2月14日に発売されたNewsweek JapanのPeriscope(潜望鏡という意味)の中に面白い記事があった。
民間銀行が見向きもしない発展途上国の貧しい人たちに融資を行なうことで有名なグラミン銀行(Grameen Bank)のほかにも、このような事業を行なう団体があるというものだ。
その名はキバ・ドット・オルグ(Kiva.org)、グラミン銀行と違うところは、私たちでも融資の当事者になることができることだ。
Register(登録)のページでLender(貸主)としての登録をした後で、LEND(貸付)のページから、自分が応援してあげたいビジネスプラン(あるいは自分が好きな国の人でもいい)を選び、名前の書かれているリンクをクリックすれば、ビジネスプランの概略とともに融資の実行画面が出てくる。
融資に際しては多額の資金は必要としない。
最低の融資額はUS$25(約3,000円)だ。
これをクレジットカードかPayPalを経由して支払えばOKだ。
要するに、航空会社やショッピングマイルが付くクレジットカードで決済すれば、ポイントが加算されるのではなかろうか。
ただ、Newsweekの記事で勘違いしないで欲しいのは、融資をすれば年間平均利回り16%の利益が得られるように思える(私も勘違いしてローリスクの投資かと思った)が、決してそんなことはないことだ。
おそらく、その受益者はキバ・ドット・オルグということであろうが、紛らわしい書き方だ。
ちなみに、このことは、ウェブサイトのFAQの№24と№26にも書いてあり、”Kiva.org currently does not provide interest to lenders, there is no way to make a profit on your loan. Kiva.org’s loans do not provide a financial return on investment.(私たちは貸主に対して利子を支払うことはありません。また、投資に対する利益を与えることもありません。)”とあるので、注意が必要だ。
なお、これはユニセフなどに対する寄付と違って、税法上の所得控除(tax-deductible)の対象とはならない。
融資した金は、100%事業主(entrepreneur)へ行くと謳われており、融資した後は報告書がメールで送られてくるようだ。
そういった点で顔が見える援助の形態であると言える。
もし、自分が気に入った人に対して融資をし、相手の事業が成功に結びつくことがあるならば、これこそ真の意味での国際貢献ではなかろうか。
ちなみに融資金が返済された場合は、新たなビジネスに融資することもできるし、回収するなら銀行口座へ入れてくれるようだ。
問題は、貸し倒れのリスクがどの程度あるかということだろう。
この点について、キバ・ドット・オルグは、FAQの№23で、「貸し倒れのリスクが全くないとは言えないが、その可能性は低く、株や投資信託を買うといったもの、あるいは直接金を貸すといったリスクとは異なるレベルである。国連資本開発基金(United Nations Capital Development Fund)によれば、これらの小規模融資の返済率は97%にも達し、今のところ我々に対する返済率は100%である、もし、それでもあなたが心配ならば、US$25から融資を始めてみればいいだろう」と述べている。
(Your loan is not guaranteed, therefore there is a chance that you will not get your money back. However, just as there are different levels of risk in stocks or mutual funds, there are also different levels in risk in funding a loan. Your Kiva.org loan is a low-risk loan. Microfinance loans worldwide are generating repayment rates of 97% (UNCDF: Basic Facts About Microfinance). To date, Kiva.org’s repayment rate is 100%. If you are still concerned about repayment, minimize your risk by diversifying – loan $25 to a number of businesses rather $100 (or more!) to one business.)
あまり日本人は、私も含めてこういうことは得意ではないが、新たな国際貢献、あるいは将来の大立者(!?)への投資のつもりでやってみてもいいのではなかろうか。
ユニセフや赤い羽根募金の寄付よりは顔が見える援助になるかもよ。
途上国援助-ネット融資が一千万ドル超に (2007.2.21 Newsweek Japan – Periscope)
途上国援助の方法として熱い視線を浴びているのが、小規模の融資を行う「マイクロファイナンス(microfinance)」。バングラデシュに小規模融資専門のグラミン銀行(Grameen Bank)を設立したムハンマド・ユヌス(Muhammad Yunus)は昨年、ノーベル平和賞を受賞している。
マイクロファイナンスの需要は年3000億ドルに達すると考えられているが、グラミン銀行だけでは対応しきれない。
そこでインターネット融資の登場だ。
先端をいくのが、融資者と事業者を結ぷ「キバ(スワヒリ語で団結の意味)・ドット・オルグ(Kiva.org)」。メキシコのジュース売りでも、インドのお針子でも、融資者が好きな事業者を選び、地元の監督機関を経て融資する仕組み。
2008年には総融資額が1000万ドルを超えるとみられる。年間利回りは平均16%だが、融資先にもたらす恩恵は計り知れない。たとえばウガンダで魚を売る女性は、融資によってナイル河畔にある大きな市場で直接魚を仕入れることができるようになった。それまでは市場に行くバス代すらない状態だったという。
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