マドリードの列車爆破テロ

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英字新聞

アルカイダ(Al Qaeda/Al-Qaida)による犯行なのか、ETA(Euskadi Ta Azkatasuna)による犯行なのか、11日現地時間6時過ぎ、スペイン史上最大級の犠牲者が出たマドリード列車爆破テロが起きた。

国際観光都市でもあり、多国籍の犠牲者が出てもおかしくなかったところだったが、犠牲者はほとんどスペイン人だったと報じられている。(CNN – Bombs were Spanish-made explosives)

おそらく爆発した時間が通勤時間帯(The devastating terror attacks in Madrid saw 10 bombs explode on four trains in three stations during the rush hour on 11 March.)であったことからそういう結果になったのだろうが、もしアルカイダの犯行によるものとすれば、いずれ東京もということがにわかに信憑性を帯びてくる。

で、日本は世界的に見ても無防備都市と揶揄されることもあるが、なぜ外国人による大規模なテロが起きないかと言うと、おそらく「外国人」が目立つからだと思う。

一般の外国人でさえ、そう思っているのであれば犯罪を犯そうと思っている外国人はなおのことそう思うだろう。
要は強盗やピッキングと違って、ある程度の準備が必要なことに加え、中国人や韓国人と違って、肌の色が日本人と違う外国人がウロウロしていれば即座に住民の監視の対象となるという心理的抵抗があるに違いない。

それに加え、日本は英語を始めとする外国語の通用度は低いと見られており、アラブ諸国からはおそろしく遠く、町に溢れる看板は彼らにとって未知の言語「漢字」だ。

イスラム教徒は少ないし、物価の高い日本に定住しているイスラム教徒はテロに同調するような貧しい人は少ないだろう。
事実、私の知っているパキスタン人は「テロリストは気違い」と容赦がない。

もし日本の国際化を阻む要因である「バリア」がテロを未然に防いでいるのだとしたら、これほど皮肉なことはないと思う。

マドリードで3件同時の列車爆破テロ、186人死亡(2004.3.12 読売新聞

【パリ=池村俊郎】スペインの首都マドリードで11日朝(日本時間同日午後)、三つの駅の近くで通勤列車を狙った爆弾テロがほぼ同時に起きた。AFP通信(Agence France-Presse)などが当局者の話として伝えたところによると、少なくとも186人が死亡、1000人以上が負傷し、スペインでは過去最大級のテロとなった。

犯行声明は出ていないが、スペイン政府は、北部バスク地方の独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由」(ETA stands for Euskadi Ta Askatasuna, which means “Basque Homeland and Freedom” in the Basque language.)による同時爆破テロと見て捜査している。

一方、ETAの政治部門とされるバタスナ(Batasuna)党はETAの関与を否定している。

地元テレビなどによると、最も被害が大きかった爆発は午前7時半過ぎ、マドリード市中心部のアトーチャ駅(Atocha)付近で同駅に向かっていた列車で起きた。

プラド美術館(Museo Nacional del Prado)にも近い同駅付近は逃げまどう人々などで一時パニック状態となった。
この爆発と前後して、同市郊外のエルポソ(El Pozo)駅、サンタエウヘニア(Santa Eugenia)駅付近でも通勤列車が爆発した。三つの駅は同じ路線上にある。

アセベス内相(Interior Minister, Ángel Acebes Paniagua)によると、計13個の爆弾が列車や駅付近に仕掛けられ、うち10個が4、5分間隔で次々に爆発した。
残りの3個は当局が発見し、爆破処理したという。
報道によると、爆発物はダイナマイトを基に製造された爆弾で、ETAがこれまでテロに使ってきた爆発物と同種類のものだったという。

爆弾はそれぞれリュックサックに入れられ、列車の車両などに置き去られていた。
マドリードの日本大使館によると、死傷者の中に日本人が含まれているとの情報はないという。

スペインは14日に総選挙を控えており、政府は選挙の妨害を目的としたテロを警戒していた。
事件を受け、政府は犠牲者を追悼するため3日間の服喪を決定。
与党・国民党を初めとする主要政党も選挙運動の中止を決め、選挙戦は事実上打ち切りになった。

ETA(Euskadi Ta Azkatasuna)はバスク地方の独立を目指す過激組織。

1960年代後半以降、政治家や一般市民を狙ったテロ活動を繰り返しており、これまでの犠牲者は800人以上にのぼるとされる。
1987年にバルセロナのスーパーマーケットで起きた爆弾テロでは21人の犠牲者を出したが、今回の事件がETAの犯行とすれば、それを上回る過去最悪のテロとなる。
ただ、バタスナ党はイラク戦争を支持したアスナール(José Maria Aznar López)政権に対する「アラブ抵抗勢力」の犯行の可能性もあると指摘している。

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日本名指しも マドリード同時爆破テロでアルカーイダ系?が声明 (2004.3.12 産経新聞)

ロンドン発行のアラブ紙アルクドス・アルアラビ(Al-Quds Al-Arabi)は11日、マドリードの列車同時爆破テロで、国際テロ組織アルカーイダ系の「アブハフス・アルマスリ旅団(The Abu Hafs al-Masri Brigade)」を名乗る組織から犯行声明(Purported Al-Qaida Statement: 抄訳あり <PDF>)が届いたと報じた。AP通信(The Associated Press)などが伝えた。

この組織は、事故と判明した昨年8月の北米大停電で犯行声明を出したほか、同年11月には自衛隊をイラクに派遣すれば東京でテロが起きるなどと警告した声明を出している。今回の声明の信ぴょう性は不明だ。

スペインのアセベス内相はテロの死者が192人、負傷者は約1400人に達したと語った。

フランス公共ラジオによると、声明はスペインを「米国の同盟国」とした上で「アスナール(スペイン首相)よ。だれがおまえや英国、日本、イタリアをわれわれ(の攻撃)から守ってくれるのか(Where is America to protect you today, Aznar. Who is going to protect you, Britain, Italy, Japan and other hirelings from us?)」と述べ、日本を名指しした。

スペイン政府は当初、北部バスク地方の分離独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由(ETA)」の犯行と断定したが、内相は「(ETAを)最優先で追跡している」としながらも、イスラム過激派らによる犯行の可能性も排除しない考えを示した。

ロイター通信によると、米情報当局者はテロの犯行形態について「ETAとアルカーイダ(Al Qaeda/Al-Qaida)双方の特徴を有しており、現時点で実行犯を特定するのは時期尚早だ」と語った。
アセベス内相は、マドリード郊外で盗難車の中からイスラム教の聖典コーランのカセットテープや起爆装置を発見したと述べた。

スペイン各紙は同日、号外を発行、ムンド紙は「スペインの9.11」と題して「マドリードでの恐ろしく痛ましい場面は、ニューヨークでの9.11(米中枢同時テロ)を想起させた」と伝えた。

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