電力不足の解消のために官公庁や企業の休日分散を

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東京ミッドタウン

このコラムの内容は、一部抜粋の上でリンクを貼り付けて経済産業省に意見として送りました。

東京電力管内における計画停電が実施されてからちょうど1週間たった。
この間、停電になる、ならない、と東京電力のアナウンスが二転三転するので、実施予定区域内では毎日やきもきしながら過ごした人も多いだろう。

鉄道各線も計画停電初日の3月14日は、ターミナル駅が初詣の時期の明治神宮か川崎大師かと思えるような様相で、かくいう私も横浜駅でその雑踏に巻き込まれ、うんざりしながら通勤したことを覚えている。

これはもはや通勤などという生易しいものでなく、苦行とも言えるもので、計画停電区域に入っていない都心のウイークリーマンションでも借りて住まなければならないと本気で思ったものだ。

これから毎日こうなのか、と思った矢先、関東地方が好天に恵まれたこともあって、15日以降、少なくとも私の利用している鉄道は普段の土・休日ダイヤ並の頻度で走り始め、今までより少し早起きをしなければならないものの、定時に出社できるようになった。

ところが、去る17日に海江田万里経済産業相が、「朝方からの冷え込みで暖房利用が増え、電力の需給が逼迫したために、同日の夕方から東京電力管内で予測不能な大規模停電発生の恐れがある。」と言ったため、再びターミナル駅は帰宅難民を恐れた多くのサラリ-マンで溢れかえった。

そして、3連休の初日と今日は幸いにして東京電力が計画停電の中止をアナウンスしたため、電車やターミナル駅は行楽客で賑わいを取り戻したかのように見えた。

Fukushima 50(福島第一原発の事故の際に、制御と復旧のために最初に残った50人前後の人たちのことを、海外のメディアが賞賛して呼んだ名:The Guardian – Fukushima 50 battle radiation risks as Japan nuclear crisis deepens)や陸上自衛隊中央即応集団(CRF)に所属する中央特殊武器防護隊(中特防)、東京消防庁のハイパーレスキュー隊などの決死の努力で福島原発のメルトダウンの危機は次第に和らいでいるかのように見えるが、この危機が回避されたとしても東京電力管内の根本的な電力不足が解消されるわけではない。

まして夏になれば、17日の冷え込み需要など問題にならないくらいの電力需要が見込まれるし、第一、自分が通勤で使っている電車の窓ガラスをよく見てみるといい。
万が一のときに、力ずくで割らなければ開けることができないところが多いのだ。

これで4月末を目処などと言っている計画停電が延長された場合(その可能性は90%以上あると思っている)、室内温度が上がり始める5月中旬以降、ラッシュ時に節電のために電車内の空調を弱めます、と言われたら、具合が悪くなる乗客が大量発生するに違いない。

まして、日本のサラリーマンはなぜかそんな事態になってもクソまじめにスーツを着てネクタイを締めて通勤しそうだからだ。
それに高層ビルのオフィス、マンション、そこで真夏に空調が止まってしまったらどうなるのか。

阿鼻叫喚、そんな言葉しか浮かばない。
もはや今の日本は夏にエアコンなしの生活ができるような状態ではないし、ここでエアコンのなかった昭和40年代以前の話を蒸し返して我慢しよう、などと言うのはあまりにもバカげている。

もし、我慢しようというなら、UAEが夏の過酷な暑さのなか屋外で働く労働者の安全を守るため、7~8月は12時30分から午後3時まで屋外労働を禁止する規則を設けているが、それに類する労働規制が必要となるだろう。

従って、現実的な対応としては、官公庁や企業の休日の分散がいいと思う。
かつて鳩山政権時代に、観光庁が観光産業振興のための祝日分散化を言い出したとき、私は試験的にやってみてはどうか、と思ったものの、世間の大方の反応は芳しいものではなかった。

私に言わせれば祝日分散化に反対した人の半数以上の理由が愚にもつかない、24時間以内に相手からレスポンスがないことがそれほど腹立たしいことなのか、日本人は本当に変わることが嫌いな人たちなのだ、とがっかりしたものだが、もはや電力危機を乗り切るためには、取引先がやっているときに休めないとか、遠隔地の友人が・・・などと言っている場合ではないだろう。

それに、ここで私が主張したいのは、祝日の分散ではなく、官公庁や企業の休日の分散なのだ。
試しに官公庁と銀行の休みを火・水の連休にしてみたらどうだろうか。

なぜ、銀行を入れるかというと来る22日から始まるATMの稼動時間制限のためだ。
次いで大規模工場を擁する事業所を木・金とするなどとすればいいだろう。

そうすることによって、多少の節電努力で夏を乗り切ることができるかもしれないし、レジャー産業や繁華街を犠牲にしなくてもよくなるだろう。
今のまま計画停電などやっていたら、レジャー産業や繁華街が、自粛・節電ムードの中、目の敵にされ続けるのは火を見るよりも明らかだ。

そこで働く人たちだって私たちと同じ生活者なのだし、彼らが被災者救済の大義名分のために犠牲になることは避けなければならないからだ。

石原東京都知事が「政令で節電強制を」と言っているが、これは混乱が収まれば元に戻るという希望を持てる時なら有効かもしれないが、今の状態はそうではないだろう。

要は、この先もずっと電力供給不安が続くようだと、移転可能な企業から続々と東京を離れることになるということだ。
IT時代の先端企業は事業所が日本になくともいいと思っているわけだから昭和時代のオイルショックのときの事例などほとんど役にも立たないのだ。

今、福島原発の放射能漏れの不安から在日外国人の帰国ラッシュが続いている(夕刊フジ-外国人“脱出パニック”本国後押し・・・最後のピザ職人も逃げた!)ようだが(再入国許可手続きのため、品川の東京入国管理局行きのバスにピストン輸送でも追いつかないほど外国人が殺到しているのは事実だ)、この先、電力不安から在京企業までが海外へ行かれてしまったら、どうなるか考えてみるといいだろう。

今回の国難から一刻も早い日本復興を、とは誰しも思っていることだろうが、失われた20年の中で海外脱出の機会を窺っていた人たちにとっては決断の引き金になったのも事実なのである。(日本ビジネスプレス-日本を見限る日本人、大量のパスポート申請 地震と津波のせいなのか、福島第一の原発事故

無人の店舗外ATM、相次ぎ「節電休止」 (2011.3.18 J-CAST News)

銀行がATMコーナーの稼働時間を相次いで見直している。
有人店舗の営業時間を短縮、また無人の店舗外ATMコーナーの稼働を一時休止している。
東北関東大震災に伴い、東京電力が実施する計画停電や政府の節電対策の呼びかけに応じた。

無人の店舗外ATMについては、停電などによってATMの操作中に稼働停止になっても対応に時間がかかるなど、稼働することがかえってトラブルのもとになることもある。
三井住友銀行は2011年3月22日から、首都圏を中心とする店舗外ATMを終日休止するほか、有人店舗のATMの稼働時間を9時~18時(毎月25、26日、週末前後の利用の多い日は通常通り)とする。

りそなホールディングスは傘下のりそな銀行の関東エリアと埼玉りそな銀行の店舗外ATMを3月22日から終日休止する。
ただ、東京都内10か所の「りそな」と、埼玉りそなの大宮駅前や浦和駅前、長瀞町役場など利便性や利用率の高い37か所は稼働する。

また、有人店舗の稼働は3月28日から、9時~18時となる。
三菱東京UFJ銀行は「検討中」としている。
地方銀行では、横浜銀行と千葉銀行が3月18日から、有人店舗のATMの稼働時間を9時~18時に。店舗外ATMは終日休止した。
埼玉県の武蔵野銀行も県内の店舗外ATMのうち、自家発電設備を備えた4か所を除き稼働を休止。

群馬銀行は218か所ある店舗外ATMのうち、病院などの緊急性が高い場所にある23か所を除いて休止している。
なお、被災地にあたる茨城県に本店を置く常陽銀行は、水戸市役所支店、大津支店(北茨城市)、福島県いわき市の植田支店のATMが18日16時30分現在、停止している。

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「節電に強制力必要」石原都知事、政府に政令告示を要望 (2011.3.18 産経新聞)

東京電力が実施している「計画停電」について、東京都の石原慎太郎知事は18日、海江田万里経済産業相に電気事業法の政令による電力使用制限などを求める緊急要望を提出した。
石原知事は同日の定例会見でも、「強制力をもってネオンサインを禁止するなどメリハリのある、合理的な電力制限を」と述べ、政府自らが乗り出すべきだと強調した。

緊急要望では、計画停電について、

  1. 鉄道、病院などの機能維持に影響を及ぼす
  2. 経済活動に停電時間以上の過大な負荷を与える
  3. 地域的な不公平が生じている

などの問題点を挙げ、大規模施設への計画的な使用制限や、ネオンサインの使用禁止などの規制を可能にする電気事業法の政令告示を求めた。

また、現在の状況に適応した新たな政令の制定も要求した。
石原知事は、昭和48年のオイルショック時にも電気事業法に基づく電気の利用規制が行われたと説明。「(節電は)関東一円の電力消費が多い都市が協力しないと効果がない。

政府の責任で節電を徹底するためにも政令をもう1回告示し直せばよい」と語った。

また、日本プロ野球組織(NPB)がセ・リーグの開幕を25日と決め、ナイターでの試合となることについて、「節電で困っている人もおり、電気つけて応援でもない。やるなら日中にやるべきだ」と苦言を呈した。

会見に先立ち都庁内で開催された東日本大震災の対策を協議する会議で、石原知事は「東京が失われると日本そのものが失われることになりかねない。きめ細かい努力をして防災都市のパターンを作らないといけない」と災害対策強化を改めて指示するとともに、「被災地の復旧復興の先頭に立つ気概で全面的に協力する」と述べた。

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東日本大震災:計画停電 「大停電」薄氷の回避 東電管内、列車間引き 対策強化検討 (2011.3.18 毎日新聞)

海江田万里経済産業相は17日、緊急会見し、同日夕から東京電力管内で「予測不能な大規模停電発生の恐れがある」ことを明らかにした。
朝からの冷え込みで暖房利用が増えた上、帰宅ラッシュで列車本数の増える夕方以降、電力需要が供給を上回る見通しとなったため。
この日は列車の間引き運転などで大規模停電は回避したが、需給逼迫(ひっぱく)のリスクに直面したことを受け、東電は計画停電強化の検討に入った。【増田博樹、宮崎泰宏、石原聖】

東電は同日午前7時から、地域ごとに五つに分けたグループへの電力供給を順番で止める計画停電を開始。
寒さの影響で、午前9~10時の平均需要は3330万キロワットと、供給能力の3350万キロワットの99.4%に迫り、14日からの計画停電で初めて、対象地域全1440万世帯の電気を止めた。

午前中に停電した計599万世帯については夕方にも、同日2回目の停電を実施。停電世帯は延べ1820万世帯に達した。
それでも午後6~7時のピーク時、4000万キロワット超の需要が見込まれたことから、海江田氏は会見で、大規模停電の可能性に言及しながら「電力消費を自粛してほしい」と呼びかけた。

これを受け、鉄道各社が17日夕の帰宅ラッシュ時、列車の運行本数を減らすなど、大口需要者らによる節電の動きが広がり「夕方の需要を、供給より少ない3050万キロワットに抑えられた」(東電の藤本孝副社長)。

だが、東電は18日も、夕方の需要が4000万キロワットと、供給能力(3400万キロワット)を上回ると予想している。
藤本副社長は17日の会見で、▽停電時間(現行最大3時間)の延長▽夕方の需要ピーク時の同時停電グループ数を、現在の2組から3組に増やす--などの計画停電強化策を検討する意向を示した。

東電によると、電力需要が供給能力を上回った場合、一定地域ごとに停電させることで対応する。藤本副社長は「(東電管内が一度に)全部停電することは絶対ない」と語った。

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14日から計画停電 菅首相が了承 国民にも電気機器使用控えるよう要請 (2011.3.13 産経新聞)

菅直人首相は13日の記者会見で、東日本大震災を受けた電力不足に対応し、「東京電力が14日から計画停電(輪番停電)を実施することを了承した」と表明した。
東京電力の計画停電は、1都8県で、地域ごとに交代で電気を止める。
東電が計画停電を実施するのは初めて。4月末まで実施される見通し。

震災では、産地の被災や物流の混乱によって食品、飲料、ガソリンなどが被災地だけでなく全国的に入手しにくくなっている。
企業の生産停止も拡大。計画停電によって、生活や企業活動への影響がさらに大きくなる。
計画停電は、東北電力も15日以降の実施を検討している。

東日本の深刻な電力不足が浮き彫りとなった。
海江田万里経済産業相は同日、電力不足について「異常事態に直面する可能性が高い」と指摘。産業界に対し、業務用の暖房、照明や夜間のネオン自粛、国民にも不要不急の電気機器の使用を控えるよう協力を要請した。

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