イギリスの旅客機爆破テロ計画摘発

この記事は約6分で読めます。

バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)

久々にマルタ旅行をと思っていたら突然入ってきたテロ関連のニュースがこれだった。

2004年3月11日のマドリードの列車爆破テロ、そして2005年7月7日のロンドンの地下鉄・バス同時爆破テロに引き続き欧州の親米政権(スペインは直後の総選挙で与党が敗北)を狙ったテロ計画がまさに水際で阻止されたようだ。

ただ、この事件を受けてイギリスの空港では航空保安強化としてAlert at UK Airports Media Statement(日本語訳はJALのウェブサイト)からなるセキュリティチェックが行なわれるようになった。(BBC – Baggage advice for UK passengers)

おかげでチェックインまでの待ち時間は膨大なもので、はっきり言ってパリやブリュッセル、アムステルダムへ向かうなら飛行機をキャンセルして列車に乗った方がいいくらいのレベルらしい。

私の今回の旅行もキャセイ航空を使ったロンドン経由なんぞにしなくて良かったと思う。(本当に良かったかどうかは無事に旅行を終えることができるかどうかなのだが)

ところで、コラムニストの勝谷誠彦氏は、8月13日の日記に

アルカイダが関与していると思われるテロリストの航空機爆破作戦の失敗は米英発着の路線に固執したことだ。
妙なところで義理堅いというかさすがは原理主義者(苦笑)。

私が作戦の指揮官なら米国航空会社を狙うにしても日本の空港から乗り込ませましたね。
準備もすべて日本国内で行う。
スパイ防止法がない工作員天国であることもだが何よりも空港のセキュリティの甘さは先進国有数だからだ。

政治屋の利権談合で受注した警備会社がコンビニ店員並みのゆる口青少年を使ってのルーティンワーク。
液体を検査する装置があるが保秘を理由に原理を公開していないあれは本当に機能しているのか。

妙な機械を利権のために買いあさっている社保庁なんぞを見ているとホントに大丈夫かと思うよな(笑)。
毎週数回は空港でのチェックを受ける私だが通す荷物はまず100パーセント同じ内容だ。
しかしそれに対する対応は千差万別。何が基準なのかが全く不明。

いつも意地悪な目で見ている私はいくつもの抜け穴がわかってきているがもちろんここで書くような愚かなことはしない。
ただ冒頭のように私がテロリストなら作戦の「入口」は日本にすると思うだけである。

と書いているが、たぶんイスラム原理主義のテロ組織が日本で大々的に行動できない理由は、私が2004年3月13日の「マドリードの列車爆破テロ」で書いたように

「中国人や韓国人と違って、肌の色が日本人と違う外国人がウロウロしていれば即座に住民の監視の対象となるという心理的抵抗があるに違いない。
それに加え、日本は英語を始めとする外国語の通用度は低いと見られており、アラブ諸国からはおそろしく遠く、町に溢れる看板は彼らにとって未知の言語『漢字』だ。
イスラム教徒は少ないし、物価の高い日本に定住しているイスラム教徒はテロに同調するような貧しい人は少ないだろう。もし日本の国際化を阻む要因である『バリア』がテロを未然に防いでいるのだとしたら、これほど皮肉なことはないと思う。」

ということかもしれない。

それに加え、日本は石油戦略上の都合もあって親アラブと見られていたために、小泉内閣の米国隷属政策以前はテロ対象国に入っていなかったということもあるだろう。

ただ、これからはわからない。
小泉後継と見られる安倍信三官房長官が首相になっても外交政策を変えない(その可能性は高い)となれば、イスラム原理主義組織のテロ対象国に完全に組入れられてしまうかもしれない。

そのとき、日本の空港も新幹線もテロ攻撃の対象であることが誰の目にも明らかになるだろう。

私たちに今できることは、アルカーイダ系組織が2年前に言った「アスナール(スペイン首相)よ。だれがおまえや英国、日本、イタリアをわれわれ(の攻撃)から守ってくれるのか(Where is America to protect you today, Aznar. Who is going to protect you, Britain, Italy, Japan and other hirelings from us?)」
という言葉が蘇らないことを祈ることだけだ。

*************************************

英で航空機爆破テロ計画を摘発、21人逮捕 (2006.8.11 読売新聞)

【ロンドン=森千春】 英警察と国家保安部(MI5)は10日、複数の英国から米国への航空機に対する爆破テロ計画を摘発し、21人を逮捕したと発表した。
容疑者たちは航空機内に手荷物で液状爆発物を持ち込み、空中爆破で「大量殺人」を行う計画を立案。

AP通信などによると、ユナイテッド、アメリカン、コンチネンタルの米系3航空会社の最大10機が標的となり、数機ずつ同時爆破を繰り返す波状テロ攻撃が想定されていたという。
計画が実行されていれば、昨年7月のロンドンの地下鉄・バス同時爆破テロを上回る惨事となったのは確実で、衝撃が広がっている。

リード内相は10日朝、テレビを通じて声明を発表し、英当局が「英国と友邦に対する重大な脅威」を阻止したと述べた。
英政府統合テロ分析センターは同日、テロ警戒レベルを初めて最高の「危機的」に引き上げ、国内の全空港で厳戒態勢を敷いた。
容疑者21人は、ロンドンやロンドン西方テムズバレー、イングランド中部バーミンガムで逮捕された。

英警察は、逮捕された21人の身元を明らかにしていないが、英PA通信は、多数はパキスタン系英国人だと報じた。
専門家の間でイスラム系テロ組織の関与の可能性を指摘する声が出ている。
英政府のテロ警戒レベルは5段階で、これまでは2番目の「深刻」だった。

リード内相は、10日昼の記者会見で、「テロ計画の主要メンバーたちは逮捕した」と明らかにしながらも、市民の安全を確保するために、警戒レベルを引き上げたと説明した。
テロ計画発覚を受け、ヒースロー空港をはじめ英国の空港は厳重な荷物検査などで混乱。
欧米で航空便の運休が相次ぐなど、空の足は大きく乱れた。

カリブ諸島で休暇中のブレア英首相は10日、談話を発表し、容疑者逮捕は、英警察とMI5の「長期間の捜査」の成果であり、米当局から「多大な協力」を得たと明らかにした。

首相官邸報道官によると、首相は、ブッシュ米大統領に電話で、テロ計画と捜査状況について説明した。
英警察などによる爆破テロ計画摘発を受け、国土交通省は10日、国内の航空会社や空港管理者らに対して、保安対策を徹底するよう指示した。

現段階では、国内の空港などでの警戒体制は通常時の「レベル1」を維持する方針だが、手荷物検査などを再徹底し、特に液体については注意するよう求めた。

************************************

関連サイト

コメント

タイトルとURLをコピーしました