日本の財政危機は今年度(2012年度)中にやってくるのか

この記事は約4分で読めます。

レッドカードを出す女性

政府・民主党と自民・公明両党の政争(国会議員のお遊び)の度が過ぎて今年度は「平成24年度における公債の発行の特例に関する法律案(旧称)/財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案」が7月31日に衆議院を通過したまま宙に浮いている。

国会は先月8日に第180回国会(常会)が閉会となったまま、与野党の政争が続いて臨時国会がいつ開かれるのかさえ決まっていない。

政府・与党が臨時国会を開こうとしないのであれば、野党が日本国憲法第53条、国会法第3条の規定に従って、衆参両院のいずれかで総議員の4分の1以上が賛成すれば、臨時国会を召集させるように内閣(首相)に要求できるものを、それをやろうとすらせず、マスコミはそれを指摘すらしない。

私に言わせれば、特例公債法案の重要性がわかっていない今の国会議員やそれを傍観しているマスコミは異常である。
このまま彼らのお遊びが続くと、12月以降は歳入に大きな穴が開いて行政経費が賄えない非常事態となると言われている。

仮にその責任を取って、国会議員を始めとする全公務員の報酬を数ヶ月間ゼロにしたところで、とうてい賄えない額であり、政府機能の停止は避けられない状況だ。

もしかすると、国会議員もマスコミも最後は財務省が奥の手を捻り出すとでも思っているのか、この法案が宙に浮いていることに怖ろしく冷静である。
それとも膨れ上がる国債残高を見て、いっそのこと法案審議を止めて官公庁の役人に、国債は打ち出の小槌でないことを認識させようということなのか。

それなら一種のショック療法としての価値もあると思うが、自分たちの歳費などを平然と貰い続けている国会議員を見ていると、どう見てもそんな高尚なことを考えているようには見えない。

そもそも日本の歴代政府は、時として法律の本旨を捻じ曲げて特例を作り、それが緊急避難的でなく恒久的に続けていることが多すぎるような気がする。

財政法第4条では、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」となっているが、財政法の本来の趣旨から言えば、赤字の穴埋めのための国債は発行できないことになっている。

それを特例法を作って出せるようにしているわけで、本当に赤字国債法案が特例だったのは1965年(昭和40年)だけで、1975年(昭和50年)以降は毎年(1990年から1993年は除く)法案が出され、今や赤字国債なしでは財政運営ができないようになっている。

そのような中で財務省は、今年の国会のドタバタ劇を見るにつけ、法案の名称を「平成24年度における公債の発行の特例に関する法律案」から「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案」に変え、条文の一部を変更するだけで今後も対応できるよう「特例」という名の恒久法案化をすることに決定したようだ。

しかし、今や数年以内に日本の財政破綻がある、ということが公然と言われるほど日本の財政赤字は酷い状況で、いつまで財務省が意図する延命治療が持つのだろうか。

現在は財務省が主導する国債市場特別参加者制度によって国債の円滑な消化がされているが、原資となる家計貯蓄が下落している状況において、それがいつまで続くか、ということが市場では懸念されている。

日本の財政破綻の引き金になると言われる国債の未達(国債の入札において、募集総額に応札総額が達しない状況、単純に言えば国債が売れ残ること)と、国債の売り出しができずに、歳入に大きな穴が開きかねない状況とは大きく異なるが、政府機能が停止するリスクについては同じであろう。

昨年の4月9日付のロイターは「米予算協議が合意、政府機関の閉鎖は大詰めで回避へ」として米国政府の機能停止リスクについて世界が注視する事態になったが、今のところ日本政府の機能停止リスクについては国内ですら大きな騒ぎになっていない。

しかし、市場関係者の間では、11月末までに特例公債法案が成立しなければ、12月入札予定の国債の一部を売り出すことができない可能性があるため、海外投資家が日本の国債発行に支障が出ることに対して懸念しかねない、と言われている。

ところで、貴方には2011年11月9日に米国市場に上場された日本国債ベアETNの不気味な足音が聞えていないだろうか。(2012年9月12日-日本国債ベアETNは究極の日本国財政破綻対策

コメント

  1. 風じ より:

    こんばんは
    今回は特例法案通さないでしょうか?
    それとも、一票の格差是正と同時に通して、来年早々解散と言う、”口約束”してから、格差是正で選挙準備に手間がかかるので夏まで延ばすと言う、3回目の騙しで行くか。
    私としても、予算ショートするのを見てみたい気がするのですが、いけませんかね。

  2. カルロス より:

    >私としても、予算ショートするのを見てみたい気がするのですが、いけませんかね。
    これは1990年代にやっておくべきだったですね。
    北欧諸国が政府に警告したような形で
    今やったらそれこそマズイかも

タイトルとURLをコピーしました