フェイスブック株(FB)はグーグル株(GOOG)のようになれるか

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Facebookのイメージ

2004年8月19日にナスダックに上場したグーグル(GOOG)、初値はちょうどUS$100(当時の為替レートで約11,000円)だった。

もちろん、このときは米国に証券口座(TD Ameritrade)を持っていたので、これを買おうと思えば買えたのだが、何せ買い付け余力が10株程度分しかなく、しかも当時は世界的(もちろん日本も)に相場が上昇し始めたとき、上がり始めた持ち株を売ってまでグーグルに乗り換えようとは思わなかったので、そのまま見過ごした思い出がある。

当のグーグル株は2007年11月7日、世界株高の頂点に達したときにUS$747.24(当時の為替レートで約85,000円)の最高値を付け、その後はリーマンショックの波に揉まれるなどして下落しているが、昨日の段階でもUS$609.09(約46,000円)の値が付いている。

ところで、去る1日に新規株式公開(IPO)に向けた申請書類を米証券取引委員会(SEC)に提出したフェイスブック(FB)、すでにティッカーシンボル(銘柄コード)も決まり、上場は今年の夏頃と言われているが、果たしてフェイスブック株は個人投資家に利益をもたらしてくれるのだろうか。(フェイスブックが50億ドルのIPO申請、米IT企業で過去最大

収入源が主に右サイドバーに表示される広告であることと、上場前から白熱していることから投資妙味はあまりないという人も多い。

仮に上場初日の初値でグーグルを凌ぐような高値が付いたとしたら、今は2004年のときと違って世界市場がそれぞれのリスクを抱えていることを考慮すると確かに妙味は少ない。

しかし、フェイスブックには大きな強みがある。
それは、昨年12月4日のコラム「多国語(multilingual)対応のホテル予約サイトはお薦めです」で書いたようにフェイスブックも多国語サイトであるということだ。

私は海外旅行記を掲載するとき、宿泊したホテルが独自のウェブサイトを持っているときは、それにリンクを貼るとともに、ホテル予約サイトも紹介してきた。

その経験から言うと、数年前までは主要各国のホテルを予約するには英語サイトが主流だったのに対し、今や大きなシェアを持っているのは他国語サイトのagoda.jpBooking.comの2つ、これらを傘下に持つPriceline.com(PCLN)の株価チャートを見れば、これからは多国語対応の企業が世界の覇者になり得ることをまざまざと見せつけてくれる。

およそ1年半前、楽天(4755)とユニクロ(ファーストリテイリング:9983)が社内の公用語を英語にすると言って経済界に波紋を広げたが、その真意は純日本企業から多国語対応の企業への転換だと私は思っている。

つまり、各国から雇われた社員は、それぞれ自国民に対するサービスを自国語で展開するが、彼らを統括する幹部同士のコミュニケーションは英語で取る、といった按配である。

そこで日本人(先進国の社員)が将来も今のような高給を貰い続けるためには国際企業の幹部としてマネージメントができないとならない、それゆえ日本の社内公用語をあえて英語とする、という論理だろう。

逆に言うならば、そうしなければ世界で覇権を握るための競争に参加できないからだ。

日本国内のSNSではフェイスブックと比較されるミクシィ(2121)の低迷の要因は広告収入の減少ということが言われているが、これこそ収益が低迷する日本企業からしか広告を得られない純日系SNSの限界であり、同様のことは日本のメディア業界にも言えるだろう。

そういった点では間違いなく世界中の企業から広告を得られるフェイスブックの方に軍配が上がると言えよう。

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フェイスブック 7兆円上場で驚くのはまだ早い (2012.2.4 日刊ゲンダイ)

何から何までケタ外れ <秘めた無限の可能性>
ソーシャル・ネットワークサービス最大手のフェイスブックが1日、米証券取引委員会に株式公開を申請した。
4~6月には上場されそうだが、この上場は何から何までケタ外れだ。

まず、上場による資金調達予定額。
50億ドル(約3800億円)で2004年に上場したグーグルの19億ドルを軽く上回り、過去最大になる。
上場後の時価総額も天文学的数字が予想されている。

米メディアは1000億ドル(約7兆6000億円)なんて数字をはじいているのだ。
「これはマクドナルドと並び、アマゾンやヒューレット・パッカードを上回る。
日本ではトヨタ自動車に次ぐ規模で、NTTドコモもかないません」(証券会社関係者)

フェイスブックは、創始者のザッカーバーグが8年前にハーバード大の学生寮で始めた小さなサイトがきっかけだ。
それがいまや、全世界で8億4500万人が利用する世界最大のSNSに成長、広告収入をメーンとする売上高は2007年の1億5300万ドルが2011年は37億1000万ドルになった。

実に24倍!これが2013年には70億ドルになるとみられている。数年で50倍である。
何だか目をこすりたくなるような数字ばかりが並ぶのだが、ことフェイスブックに関しては「もっと成長する」との見方が圧倒的だ。

ビジネスモデルが無限の可能性を秘めているうえに、ザッカーバーグは1984年生まれの27歳。
アップルのスティーブ・ジョブズのような健康不安もないからだ。

ITジャーナリストの井上トシユキ氏もこう言った。
「リスクがあるとすれば、ザッカーバーグが興味を失うことくらいでしょうか。
でも、彼は金儲けのためにビジネスをやっているのではなく、フェイスブックで人々の利便性が向上し、それで新たなビジネスが生まれればいいと本気で思っている。

ネットの可能性を追求するタイプですから、そう簡単に興味を失ったり、別の金儲けに興味が移ることはないでしょう。
フェイスブックには本当にさまざまな可能性があります。
まだ普及していない地域もあるので、今後もユーザーは増えるし、実名のSNSサイトですから、口コミ情報に高い信頼が寄せられている。

いまは情報だけが飛び交っていますが、やがてフェイスブック上で実際のネット取引ができるようになると思う。
誰かが自分の持ち物を売ったり、買ったりできるようになる。
そうなると、ますます便利になるから、皆がフェイスブックから離れられなくなる。

広告がどんどん入り、成長する。フェイスブックは既存のビジネス、ライフスタイルを大きく変えていくと思います」
この上場で驚くのはまだ早い。

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