法律あっても正義なし(2)

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レッドカードを出す女性

私は2003年7月28日と、2005年8月19日の「今日の一言」で内部告発のことを取り上げた。
どうやら、今回のケースも「西宮冷蔵」の内部告発の時と同じ結末を招くような感じだ。

ただ、前回のときはそういった内部告発者を守る法律がなく、今回は公益通報者保護法があるという違いはあるものの、当事者にしてみれば不利益を受けていることに変わりない。

そもそも内閣府の公益通報者保護制度ウェブサイトを見る限り、解雇以外の不利益取扱い(公益通報者保護法第5条)の例として「自宅待機命令」は明白に禁止事項となっている。

それにもかかわらず、大阪トヨペット経営企画部は「自宅待機が法に抵触しないか弁護士と相談したが、問題はないと考えている」などとほざいている。
何がどう問題ないのか、新聞記者が問いただしたともどこにも載っていないし、会社側の追加コメントもないようだ。

それとも自宅待機命令の禁止は、単なる内閣府の例示であり、条文には「降格、減給その他不利益な取扱い」としか書かれていないので、会社側は問題ないとでも思ったのか。

もし、そんなことがまかり通るのであれば、解雇、降格、減給さえしなければ、告発者に圧力をかけて不利益処分は受けてませんとでも言わせれば、法律はすべて骨抜きではないか。

今後、この告発者が会社や情報を漏洩させた弁護士を訴えるかわからないが、やったとしても日本の司法の実態から言っても徒労に終わるだけだろう。
そして、今回のケースはまさに体制側の大衆心理操作の萎縮効果を狙ったケースの典型ともなるだろう。

要は、法律などあっても保護は受けられないというメッセージを第三者に伝えることになるのだから・・・

内部告発社員に自宅待機を指示-大阪トヨペット (2006.6.3 朝日新聞)

トヨタ自動車系列の販売会社「大阪トヨペット」(大阪市福島区)の社員が、4月に施行された公益通報者保護法に基づいて設置された販売会社グループの通報窓口に、「販売手法に不正な点がある」と内部告発した直後、同社から自宅待機を指示されていたことがわかった。

窓口を務めた弁護士事務所から告発者の氏名が同社に伝わっていたという。
同法は自宅待機を含め、告発者への不利益な扱いを禁じている。
内部告発したのは、同社営業担当の40代の男性社員。

この社員が勤務する店で、別の社員が無断で知人らの氏名を使って売買契約書を偽造し、販売実績を水増ししているとして、4月5日、トヨタ自動車販売店協会が設けた「トヨタ販売店ヘルプライン」へ電話で情報提供した。

同協会が契約している東京都内の弁護士事務所が受け付けたが、社員は実名を名乗っていた。
翌6日、店の上司から電話があり、10日間の自宅待機を指示されたという。

大阪トヨペットによると、社員は告発の前日、同社幹部と面談し、販売実績の水増しについて相談。
弁護士に対しても自分の所属や氏名を会社に告げて詳細な調査をするよう望んだため、社内調査の過程で同僚らとのトラブルを避けるために待機を指示したとしている。

同社経営企画部は「自宅待機が法に抵触しないか弁護士と相談したが、問題はないと考えている」としている。
社員は「弁護士に実名は告げたが、通報制度は当然、匿名が前提で、実名が会社に伝わるとは思っていなかった。自宅待機は事実上の処分だ」と話している。

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