欧州各国のような広い荷物棚は必要ですね。

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