オーストラリアのコステロ財務相(Treasurer Peter Costello)が累積債務に苦しむ各国政府には夢のような「債務なしの日(“It is the day we pay off the mortgage.”)」を宣言したことがニュースにあった。
オーストラリアは資源大国であり、それがここ数年の経済の活況を生んでいることも事実だが、日本から見れば「わずか8兆円余りの債務」を解消するにも10年の年月がかかっていることを考えれば、日本が庶民を叩きのめすハイパーインフレなしに累積債務を解消することは不可能であるように思える。
日本がどの程度債務があるかと言えば、財部誠一氏の「借金時計」というサイトを見る限り、天文学的な数字である。
当然ながら政府の上層部はこれを熟知しているだろうし、もはやそれを地道に解消することなどとうの昔に放棄しているとしか思えないようなことを平気でし続けている。
野村総合研究所(NRI)が掲載した2001年5月号のNRIオピニオンの中で「イタリアに学ぶ財政再建」というものがある。
記事としては古いかもしれないが、かつては日本と同じような巨額の財政赤字があった国の例として、今でも参考になるところはあるだろう。
本来であれば、こうした実情とナマの声を自国の政策に生かすのが「海外視察」の目的であったのだが、残念ながら日本の(国も地方も)議員がやってきたことは「視察団公害」と揶揄された物見遊山だけだった。
今でさえ、やっていることはこれらの成功例から学ぶことではなく、アメリカ型の市場原理主義をただ闇雲に真似ているだけだ。
それでもうまくいっているならいい。
しかし、実際は庶民だけがビジョンなき未来に向けて陰気な競争をさせられているだけだ。
かつての日本は国民全体の士気が高かったことが奇跡と言われた経済成長を生んだ。
今やその士気が完全に堕ちている。
その原因の多くは、1980年代のバブル時代以降の破廉恥なエスタブリッシュメントにある。
要は末端の人間にだけ競争と責任を押し付け、自らはぬくぬくとして破格の給与と退職金をもらって何の責任も取らずに食い逃げした連中だ。
1990年代以降、末端で芽生えた「誰がこんな奴らの(尻ぬぐいの)ために働くか」という気持ちが、今や社会全体を覆っているとすれば日本の将来は暗黒と言わざるを得ない。
豪政府が30年ぶり債務解消-資産売却や好調な経済で (2006.4.21 共同通信)
【シドニー21日共同】 オーストラリア政府は累積債務を約30年ぶりに解消し、コステロ財務相が21日、「債務なしの日(“It is the day we pay off the mortgage.”」と宣言した。
政府の累積債務は1976-77会計年度から生じ、保守連合(自由党と国民党)のハワード政権が労働党から政権を奪還した1996年には過去最大の約960億豪ドル(約8兆3500億円)に上っていた。
ハワード政権は通信大手テルストラの株式などの資産売却で得た461億豪ドルを債務償還に充てたほか、好調な経済などにより、ほとんどの会計年度で財政黒字を達成、累積債務を減らしてきた。
2005-2006年度は115億豪ドルの黒字となる見通し。英字記事
- Govt eliminates net debt (April 20, 2006 News.com.au)
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