愚民どもを甘やかしたツケ

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レッドカードを出す女性

香港での連夜の忘年会の余韻も覚めやらぬうちに帰国した翌日の読売新聞の朝刊一面を見て私は驚いた。

「図書館の本、傷だらけ・・・「切り抜き」「線引き」横行」という記事が社会面でなく、トップニュースを飾っていたからだ。
ついにこんな日が来たのかという思いだ。

公立図書館の蔵書の実態については2005年6月5日の「今日の一言」でも触れたテーマなので、今更驚かない。

しかし、「(世田谷区立図書館で)3年ほど前、館内で若い女性が最新号のファッション雑誌からヘアスタイルの写真をカッターで切り抜いていた。驚いて注意すると、女性は悪びれる様子もなく「どうしていけないんですか」と言い放ったという。」一節を読むに及んで、2003年1月21日に川崎市川崎区で本の万引きを見つかって逃亡中に電車に轢かれたクソ餓鬼を捕まえようとした店主を「人殺し」などと責めるキチガイ市民が横行したという記事を思い出した。(少年非行現場の群像-川崎市古書店万引き少年逃亡死

要は、公立図書館で雑誌の切り抜きを注意されて、「どうしていけないんですか」と居直ったようなバカが、さらに年齢を重ねると、川崎の書店主を責め立てたバカのようになるという見事なまでの愚民化の構図だ。

双方に言えるのは社会常識が欠如しているという甘いものではなく、生きている資格がないというレベルにまで堕ちているということだ。
さらに、こいつらが子どもを持つとどうなるか。

9年間、コンビニで見た日本人-悪魔のような日本人・天使のような日本人」の著者、徐明成氏は言う。

どうしようもない親の元ではどうしようもない子どもしか育たない。
コンビニで非常識な振る舞いをする子どもを見れば、親もだいたい想像がつく。
親に子どもがしている非常識な行為を注意すると「だから外人はダメなんだ、日本人ならそういうことはしない。

と言われると・・・
もはや、これ以上私には何も言う気がしない。

識者の中には今の日本の状況を見て、「かつて日本は二度の国難から立ち直ったのだから、三度目も必ずできる」と言う人がいる。

しかしながら私は言っておきたい。
過去の二回は日本に世界に誇れる知性と良識を備えた国民が残っていた。
今やそういう人は少数派に転落している。

グレシャムの法則(Gresham’s Law)にいう「悪貨は良貨を駆逐する(Bad money drives out good.)」という言葉は、今の日本に最も相応しい。

図書館の本、傷だらけ・・・「切り抜き」「線引き」横行 (2006.12.12 読売新聞)

各地の公立図書館で、雑誌などから写真や記事を切り取ったり、専門書に蛍光ペンで線を引いたりするなど、図書を傷つける行為が増加している。

中には、閲覧室で堂々と雑誌を切り取り、職員から注意されると「どうしていけないの」と反論する人もいる。
公共の財産を傷つけてはいけないという最低限のルールを破る行為の横行に、図書館側は「社会全体のモラル低下の表れでは」とため息をついている。

東京都世田谷区の区立中央図書館(同区弦巻)で被害が目立ち始めたのは5年ほど前から。徐々に悪化し、資料係の越後信子係長は「最近では1日2、3件のペースで切り取りや書き込みが見つかる」と話す。

越後さんには忘れられない”事件”がある。3年ほど前、館内で若い女性が最新号のファッション雑誌からヘアスタイルの写真をカッターで切り抜いていた。
驚いて注意すると、女性は悪びれる様子もなく「どうしていけないんですか」と言い放ったという。

同館で最も多いのは、雑誌から人気アイドルの写真が切り取られるケース。このほか新聞の縮刷版から丸々1ページが引き抜かれたり、論文を掲載した書籍に300ページ以上にわたって線を引かれたりもした。

同館はやむなく、頻繁に被害にあう雑誌は書棚に置かず、カウンターで貸し出す方式に切り替えた。それでも切り抜きがやまなかったアニメ雑誌は購入を取りやめた。

ひどく傷ついた本は買い替えが必要となるが、年間の図書購入費の総枠が決まっているため、新たな図書の購入を減らさざるを得なくなる。
本を傷つける行為は刑法の器物損壊罪にあたる恐れがある。
しかし、「とにかく『罪の意識』が薄い」と越後さんはため息をつく。

横浜市の市立図書館全18館では、今年6~9月の間、切り取りや書き込みなどで処分せざるを得なくなった雑誌や本が計921冊に達した。被害額は約147万円。被害は中高年向けでも見られ、同館の担当者は「幅広い年齢でマナーが低下している」と話す。

千葉県の市川市中央図書館でも、多い時には月に約100冊の被害があった。

全国の主な図書館が加盟している日本図書館協会(東京)の担当者は「図書が傷つけられる被害は数年前から著しくなった。図書館の側も、本を傷つけないよう呼びかける掲示・展示をしたり、館内の見回りなどを強化したりする必要があるが、職員数などの面から限界もある」と話す。

コメント

  1. kubokawa より:

    おっしゃるとおり日本人は経済的な面だけでなく、精神面でも二極分化していると思います。
    若者も、成人式で荒れるようなバカ者がいるかと思うと、志をもって早くから頑張っている者も多数います。
    生きている資格がないくらいひどい奴と私などから見ても非常に立派な若者がどちらも確実に増えているのです。(中間が少なくなったのかな?)
    どちらがどのくらいの割合なのか分かりませんが、なぜこういう風になってきたんでしょうね?

  2. カルロス より:

    kubokawaさん、いつもコメントありがとうございます。
    そうですね。完全に二極化してます。
    お問い合わせをしてくるお客様でも丁寧で礼儀正しい人と、教えてくんない系の人と完全に別れますね。
    後者は手取り足取り、おまけに無理解と手間ばかりかかり利益にならん、話にならんという感じです。

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