昨年の5月10日、私が「ふるさと納税して山形牛を実質無料で貰おう」というコラムを書いたとき、この特典を取り上げているメディアは、主として、マネー雑誌などの経済誌だけだったように思う。
ところが、それから半年ほどたって、出先で夕食を取っているときに何気なく見ていた日本テレビの「あのニュースで得する人損する人(2013年12月19日放映)」で、ふるさと納税に対するお礼で特産品が貰えることが取り上げられていた。
その後、日本テレビでは確定申告の時期に合わせてなのか、今年の2月6日の番組で第二弾の放送がされていて、去る7月15日には、フジテレビの「やっぱりタダが好き!」という番組でもふるさと納税のことが取り上げられたという。
私の母曰く「(ふるさと納税のことは)何度もやっているわよ」ということなので、これらの番組以外でも取り上げられているのだろう。
このような感じだと、取材対象となった自治体には、担当職員や供給元事業者がパニックになるほど問い合わせや、寄附(特産品の応募)が殺到するだろうと思った。
ただ、数ある報道の中で、ふるさと納税という制度を利用することで、国民が確定申告を通して税に関心を持つきっかけになればいいという報道が全くないのは非常に残念なことだ。
私が昨年2回目のふるさと納税をしたのは12月14日、相手先は鳥取県で、お礼の特産品はオンリーBOOが販売している「奇跡の豚セット」を選んだ。(参考:2013年12月15日「面倒くさいは貧乏の始まり」)
鳥取県を寄附先に選んだのは、支払いを含めてすべての手続きがオンラインで完結するという、日本の役所としては極めて先進的(!?)なことに好感が持てたからだ。
そして、鳥取県内の観光4施設優待券(とっとり花回廊、夢みなとタワー、中国庭園と道の駅「燕趙園」、鳥取二十世紀梨記念館-2015年3月31日まで有効)や礼状、寄附金領収書などが入った封書は1ヶ月ほどで届いたものの、肝心の(!?)特産品はなかなか届かない。
ようやくゴールデンウイーク前になって、鳥取県庁から特産品の発送遅延に対するお詫びのメールが届いたが、私は、寄附をしたことすらすっかり忘れかけていた。(苦笑)
【鳥取県ふるさと納税】お礼の品のお届けについて(お詫び)
このたびはふるさと納税制度により、鳥取県へ御寄附をいただき、誠にありがとうございました。
お礼の品としてお選びいただいた「奇跡の豚セット」については、お届けが大幅に遅れております。現在、新たな受付は行わず、できるだけ早くお届けできるよう努めているところですが、お礼の品を楽しみにしてくださっている皆様には、大変ご迷惑とご心配をおかけし、誠に申し訳ございません。
また、お届け状況について、個別の御連絡が遅れましたことを併せてお詫び申し上げます。「奇跡の豚セット」は多くの方の御注文をいただいた人気の品であり、家族経営の小規模な企業であるため生産量が限られていること、商品の中に豚一頭から僅かしかとれない部位が含まれること等により、 生産が追いつかない状態となっていたものですが、現在は新たに人員を確保する等、徐々に生産体制を整え、計画的な発送を進めているところです。
最新のお届け状況については、ふるさと納税ホームページにおいて随時情報を更新しておりますのでこちらよりご確認いただきますようお願いいたします。
皆様にできるだけ早くお届けできるよう努めておりますので、どうぞ今しばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます。私の応募した特産品は、7ヶ月たってようやく届いたが、テレビ放映を見たときに懸念していたことが現実になったという感じであろうか。
マネー雑誌などの経済誌で取り上げられている程度なら問題ないだろうが、テレビで放映、しかも1回のみならず、しつこく何回もやれば、少人数でやっていると思われる担当部署に、問い合わせや寄附(特産品の応募)が殺到して捌ききれなくなるだろう。
それに加え、NO税者(税金を払ってない人)や、税務署代わりに確定申告書の書き方の問い合わせなどをする人が紛れ込めば、担当部署の忙しさの度合いはさらに増す。
一方、供給元事業者が零細企業や個人の場合は、注文が仮に今までの10倍、20倍になれば、嬉しい悲鳴というよりパニックであろう。
それに、特産品を地方自治体が自動的に買い上げてくれるようになると、供給元事業者がその分だけ営業努力をしなくなることや、一時的な人気によって設備投資が過剰になるという懸念もある。
また、ふるさと納税という制度が地方自治体に対する寄附金であるという本旨を外れ、役所に寄附すれば特産品が貰えるという雰囲気が国民の間に蔓延すると、単なるおまけの品の意味合いが購買品と同等の扱いになり、その発送が遅延することで新たなクレームを呼び寄せることになるかもしれない。
菅義偉官房長官は、ふるさと納税拡充(個人住民税の税額控除の上限引き上げ)を検討する(2014年7月5日 日経新聞「ふるさと納税拡充 官房長官『控除額の上限倍に』」との発言をされたようだが、今のような歪な自治体のふるさと納税の特産品供給合戦が続けば、この制度も航空会社などのマイレージポイントの大盤振る舞いと同様の運命を辿ることになるだろう。
それまでの間、私としては制度を利用しつつ美味しい思いをしていこうと思っている。
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