週末海外脱出(越境)の勧め

この記事は約10分で読めます。

働く女性

去る14日のCNN Japanの記事に「休暇無制限の米企業増える」(英文記事:Unlimited vacation? Some workplaces offer it – September 2, 2013)というのがあり、「米人事管理協会のブルース・エリオット氏によると、無制限の休暇を認めている企業は全体の1%にすぎないが、新興企業やハイテク企業を中心に増加傾向にある。こうしたケースで従業員が実際に取る休暇は平均約3~4週間と推定され、人材確保、勤労意欲や生産性の向上、離職率低減などの効果が期待できるという。」などと書かれていた。

同じような趣旨の記事は、2012年8月28日の「休暇を取れば労働生産性も上がり長生きもできる?」でも紹介しているが、逆に考えれば、アメリカのビジネスマンも多くの人が思うように休暇を取れていないのではないかという気もする。

もっとも、日本人サラリーマンの休暇取得率の低さは世界的にも有名ではないかと思える節があるのだが、そうかといって、日本の社会全体が変革されるのを待っていては、いつまでたっても自分の楽しみを味わうことなど不可能なので、自分の意識と行動を変えるようにすればいいと思う。

そこでお勧めなのが、旅行作家の吉田友和氏の著書「仕事が忙しいあなたのための週末海外!サンデートラベラーの旅行&仕事術」だ。
彼のやっている週末海外脱出は私も実践しているので、弊サイトの旅行記をご覧いただいている方は特に目新しいものではないのだが、ここで強調したのは彼の主張している「会社で旅キャラを目指すべし!」というものだ。

この「会社で旅キャラを目指すべし!」というのは、私も実践しているからよく理解できるのだが、冠婚葬祭と病気以外で休むなんて!と言っているサラリーマン諸氏は是非ともやってもらいたいことの一つだ。

もちろん、休暇を取ったからといって旅先を海外にしないといけないわけではないが、国内旅行だと休暇を取らないといけない、という切迫感が生まれないので、あえて海外を目指せと言いたいのだ。

それに、日程をフレキシブルにするためには個人旅行、つまり、最低限の旅行会話くらいできた方がいい。
これからの時代、英語を始めとする外国語を学びたいと言う動機づけをする意味でも目的地は海外にすべきだ。

ところで、吉田氏も有給休暇の申請に際して、最初は上司にすんなりと承認されるかな、と思いながらやったと書いているので、要は最初の第一歩を踏み出せるかどうかなのだ。

また、彼の言う「同僚や上司の目を気にして、休むのをガマンするなんてナンセンスだと僕は思っている。」という意見には私も賛成で、そんなことをしていると、心身ともに衰えが見えたときに自分の人生を後悔することになるだろう。

それに、「少子化も人口減も止まらない理由」でも書いたことなのだが、職場全体で休暇取得を牽制するような雰囲気があると、子持ちの女性が働きづらいということにも繋がることになる。

もし、就職活動している学生が、ブラック企業というババを引きたくないと思ったら、子持ちの女性がどの程度働いているか聞くといいかもしれない。
この吉田氏の本の発売日は2007年7月1日、要はリーマンショック前なので、今とは経済状況も大きく違うだろうし、企業を取り巻く環境もガラリと変わっているところも多いだろう。

しかしながら、吉田氏はその後もサンデートラベラー(週末海外脱出)を続け、本も続々と出しているのだから、やろうと思えばできる人も多いに違いない。
つまり、本人が仕事環境を変えるためにいかに尽力するかという視点も見逃せないと思う。

そういった意味で、私も実践している「仕事を要領よくこなして、後顧の憂いなく旅へ」のコラムは大いに参考になるだろう。

逆に、昭和型の会社ムラ、役所ムラへの同化教育を通じて行われる組織への忠誠の儀式(休暇を取らず、サービス残業をしてまで働き続けること)を強要する「会社人間ドラキュラ(社畜)」の連鎖に組み込まれたら、グローバル時代においては、Chikirinさんの「『生産性の概念の欠如』がたぶんもっとも深刻」や、城繁幸氏の「ホワイトカラーの生産性が低い理由」などで酷評されているような、ダメリーマンになり下がるリスクも大いにある。

人生は一度きりしかないのだし、それをどう生きるかも貴方次第なのだ。

****************************************

仕事が忙しいあなたのための週末海外!サンデートラベラーの旅行&仕事術

■行こうと思えばいつでも行ける!週末アジア旅のススメ

週末にアジアヘ-旅行好きサラリーマンならば誰しもが考えるであろう、ゴールデンプランのひとつだと思う。
たいていの会社は、土曜と日曜が休日だ。
だから必然的に旅行をするのは週末ということになってくる。

ただ、国内ならまだしも、土日の2日間だけで海外へ行くのはやはり無理がある。
そこで、金曜か月曜に有給を取って、3連休を捻出しようというわけだ。

実際、週末プラス有給1日の、2泊3日で海外へ行くという人は少なくないだろう。
そして、その際の目的地は、多くの場合アジアになると思う。
アジア以外の、たとえば北米やヨーロッパヘ2泊3日で行くのは、無理ではないが、ほとんど移動だけで終わってしまう可能性が高い。

逆に言えば、アジアであれば2泊3日でもそれなりに楽しめるのだ。
金額的にアジア旅行がお得ということもある。
往復の飛行機と、現地での宿泊費がセットになったパックツアーを見てみると、韓国や台湾など近場で安いものなら3~5万円という破格の値段で売られていたりする。

また、そういったツアーで2泊3日のものというのは、基本的にアジア旅行で、あとはグアムぐらいしかない。
つまり、週末海外旅行をするなら、ここでもやはりアジアが最有力候補となってくるのだ。

次にフライト時間に注目してみよう。
東京発で見てみると、ソウルヘは2時間半程度。
いっぽう東京から沖縄へもだいたい2時間半、新幹線で東京から大阪へ行くのも同じく2時間半程度だ。

国際線の場合には、空港でのチェックインなどに時間が多少かかるが、ソウルは国内旅行をするのとたいして変わらない感覚で行くことができると言えるだろう。
もう少し遠いところだと、台北へは3時間半、香港へは4時間半、バンコクヘは6時間となっている。

国内旅行よりは若干時間がかかるが、いずれの都市に行くにも、午前中の便で出発すれば、お昼にはもう異国の地に足を踏み入れていることになる。
意外なほどにお手軽に海外へ行けちゃうのだ。

そう、金額的にも時間的にも、週末ぶらりアジア旅行はオススメ度がかなり高い。
仕事に追われる日々でたまったストレスをいやすには、アジアのゆるりとした時間の流れに身を置くのも悪くないと思うのだ。
いや悪くないどころか、むしろ最高だ!

アジアなら行こうと思えばいつだって行ける。
金曜か月曜のどちらか、たった1日だ休めば、あのとろりとしたアジアの空気に触れることができる。
そのことに気がついたとき、僕はずいぶんと救われた気がした。

■サンデートラベラーになるには会社で旅キャラを目指すべし!

意外とお手軽な週末アジア旅行だけれど、最低でも金曜か月曜を休む必要があるのも確かだ。
”なんでもない平日”にしばしば有給休暇を取るには、いかに要領よく”休みやすい職場環境”を構築していくかが肝になってくる。

多少図々しいぐらいでないと、思うように旅の時間を捻出することはできないかもしれない。
実はこのことについて、僕は思うところがある。

やや精神論になってしまうのだが、「旅キャラとしての自分の存在を会社で確立したモノ勝ち」だと思うのだ。
確かに会社によって休みやすい職場とそうでないところがあるだろう。

たとえ仕事に余裕があっても、周りが休まない人ばかりだと、雰囲気的になかなか休みにくかったりするものだ。僕の職場も、どちらかというと休みにくい職場だった。

けれど、同僚や上司の目を気にして、休むのをガマンするなんてナンセンスだと僕は思っている。
もちろん、休んだことで仕事に大きな支障をきたす場合は仕方ないし、きちんと自分の仕事を回して、それなりの成果を上げたうえで主張しないことには、ただのわがままな社員にしか思われないだろう。

最低限やるべき仕事はしている、これはそういう前提があっての話だ。
サンデートラベラーとして、頻繁に旅行をするためには、ほかの人より会社を休む回数が多くなるかもしれない。

そのためには、まずは会社を休む理由が旅行であるということを、周囲の人に理解してもらう必要があるだろう。
特にあまり旅行をしないような人だと、会社を休んで旅行に行くという感覚自体をわかってもらえないかもしれない。

最初のうちは理解されなくても、頻繁に旅行へ行くことを繰り返していると、同僚たちの反応は確実に変わってくる。
まずは、自分はそういうやつだということをアピールするのだ。
「あの人はしょっちゅう旅行ばっかりしている」
周りの人にそういうキャラだと思われたら、がぜん会社を休みやすくなる。

傍から見れば不良会社員として見られているのかもしれないが、不良会社員の特権として好きに旅行ができるのであれば、僕はそんなことはまったく気にしない。
むしろ光栄であるとさえ思っている。

そんな僕に影響されたかどうかは知らないが、最近我が職場の環境はいい方向に変わってきている。
これまで旅に全然興味のなかった人も、いまでは、「今度はどこへ行くの?おみやげ楽しみにしているよ」なんて具合に、声をかけてくれるし、旅行へ出かける人が以前より着実に増えてきた。

■仕事を要領よくこなして、後顧の憂いなく旅へ

旅に行くために会社を休んだら、その分仕事にしわ寄せが生じてしまうのも事実。
だから、旅時間をコンスタントに捻出するためには、それなりに要領よく仕事もこなしていかなければならないのは間違いないだろう。

サラリーマンとしての忙しい日々を送りながらも、それでも旅を続ける世の中のサンデートラベラーたちの多くは、時間を工面するために惜しみない努力を重ねているはずだ。

僕の場合、いざ旅に行くことを決めると、仕事を進める速度がガクンと上がる。
といっても、そもそもの自分の能力がスーパーマンのようにいきなり上がるなんてことはあり得ないから、たとえばメールを書いたりとか、企画書を作成したりするスピード自体が上がるわけではない。

個々のミッションをこなす速度は変わらないけれど、最終的に仕事が片付くまでの時間は確実に短くなるのだ。
これは単なるやる気の問題だけではない。

自分なりにいちおう秘訣というか、心がけていることがいくつかあるのだ。
そのひとつが、仕事の優先順位の付け方。
やらなければならない仕事が複数ある場合、最終的に最短ですべてが片付くような段取りを知恵をふり絞って考えるようにしている。

そんなことかと思うかもしれないが、旅に行くためにはこちらも必死なのである。
旅の出発日はずらせないから、それまでになんとしても仕事を片付けなければならないのだ。

特に自分1人では完結しない仕事がある場合には、それをとにかく最優先するようにしている。
たとえばこういうことだ。
期日は決まっていないが、企画書を作ってそれを上司に見せなければならないとしよう。

急ぎの仕事でないならついつい後回しにしがちだが、僕は真っ先にこの手の仕事から片付ける。
ほかに〆切が迫っているミッションがあったとしても、それが自分1人で完結する内容であるならば、最悪自分だけが残業しまくれば終えられるのだ。

上司に見せなければならない企画書はそうはいかない。
上司だって忙しいから、企画書を提出してもすぐに見てくれるわけではないし、「旅行へ行くので早く見てください」なんて身勝手なことを言うわけにもいかないだろう。
上司に限らず、チーム単位で進めている企画なんかも同様で、とにかく他人がからむ仕事は最優先するにこしたことはないと思う。

仕事に関する話題のついでに、もうひとつ。
これは旅行とは直接関係ないかもしれないが、常々思っていることなので、この際触れておきたい。

先日友人と飲みの約束をしていた。約束の時間に待ち合わせ場所へ行くと、彼の姿はない。
やがて携帯電話に「仕事が終わらなくて少し遅れる。先に店行ってて。すまん!」というメールが入った。
「またか」と僕は思った。
実はこの友人はいつもこんな感じで遅れてくるのだ。

あまりにも毎回遅刻してくるので、彼に問いただしてみた。
「いや実はうちの職場、帰りにくいんだよね。上司はもちろん、ほかの人もみんな遅くまで残ってるし。別にやらなきやいけない仕事があるわけじゃないんだけど。なんというか、雰囲気的に自分1人だけ帰りづらいというか・・・」

なるほど、と思った。
うちの会社にも、まさにそんな人たちがたくさんいるのである。
確かにみんながみんな居残っている中、自分だけ帰るのは恐縮してしまう気持ちはわからないでもない。

けれど、周りの人たちに合わせて、帰りたいのに帰らないというのは絶対にオカシイし、あまりにも無意味だと思う。
たとえ自分以外の全員が残業をしていたとしても、やるべき仕事が終わったのなら僕は問答無用でさっさと帰るようにしている。

海外を旅して、世界にはさまざまな価値観があるということを知ってしまうと、日本人は周りの目を気にし過ぎるのではないかと思うことがときどきある。
それは必ずしも悪いことではないけれど、気を遣いすぎると損をするのだ。
だから僕は他人の目はあまり気にしない。
サンデートラベラーを実践していると、神経が図太くなってくるのである。

*************************************

コメント

  1. わたしも今の会社では旅キャラだよん♪
    春に台湾、夏に東北、秋に10日間くらい海外へ行くというパターンで3年。
    今では、今年はどこ行くの?と上司たちに聞かれます。^^

  2. カルロス より:

    >わたしも今の会社では旅キャラだよん
    おお、素敵なことではないですか。
    年末は自宅(実家?)で年越しでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました