法律あっても正義なし(1)

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驚く外国人男性

私は昨日の「やっぱり日系航空会社には乗りたくない」で「何より問題なのは今の日本では法律があっても正義がほとんど通じないし、非常識な人間がことさらのさばれる環境にあることだ。」と書いた。

それを実感できるような記事が3日の新聞に掲載されていた。

最近では商店などに「万引きは犯罪です」という表示を多く見かけるが、これは万引きが窃盗罪であることをいちいち強調して教えないといけないほど、日本人がバカになっているという証左のような気もするが、どうやらキセル(不正)乗車も詐欺罪であることを教えないといけないらしい。

さて、問題の記事だが、事の発端は客の一人がキセルを疑わせるような行為をしたことが原因だ。
一昔前までなら、キセルがばれたら、すいませんと言って罰金を払って終わりになったものだが、こいつの場合、キセルがばれそうになったものだから、駅員に暴言を浴びせたあげく唾まで吐いたらしい。

それにも増して、事件から2ヶ月もたってこれが記事になったということは、駅員に反撃された客が、逆恨みの極みで「東急電鉄の不祥事」が新聞に出てないとでもほざき続けて、明らかになったとも考えられるような内容だ。

ところで、「お客様は神様」教に染まりきった日本の異常なビジネス風土の元では、サービススタッフは暴言までは我慢しろと言われ、またそこまでは聞き流すだけの訓練を受けていることも多い。

しかし、唾を吐かれたり、殴られたりしてまで我慢できる人間は少ない。
そこまでされたら相手を平手打ちにするくらいは当たり前のことだ。

それで客が訴えるとか言ったら、逆に問答無用で詐欺罪と業務妨害罪で告訴してやればいいのだ。
駅構内では監視カメラも回していることだろうから、それを使えばいいだけのことだ。

所詮、小心者が「客という立場」を利用して虚勢を張っているだけのこと。
その場で捕まえて警察に突き出すのが最善の方法だったのかもしれないが、そうしなかったとしても、駅員の上司が当人を諭旨解雇するなんて論外で、誰が何を言おうとも「客がそういうこと(犯罪行為)をしたことがすべての原因」と突っぱねるのが筋だ。

JRの駅員に対する構内(校内ではない)暴力が吹き荒れていた2003年頃、JR東日本東京支社によれば、駅員に暴力を振るう年代は50代がほぼ毎年トップを占めたという。

かなりの割合が酔客と推定されるそうだが、その後にJR東日本が駅員に対する暴行は「直ちに告訴する」と言った途端激減したそうだ。
ここでも、聖路加国際病院精神科部長の大平健氏の言う、「大人(中高年)は、相手が弱い立場で反撃できないとみると、徹底的に攻撃する。ずるいんですよ。」との言葉が蘇る。

要するに、「金を払えば何をしてもいい」と思い上がっているバカに対しては「客扱い」しないという国際標準に沿うのが最善の方法だ。
それを、いつまでも「お客様は神様です」なんてやってバカを甘やかしていると、彼らを付け上がらせて、いろいろなところで奴らは害毒を撒き散らすことになる。

嘘だと思うなら「お客様は悪魔です」という本でも読んでみるといいだろう。

そもそも「お客様は神様です」という言葉は、故三波春雄氏が「自分がこうして生活していけるのも、お客様がお金を払ってくれるからです。」ということで発したと言われるが、彼がこの言葉を使った時代は日本人が世界に誇れるほどの礼節を持っていた時代だ。

だから彼の言葉はビジネス界の人間が肝に銘じるものとして受け入れられたのだが、今や、礼節どころか知性や一般常識さえ爪のアカほども持ち合わせてないバカが溢れ、自分で「オレ様は神(お客)様だ、神に逆らうのか?」などとほざいている時代だから、そういうバカは徹底分別されるという常識を作らなくてはいけない。

ちなみに、私はガイドブックやWEBに書いてあるショップの論評で、「○○にあるまじき、○○では考えられないサービス・接客態度だ」というコメントを掲載している人をほとんど信用しない。
なぜなら少なからず、こういうバカで、非常識な連中が店を批判しているに違いないからだ。

そうでない常識的でまともなクレームの場合、○○では考えられないとか、あるまじきなどという大上段に振りかぶった言葉は使わないからだ。
残念ながら東急電鉄はJALと違って私の通勤路線で毎日使わないといけないから書かせてもらう。

この事件で、タダでさえ発見率が少ないキセル乗車は当分摘発されないだろう。
場合によっては東急電鉄はキセル天国の汚名を着ることになるかもしれないし、他の鉄道会社へ被害が波及するかもしれない。

なぜなら、逆切れする客と、バカな上司に囲まれているリスクを考えると、今後、東急電鉄の駅員は無論のこと、他の鉄道会社の駅員も不正乗車の疑いがあっても、ただ見張っているフリをするだけで何もしようとはしないからだ。(今でさえそうかもしれないが)

もし、そうなったときの直接の原因は、マジメに仕事をすればバカを見るということを示した東急電鉄の幹部と、客なら何をしてもいい(処罰もされないし、社会的制裁も受けない)という暗黙のメッセージを伝えたマスコミにあるのだ。

最後に、「都立大学駅員の暴力報道に思う」としてSansyo Infoの「雑言文紙 奢楽世哀」のページにコラムがあった。
私は正論だと思うが、いかがだろうか。

客につばかけられて殴打 東急が渋谷駅の駅員解雇 (2003.6.3 朝日新聞)

東急東横線渋谷駅(東京都渋谷区)の男性駅員(34)が客を殴ったとして、諭旨解雇されていたことが2日わかった。 東急電鉄によると、駅員は4月2日未明、切符を出さずに改札を通り過ぎた男性を呼び止め、事務室で事情を聴いた。

この際、男性から暴言を浴びせられ、つばを吐きかけられたため、腹を立てて顔を殴ったという。男性にけがはなかった。同社は「暴力はあってはならない」として同月10日付で諭旨解雇した。

東急では2000年に都立大学駅の駅員が乗客に暴行してけがをさせ、懲戒解雇されている。東急は「つばをかけられたなどの事情を考慮して今回の処分を決めた」としている。

コメント

  1. kubokawa より:

    まったく、これで解雇されるんじゃあ、やってられないですね。

  2. カルロス より:

    上層部が自己保身、事なかれ主義になった企業の典型でしょうかね。
    部下の士気をいかに維持するかっていうのも上司の仕事でしょうに。

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