コロナ禍で嘆く熟年トラベラーに見る日本人の悲哀

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横浜市泉図書館

コロナ禍で海外旅行に行けなくなって悶々としている人も多いと思う。

今まで、年に2~3回は海外旅行に行っていたという人は、ゴールデンウイークもお盆休みもどこにも行けなくて忸怩たる思いをしていることだろう。
私も負傷事故で入院していなければ、おそらくは、ほかのトラベラーと同じような思いを強く感じていたに違いない。

苦悩する女性

そのような中で、私は、少し前にフェイスブックの旅行関係のコミュニティの書き込みを見たときに、別の意味で暗澹たる気持ちになった。

靖国神社の参拝の列の中にいるときに見たので、投稿も終戦記念日(8月15日)にされたものだったと思うが、彼らが苦悶の表情を受かべながら、残された時間との戦いに挑んでいる印象を受けたからだ。

いつになったら海外旅行や国内旅行に行けるんでしょうか!?コロナひっつこいわ

  • 海外旅行に安心して行ける日は治療薬とワクチンが世界中に行き渡ってからですね…。再来年かも知れません。
  • 少しずつ開国?してる国もあるそうですが、3年くらいかかりそうと、あるYouTuberは仰っていました。
  • 3年???そんなに待てるだろうか、歳が
  • 私も同じです。年齢、体がもつか?
  • 私も、今が体力が有る最後の年齢。やっと仕事退職して、これからゆっくり海外にと言う時に。。コロナ。。。
  • 私の場合も年齢的に平均健康寿命まであと4年で、とても焦りがあります。

頭を抱えるビジネスマン

海外の日本人観光客の主力は言われるまでもなく熟年世代が多い。
今までは、世界最強のパスポートをバックに、国際間の行き来ができなくなることなど想像できなかった。

ところが、コロナ禍はいつ収束するか先が見えず、私も人のことは言えないが、上述の書き込みをした人たちは、自分の健康年齢との勝負が始まっていることを認識している。
私が常々思っている、多くの日本人サラリーマンがレジャーを楽しむのは、定年後などというセリフを口にし、そのような潜在意識を持ち続けた結果が、今回の悲鳴に繋がっていると思う。

まさに、思考は現実化するのである。

私が7月25日付で掲載した「九州男児と横浜の野毛で密会~時間の大切さを語った夜」の中にある一節を再掲しよう。

2019年12月10日、私が「柿の木から落ちて骨折、手術、そして入院!」といった状況に陥ったとき、そして、入院生活が長引き、コロナ禍が酷くなってきた頃、私がまともな精神状態でいられたのは、今まで好き勝手にやってきたからという一種の達成感があったからだ。

カルロス・ハッサンの平成旅日記」をご覧になった方はおわかりと思うが、私は日本のサラリーマンとしては、異例なほど旅行へ行っていたと思う。
これが、良くあるケースで、「定年になったらのんびりと」なんて言ってたら、私は後悔の涙で、毎晩のように枕を濡らしていただろう

自分の身体の自由が利かなくなってから、何も楽しいことをして来なかったことを後悔しても遅いのだ。

2015年4月18日付のTABIZINEの記事に「生きるために知っておきたい、人が死ぬ前に後悔する17のこと」というものがある。
かつて、似たような記事がインターネット上を賑わしたことがあるが、たいてい同じような回答になっている。

日本地図とビジネスマン

ところで、2020年7月9日付のエクスペディアの記事「世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2019も発表 日本人は世界で一番『短い休暇』が好き おススメの旅行スタイルは『ステイケーション』」と「有給休暇取得率4年連続最下位に!有給休暇国際比較調査2019」というものがある。

相変わらず・・・と論評したいのだが、今年は在宅勤務やテレワークが導入された企業もあるので、彼らの休暇の取り方も若干変わってきているのではないかと思うが、実際はどうだろうか。
法律や制度が変わっても、日本人サラリーマンの横並び意識や、職場の同調圧力が全く変わっていなければ、レジャーを楽しむのは定年後というのが何年たっても変わらないだろう。

一方で、私もそうだが、コロナ禍で自分たちが、自分の子供たちが、あるいはご両親が、残された時間との戦いを強いられている局面を目の当たりにしたはずだ。

典型的な例は、中高生のクラブ活動が制約され、彼らにとっての貴重な思い出は別のものになった。
あるいは、高齢者施設に入居しているご両親がいる方は、お互いに面会できず、下手すれば死に目にすら・・・という状態にある。
こうした例を持ち出すまでもなく、多くの人が、今という時間はもう戻ってこないということを、身に染みてわかったと思う。

私は、今回のコロナ禍が、サービス残業や休暇取得を遠慮するなどという、自分の時間をドブに捨てるようなマネをしてきた日本人サラリーマンの意識が変わることを期待したい。
そうでなければ、令和時代の日本人は、経済的苦境の中でもがき続けるだけで、何も新しい価値観を生み出せずに終わるからだ。

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