マイナンバーは国民にとって吉と出るか凶と出るか

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今日、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)が施行され、各自治体から通知カードの発送が始まったと報じられている。(2015年10月5日-毎日新聞:マイナンバー制度 法施行で通知カード発送作業スタート

簡易書留で届くということなので、郵便の受け取りを拒否したり、不在通知を放置したり、といったことをする人が出ることは予想されるし、住民票を置き放しにして別のところへ転居した人もかなり多いだろう。

一方で、通知カードを物理的に受け取れない人も多く出るに違いない。
一番多いのが、病気や怪我で長期入院したり、介護施設に入所したりしている人だろうか。

そして、後々大問題になりそうなのが、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)の保護規定が適用されて、住民票の所在地とは別のところに避難している人や、東日本大震災の被災者だろう。

こういった人たちは居所情報の登録をお願いします(総務省)」とあるが、DV被害者や被災住民の居所(住民票とは別の居住地)を関係自治体は把握していないのだろうか。

もし、把握しているなら役所間の情報交換で、正しい居所に通知をすればいいことであって、わずか1ヶ月の間に本人に届出させるのは酷というものだろう。
それともそういった情報交換ができる法規定がないのだろうか。

こういった突っ込みどころ満載の通知カードの発送が始まったわけだが、本人に届かなかったとしても、あるいは受け取りを拒否しても、法律が適用されることに変わりはない。

インターネット上では、通知カードの受け取り拒否を促進しよう、などということが流布されているが、そんなことをしても勤務先からマイナンバーの提示を求められたり、数年後に銀行口座との紐付けが義務化されれば一発でアウトである。

当然、銀行口座との紐付けの暁には、最悪の場合、口座が凍結され、給与の受け取りもクレジットカードの決済もできなくなるので、悲惨なことになるだろう。
そういうことは嫌なので海外移住(転出)するか。

ただ、この場合も、「出国税の導入も決定、海外赴任やロングステイ予定の個人投資家はどうすべきか(2015年4月30日)」で触れたように、国内の銀行口座が使えなくなる可能性が出てくることが厭らしい。

一方で、マイナンバーを使った電子行政サービスは向上するのだろうか。
実は、公的個人認証サービスのウェブサイトに、現行の住民基本台帳カード(公的個人認証サービス)で利用できるサービスの一覧が掲載されている。
これを見れば、自分の住んでいる自治体の電子行政サービスがどの程度のレベルかわかるだろう。
残念ながら横浜市はかなり遅れていると言わざるを得ない。

要は、住基ネットがマイナンバーに代わると思えばいいわけで、横浜市のように電子行政サービスが遅れた自治体に多くは期待できないということだ。
もっとも、地方自治体の首長や議員に、電子行政サービスの充実を要望するのは有権者の権利であり、義務と言ってもいい。

情報漏えいのリスクを背負っているだけで何の果実もなければ、それは国民にとって投資(正しい税金の使われ方)ではないのだ。

ところで、私が今読んでいる本で「貧乏人を喰う奴らを暴く!」(夏原武著)というものがある。
その中にネームロンダリング(戸籍操作)ということが書かれている。
単純に言えば、戸籍の売買というもので、別人になりたいと思っている人が、借金で首が回らなくなって何でもいいから金にしたいという人や、浮浪者(ホームレス)となった人から、ブローカーを通して戸籍を買うというものだ。

この浮浪者から戸籍を買うというのは、選挙の集団投票にも使われる「なりすまし」の王道だと夏原氏は言う。
そうは言っても、この方法で選挙結果を左右するほどの票(人)が集まるのかと思うのだが、もし、事実だとすれば、疑惑の大阪都構想の住民投票否決もこうした理由によるものではなかろうか。(2015年5月18日-日経新聞:大阪都構想の住民投票、僅差で否決 野党再編の行方にも影響

さて、今までは国民が固有識別番号を持たなかったために、戸籍を操作することによって別人になり変われたと、夏原氏は言うが、今後はどうなるだろうか。
この戸籍売買の要諦は、売る方が戸籍がどれほど重要か認識していないことなのだが、それはマイナンバーになっても変わることがないように思える。

内閣府が行ったマイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査(平成27年7月)では、制度の内容まで知っている人は回答者の約4割に過ぎなかった。
今の時点では戸籍より重要性に関しての認知度は低いと言えるだろう。

ザルのような政府のセキュリティ認識ではマイナンバーの流出も怖いが、マイナンバーを平気で売買する人や、情報を横流しする人も後を絶たないかもしれない。

コメント

  1. trintrin より:

    ワタクシの仕事業界では6月ころから勉強会が開かれています
    このような重大な法律の周知が4割に満たないというのは
    平和ボケですかしらね
    さてこのマイナンバーで一番利益を得るのは国ではなく
    日本郵政である
    と言った人が周囲で数名おりました
    簡易とはいえ書留ですからね
    日本郵政が上場をしていたらストップ高間違いなしだ
    とも・・・

  2. カルロス より:

    >このような重大な法律の周知が4割に満たないというのは平和ボケですかしらね
    新聞や雑誌にはたいてい掲載されているので、それを少しでも読めば、と思いますが、みのもんた氏のような芸人がワイドショーで叫ばないとダメというのでは日本国民、終わってますよね。
    >日本郵政が上場をしていたらストップ高間違いなしだ
    とも・・・
    それはマイナンバーの周知方法が取りざたされる頃であって今ではないと思います。
    マイナンバー関連株が上がったのもずいぶん前ではないかと・・・

  3. 酒井 より:

    転出の場合は、今年の7月までに転出した人が送付されません。
    今転出しても全く意味が無いです。

  4. カルロス より:

    酒井さん、コメントありがとうございます。
    付番を避けるための海外転出を今からしても無駄なのは承知してます。
    私が言いたいのは、銀行口座や証券口座の紐付けなど面倒なことを避けたいならどうか、ということですね。
    それと前段の郵政株式に関する書き込みは私以外の人に対するレスとしては失礼に当たるので削除しました。
    誰もが投資に詳しいわけではないので、その点はご配慮ください。

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