「ふるさと納税」とは、新たに税を納めるものではなく、ふるさと(自分が貢献したいと思う都道府県・市区町村)への寄附金のことで、個人が2,000円を超える寄附を行った年の翌年に確定申告をすると、住民税と所得税から一定の控除を受けることができる制度だ。
寄附先の「ふるさと」に定義はなく、出身地以外でも「お世話になったふるさと」や「これから応援したいふるさと」など、各自が想う「ふるさと」を自由に選ぶことができる。
極端な場合、自分が住んでいる市区町村にあえて寄附をするということも可能だ。
そして、この「ふるさと納税」を行った場合の控除額は、2,000円(所得税・個人住民税ともに同額)を超える部分について、通常の所得税や住民税の寄附金控除のほか、住民税所得割額の10%を上限として、住民税の特例控除が行われるとある。
具体的には、ふるさと納税応援サイトの税金控除額シミュレーターを使えば、より分かりやすいだろう。
但し、平成23年(2011年)1月1日以後の寄附について、寄附金控除の適用下限額が5,000円から2,000円に引き下げられたため、若干計算が違ってくるので注意が必要だ。
この「ふるさと納税」は、純粋に自分の好みの自治体に寄附を行うのが本来の趣旨なのだが、寄附先の自治体によっては特産品をお礼に貰えるところもあって、株主優待よりも確実に特産品をゲットする方法として秘かに人気を集めている。
私が目に留めた記事は、2012年12月14日付のザイ・オンライン、「今、『ふるさと納税』が熱い!株主優待よりお得でノーリスクな税金の活用法」というものだ。
これは、ミセス・ワタナベ(日本の個人投資家)ならずとも日本人が最高度に望むノーリスク・ミドルリターンの方法だ。
寄附をする側から見れば、確定申告による寄附金控除分と、宅配便代が相手負担ということを考慮すると、実質無料で特産品をゲットできる夢のような話だが、特産品を送る側からすれば、そこまでして一般財源(自治体の自由裁量で使える金)を集めないとならないのか、ということにもなる。
いずれにせよ、現行では「ふるさとチョイス」や「ふるさと納税 特産品 情報局」にあるように、一つの自治体あたり10,000円程度の寄附をすると、特産品を送ってくれるところが多い。
自分の所得にもよるが、年収が500万円程度のサラリーマンなら、3ヵ所くらいまで実質無料で特産品をゲットできるのではなかろうか。
私は今回、山形県新庄市に寄附を送り、お礼として山形牛を貰うことができた。
ゴールデンウイーク前に送金して、今日自宅に品物が送られてきたので、約1ヶ月といったところか。
もっとも秋に収穫される米などは、新米が出る頃を見計らって寄附を送った方がいいと思うが(笑)、それ以外のものは原則としていつでも大丈夫だろう。
サラリーマンの場合、確定申告をする機会は滅多にない、という人も多いだろうが、こういったことを通じて税金の申告をしてみることが納税意識を高める上でもいいことではなかろうか。
ところで、こういう記事を読んで「私も」と飛びついた専業主婦や年金受給者の方は要注意だ。
自分自身に税金がかかるような収入がなければ、寄附額に応じてお礼の品は送ってもらえるが、実質無料で特産品をゲットするということにはならない。
自分自身が非課税あるいは、それに近いのに、美味しい話があると少しでも思った方は、還付金詐欺の格好のターゲットであると認識すべきである。
日頃のニュースを見て、「何で還付金詐欺みたいなものに引っかかるのかしら」と思っている方、そう言っている自分自身が心の中で「ノーリスクで何か美味しい話はないのかしら」と思った瞬間に魔手は伸びるのである。
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