インターネットの普及によって、今や海外との取引においても、クレジットカードやPaypalなどの電子決済が一般的になっているため、ほとんどの人は海外送金をすることはないだろう。ところが、海外の金融機関に口座を持っている場合や、外国から出稼ぎに来ている人にとっては海外送金というのは必須となる。
今まで国内の銀行から送金するときの手数料が高いというので、どうやったら安く送金できるかというのは、海外投資の掲示板では年中行事的に投稿があった。
もっとも送金手数料がcitibankの4,000円(口座保有者が送金先登録すれば2,500円)程度であれば、年1回、100万円単位の送金をするだけなら、それほど気にならない金額だろうが、サラリーマンが10万円単位の送金をする場合は、ちょっと高いなと思える金額でもある。
そういった点で一番有利だとされているのが、最寄りの銀行のATM又はインターネットバンキングから円資金を「Goロイズ」専用口座に振り込むだけで送金が完了するロイズTSB銀行の海外送金サービス(送金額にかかわらず2,000円+海外手数料)だ。
ところが、2010年4月1日から「資金決済に関する法律」というのが施行され、1回当たり100万円以下の送金に関しては銀行以外の業者を通じても海外へ送金することができるようになった。(金融庁関係パンフレット-新たな資金決済サービス)
朝日新聞に紹介されていたのは、MoneyGramと提携したSBIレミット、ウェスタンユニオン、マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション、楽天銀行(法人ビジネス口座保有者のみ)、三井住友銀行にウェスタンユニオンとの提携を発表したセブン銀行である。
この中で10万円以下の少額送金に限って言えば、ウェスタンユニオンは3,000円、SBIレミットは1,480円か2,480円となり、海外手数料を加算した場合のロイズTSB銀行の送金手数料より安価になる。
特に、SBIレミットの3万円以下の送金手数料880円(特定国の場合)、ウェスタンユニオンの1万円以下の送金手数料990円というのは、海外個人輸入に際しての決済手段の選択肢が広がったと言えるだろう。
もっとも私のように、海外投資用資金を送るとなると、どうしても邦貨換算で10万円を超えることが多いだろうから、そういう点では定額であるロイズTSB銀行に軍配が上がるだろう。
ちなみに、三井住友銀行は、私に言わせれば論外というレベル、何しろ手数料が窓口より500円安いと言っても3,500円かかるし、コルレス銀行(Correspondent Bank=外国に送金するにあたり、その通貨の中継地点となる銀行)手数料が2,500円、リフティングチャージ(Lifting Charge)が最低2,500円、合計すると最低8,500円になるからだ。
これで外資やネット専業銀行に対抗しようというのはどうなのか、と思うが、彼らは企業間取引がメインで、個人顧客はITに疎い人を除けば邦銀から海外送金などしようとは思わないから問題ないのだろう。
ところで、このような高額手数料を得てきた邦銀の牙城を崩すような法律が制定されたのはなぜか。
「国民の生活が第一」と叫んで2009年9月に政権を握った民主党が率先してやったことならどれほど国民は救われるだろうか。
私は海外旅行の際はもちろん国内でも見かけるウェスタンユニオンが米系企業であることに着目した。
関岡英之氏の著書「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」で一躍有名になった「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書(USTR – Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)」、その2008年10月15日のものに、IT関連の金融改革(IT-Related Financial Reform)として、「電子的決済の領域において、銀行以外の異業種による決済サービスの提供を促進する。民間部門と関連省庁間でのコミュニケーションや連携を確保する。(Facilitate alternative non-bank payment services in the area of electronic payments; ensure communication and collaboration between relevant ministries and private sector.)」とある。
おそらく、一連の施策はこれに基づいて行われたのであろう。
そうでなければ日本政府が国債を買ってくださる最大のお得意様である邦銀の権益を侵すような法律を制定するわけがないからだ。
まさに日本の実質的地位はアメリカ合衆国日本行政特別区(The goverment of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)と言えるだろう。
そして、米国政府要望書は2009年と2010年、要するに日本で民主党が政権の座にある時期には出されていない。(2009年分は原文では作成されているが、Recommendations(勧告)はされていない)
そう考えると、民主党で実権を握る小沢一郎氏を濡れ衣とも言える罪を着せて政界から葬り去ろうとしているのは米国政府なのかもしれない、ということが信憑性を帯びるのもわかる気がする。
送金業大手、国内に続々-安い手数料と時短で勝負 (2011.2.13 朝日新聞経済面)
世界大手の送金業者が相次いで日本に参入している。銀行以外にも送金業を認める資金決済法が昨春、施行されたためだ。規制に守られてきた日本の送金市場が急速に変わり始めた。
1月末の土曜日午後、東京・新宿にある国際送金大手、米ウェスタンユニオンの窓口には外国人がひっきりなしに訪れていた。目的は仕送りの受け取りや母国への送金。
日本語学校に通うカメルーン人のコンスタンスさん(20)は生活費を切り詰め、兄弟の学費2万円を送った。「ここなら安く、すぐに送れるから」
ウェスタンユニオンは200以上の国・地域で展開する世界最大級の送金業者。資金決済法が施行されるとすぐに金融庁に申請、日本に参入した。英大手の両替業者トラベレックスと提携し、6都府県の窓口で送金を受け付ける。
1回の送金が10万円以下であれば、手数料は990~3千円と一般的な邦銀の2~6割程度。送金にかかる時間は数分間で、最短でも数日とされる邦銀との差は歴然だ。
旧東京三菱銀行出身の枋迫篤昌(とちさこあつまさ)氏が米国で設立したマイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーションも、今春までに日本でサービスを始める予定。ターゲットは外国人労働者だ。携帯電話で送金できるよう通信会社との提携も模索している。
外資参入の背景には、邦銀の海外送金サービスの使い勝手が悪いとの指摘がある。
邦銀経由の海外送金は、相手国の金融機関に支払いを代行してもらうため、手数料が二重にかかるのが普通だ。金融庁によると、安全性を重視した決済システムもコスト高の一因。法の規制に守られ「送金業務の効率化が遅れていた」 (大手行関係者)との見方もある。
外資を迎え撃つ国内金融機関は提携組と、対抗組にはっきり分かれる。ネット専業の楽天銀行は1月、トラベレックスと組んで海外と取引する企業向けに送金サービスを開始。邦銀では最多レベルの67通貨を扱い、手数料も大手行の半額以下という。
全国に約1万5千台以上の現金自動出入機(ATM)を持つセブン銀行はウエスタンユニオンと捷携し、ATMから海外送金できるサービスを今夏始める予定だ。
対抗姿勢を見せるのは全国に店舗網を持つ大手行。三井住友銀行は昨年11月、海外送金が24時間でき、手数料が窓口より500円安いインターネットサービスを始めた。(津阪直樹)
■資金決済法
銀行なとに限定していた国内外の少額の送金業務を他業種にも認めることや、電子マネーの利用者保護の強化などを規定。昨年4月に施行された。送金ができる資金移動業者として登録されるには、一定の資産の保有や不法送金を防ぐための体制整備などが条件となる。
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コメント
SBIレミットもいかがでしょうか
https://www.remit.co.jp/MainAboutCommission.jsf?menuid=4&submenuid=1&lang=ja
>SBIレミットもいかがでしょうか
わかりずらいかもしれないですが、紹介してますよ。
小額送金の手段としてはいいと思います。